2018年度秋サケ回帰情報(No2:中期分)

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平成30年12月18日
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12月10日までの回帰尾数は、前年比143%の284万尾。

魚体サイズ(尾叉長・体重・肥満度)は、前年よりも小さくなっています。

年齢組成は、4歳魚の割合が前年と比べて高く推移しています。

1.回帰資源量

12月10日現在の本県回帰尾数は284万尾(8,135トン)で前年比143%(重量比137%)(図1)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比143%(247万尾)、河川漁獲は前年比160%(34万尾)。河川捕獲が多くなったため、種卵確保対策による海産親魚は前年比76%(3.6万尾)となっています。また、1尾あたりの平均体重は2.87kgと前年(2.99kg)を下回りました。
当センターが発表した中期までの回帰予測尾数は11月下旬をピークとする349万尾であり、12月上旬以降をピークとして予測の81%と下回っています。

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図1 本県回帰尾数の推移

2.回帰親魚調査結果(中期:11月11日から12月10日までの分)

11月12日から12月6日にかけて、片岸川、織笠川、津軽石川において回帰親魚調査(片岸川600尾、織笠川629尾、津軽石川595尾)を行いました。

(1)年齢組成

片岸川
オスは3歳魚6%、4歳魚79%、5歳魚11%(H29:3歳魚11%、4歳魚69%、5歳魚19%)、メスは3歳魚4%、4歳魚90%、5歳魚5%(H29:3歳魚18%、4歳魚53%、5歳魚26%)で、前年同期と比べるとオス・メスともに4歳魚の割合がきわめて高くなりました(図2)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(H30:20,401尾、H29:10,156尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、4歳魚が前年を大きく上回り、前年の301%となりました(図3)。

織笠川
オスは3歳魚4%、4歳魚93%、5歳魚2%(H29:3歳魚65%、4歳魚22%、5歳魚12%)、メスは3歳魚2%、4歳魚95%、5歳魚3%(H29:3歳魚35%、4歳魚32%、5歳魚31%)で、前年同期と比べると、オス・メスともに4歳魚の割合がきわめて高くなりました(図4)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(H30:8,644尾、H29:2,290尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、4歳魚が前年を大幅に上回り前年の1,394%、3歳魚及び5歳魚が前年を大きく下回り、特に、3歳魚は前年の21%となりました(図5)。

津軽石川
オスは3歳魚4%、4歳魚78%、5歳魚14%(H29:3歳魚5%、4歳魚44%、5歳魚48%)、メスは3歳魚2%、4歳魚73%、5歳魚22%(H28:3歳魚1%、4歳魚43%、5歳魚53%)で、前年同期と比べると、4歳魚の割合が高い傾向にありました(図6)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(H30:8,990尾、H29:11,219尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、4歳魚が前年の139%と上回りましたが、5歳魚が前年の28%と大きく下回り、全体の尾数が少なくなりました(図7)。

(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度

片岸川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は66.2cm、体重は2.9kg、肥満度※は9.7。また、メスの尾叉長は66.5cm、体重は3.0kg、肥満度は10.6でした。前年同期と比較すると、オス・メスの尾叉長、体重ともに前年より小さく、肥満度はオスが低く、メスは同程度の傾向が認められました(表1)。
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

  尾叉長 体 重 肥満度
(cm) (kg)  
H30 H29 H30 H29 H30 H29
3歳魚 59.4 59.3 2 2 9.2 9.7
4歳魚 66.7 67.6 2.9 3.2 9.7 10.3
5歳魚 69.6 71.4 3.4 3.9 9.8 10.4
全体平均 66.2 65.9 2.9 3 9.7 10.1

(メス)

  尾叉長 体 重 肥満度
(cm) (kg)    
H30 H29 H30 H29 H30 H29
3歳魚 60.2 60.7 2.1 2.3 10.7 10.2
4歳魚 66.5 67 3 3.2 10.6 10.7
5歳魚 70 70.8 3.6 3.9 10.8 10.8
全体平均 66.5 67 3 3.3 10.6 10.6

肥満度=体重/(体長/10)3×1,000

織笠川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は66.5cm、体重は2.8kg、肥満度は9.4、また、メスの尾叉長は66.4cm、体重は2.9kg、肥満度は9.9でした。前年同期と比較すると、尾叉長はオス・メスともにやや大きく、体重はオスが大きくメスが小さい傾向、肥満度はオスで昨年度と同程度、メスでやや低い傾向が認められました(表2)。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

  尾叉長 体 重 肥満度
(cm) (kg)  
H30 H29 H30 H29 H30 H29
3歳魚 61 61.9 2.2 2.2 9.5 9.4
4歳魚 66.8 68.3 2.8 3 9.4 9.4
5歳魚 70.2 70.9 3.7 3.4 10.5 9.5
全体平均 66.5 64.5 2.8 2.6 9.4 9.4

