各部紹介-漁場保全部

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漁場保全部

昭和48年に、「環境保全部」として旧水産試験場に設置されました。当時、公害が社会的な問題となっており、海の水質、重金属等の調査が行われ、それと同時に、ワカメ養殖漁場における栄養塩の変動、環境保全を目的とした水質、底質のモニタリング(変化を見逃さないように観測すること)が行われました。
その後、漁場の環境調査研究、貝毒の調査研究等に重点が置かれていきました。水産試験場「環境保全部」は、平成6年度に統合新設した水産技術センターの「漁場保全部」となり、これまでの人員体制、業務および試験研究課題が全てそのまま引き継がれることとなりました。

漁場保全部のお仕事

(1) 海の基礎生産力
沿岸域のワカメ、コンブ等海藻の成長に必要な栄養塩や、植物プランクトン(栄養塩を使って増える。カキ、ホタテ等の餌)量の指標となっているクロロフィル量等のモニタリングにより、海の基礎生産力を把握しています。
(2) 水質・底質の調査
主に湾内漁場の水質・底質調査を定期的に実施し、養殖漁場の漁場利用・管理に活用するためのデータを集積しています。特に、湾口防波堤のある釜石湾および大船渡湾の漁場環境監視調査を実施しています。
(3) 養殖漁場の環境収容力(海の養殖生産可能量はどのくらいなのか)に関する研究
大槌湾の物質循環シミュレーションモデルを構築し、大槌湾の環境をコンピュータの中に再現しました。
現在は、そのモデルを改良し、調査場所を釜石湾に移し環境収容力モデルを構築中です。なお、これらの調査結果は関係地区漁業者などに随時報告し現状認識と課題の共有を図っています。
(4) 貝毒の基礎
貝毒は、世界中どの地域でも発生するおそれの有るものですが、本県ほど頻繁に検査をしている地域は他にありません。特に、岩手県の養殖ホタテガイは、世界一安全なホタテガイだといえます。
1) 言い伝え:昔から、三陸沿岸では「麦の穂が出るころ」「桐の花(または桜の花)が咲くころ」には、貝を食べるな。という、言い伝えがありました。これは、プランクトンを主に餌としている貝(ホタテガイ、ムラサキイガイ、カキ等)が、春先に毒を持つこと(この毒を貝毒といいます)を指しているものと思われます。
2) 本県での貝毒死亡事故:昭和36年5月に大船渡市において、20名が中毒をおこし1名が死亡する事故が起きています。原因はホタテガイの仲間のアカザラガイによるものでした。
3) 貝毒の種類:貝毒には、死に到ることもある麻痺性(マヒ性)と激しいゲリをおこす下痢性(ゲリ性)の2種類があります。
4) 何故毒をもつのか:しばらく原因がわかりませんでしたが、1980年代になってから、プランクトン(アレキサンドリウムタマレンセ)を貝が食べることによって、マヒ性貝毒が貝に蓄積することが明らかになりました。
5) マヒ性貝毒のプランクトンは、湾内で発生し、下痢性は沖合から湾内に流入して来ます。
6) 貝毒には、非常に多数の毒性分が関与しているため、機器による分析を困難にしています。
7) そのため、毒量(貝にどのくらいの毒が入っているか)はマウスに注射し、死亡した濃度から測定しています。毒量の強さは○MU(マウス・ユニットであらわされます)
(5) 現在の研究
1) 毒化予測
2) 貝毒の検査
3) 除毒技術
(6) 養殖カキのノロウィルス対策
カキ養殖漁場のノロウィルス汚染実態の把握と浄化方法の検討に取んでおり、ノロウィルスの漁場拡散の把握、汚染リスク指標の検討、汚染リスクの低い海域への移動浄化効果の検討などを行い現在に至っている。