(メス)

  尾叉長 体 重 肥満度
(cm) (kg)  
H30 H29 H30 H29 H30 H29
3歳魚 61.6 61.7 2.3 2.4 9.8 10.2
4歳魚 66.4 67 2.9 3.1 9.9 10.1
5歳魚 70.7 69.4 3.6 3.4 10 10.2
全体平均 66.4 66 2.9 3 9.9 10.2

津軽石川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は70.7cm、体重は3.4kg、肥満度は9.4、また、メスの尾叉長は69.1cm、体重は3.5kg、肥満度は10.3でした。前年同期と比較すると、オス・メスともに尾叉長及び体重、肥満度が低い傾向が認められました(表3)。
(オス)

  尾叉長 体 重 肥満度
(cm) (kg)  
H30 H29 H30 H29 H30 H29
3歳魚 63.4 62.3 2.5 2.5 9.5 9.9
4歳魚 70.6 72.2 3.4 4 9.4 10.3
5歳魚 74.6 77.6 4 5.1 9.6 10.7
全体平均 70.7 74.6 3.4 4.5 9.4 10.5

(メス)

  尾叉長 体 重 肥満度
(cm) (kg)  
H30 H29 H30 H29 H30 H29
3歳魚 60.8 65.7 2.1 2.8 9.3 9.8
4歳魚 68.4 69.9 3.3 3.7 10.3 10.6
5歳魚 71.7 75.1 3.9 4.6 10.4 10.8
全体平均 69.1 72.8 3.5 4.2 10.3 10.7

(3)孕卵数および卵重量

片岸川(11月2日、11月6日、11月13日)
片岸川のメス1尾あたりの孕卵数は平均2,948粒、卵1粒あたりの重量は0.22g、生殖腺指数は21.1でした。
前年と比較して、3~5歳魚とも孕卵数及び卵重量は減少、生殖腺指数※は低下しました(表4)。
表4 年齢別繁殖形質

  3歳魚 4歳魚 5歳魚 全体
H30 H29 H30 H29 H30 H29 H30 H29
尾叉長(cm) 62.2 62.5 65.9 66.8 68.4 71.3 65.9 67.9
体重(kg) 2.32 2.62 2.98 3.31 3.52 4.03 2.98 3.48
生殖腺重量(kg/尾) 0.45 0.62 0.63 0.76 0.74 0.85 0.63 0.78
孕卵数(粒/尾) 2,412 3,061 2,953 3,277 3,298 3,367 2,948 3,285
卵重量(g/粒) 0.19 0.2 0.22 0.23 0.22 0.25 0.22 0.24
生殖腺指数 19.3 23.8 21.2 23 21 21.2 21.1 22.5

生殖腺指数=生殖腺重量/体重×100

織笠川(11月22日、12月4日)
織笠川のメス1尾あたりの孕卵数は平均2,592粒、卵1粒あたりの重量は0.23g、生殖腺指数は19.5でした。
前年と比較して、孕卵数と卵重量は3歳魚で増加、生殖腺指数は5歳魚で低下しました(表5)

  3歳魚 4歳魚 5歳魚 全体
H30 H29 H30 H29 H30 H29 H30 H29
尾叉長(cm) 63.5 61.6 67.2 67.7 71.7 69.9 67.3 66.1
体重(kg) 2.72 2.46 3.06 3.31 3.4 3.66 3.06 3.1
生殖腺重量(kg/尾) 0.57 0.48 0.6 0.62 0.51 0.65 0.6 0.58
孕卵数(粒/尾) 2,748 2,497 2,598 2,651 2,297 2,674 2,592 2,592
卵重量(g/粒) 0.21 0.19 0.23 0.23 0.22 0.24 0.23 0.22
生殖腺指数 20.8 19.4 19.6 18.6 15.1 18 19.5 18.6

3.その他

平成30年12月10日現在の秋サケ回帰状況は、回帰尾数・回帰重量ともに、震災以降で最も少なかった前年度を4割程度上回っていますが、震災前の平成18~22年度平均の4割に留まっています。
また、中期の調査河川合計の年齢組成は、3歳魚4%、4歳魚84%、5歳魚10%(平成29年度中期:3歳魚17%、4歳魚46%、5歳魚34%)と前期と同様に前年に比べて4歳魚の割合がきわめて高い傾向にありました。さらに、織笠川を除いて魚体も小さくヤセている傾向にあることから、県全体の平均体重が減少していると考えられます。
県全体の種卵確保状況は、中期まで概ね計画数が確保されていますが、後期に入り河川そ上尾数が急激に減少しています。引き続き海産親魚の利用や種卵移出入調整により確保に努めていただくようお願いします。