平成28年度岩手県水産技術センター年報

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1.水産業の経営高度化・安定化のための研究開発

1-(1)ワカメ等海藻養殖の効率化システムの開発-①ワカメ自動間引き装置の開発(企画指導部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p6-9

本県のワカメ養殖業者は、零細な個人経営体が大半であることに加え、高齢化や後継者不足などの深刻な問題を抱えている。経営体数が年々減少傾向にある中で、生産の維持・増大を図っていくためには、手作業を中心としたワカメ養殖の生産工程を効率化・省力化するシステムの開発が不可欠である。
特に、養殖ワカメ生産工程の一つである間引き作業は、厳冬期の1月から2月に行われ、これがワカメ養殖業者の大きな負担となっている。当所では、平成22年度から石村工業株式会社とともに、ワカメ自動間引き装置(以下、装置)の開発に着手し、震災以降は「食料生産地域再生のための先端技術展開事業」において省力化システム開発の一環として実証試験に取り組んでいる。
平成26年度に装置を開発し、平成27年漁期から当装置の有効性を検証するため、ワカメ養殖漁場において当装置を用いた試験操業を実施している。
本研究では、装置の有効性を確認するため、①外洋性の漁場で試験操業を実施し、作業速度や間引き効果を調べるとともに、②当装置を使用した場合の作業状況を詳細に把握するため、平成28年1月に実施した試験操業の画像データをもとに労働分析を実施する。

1-(1)-②陸上刈取り装置の開発(企画指導部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p10-11

三陸地域のワカメ養殖は零細な経営体が多く、収穫から加工までの間に作業が集中するうえ、生産者の減少や高齢化など、多くの課題を抱えている。
陸上刈取り装置の導入で以下の効果が得られると期待され、上記課題の解消に有用と考えられる。
・陸上で安全に楽な姿勢で刈取れる。その結果、高齢者や女性、不慣れな者も作業に従事でき、労働力を確保しやすくなる。
・荒天が予想される際に、養殖桁を前もって漁港内に移すことにより、荒天でも陸上で刈取れ、刈取り日数の増加や、作業の平準化につながる。
・刈取りと桁掃除を同時に行える。
そこで、平成28年3月に陸前高田市広田町根岬地区で“陸上刈取りに用いる養殖桁の曳航(17日)”や“陸上刈取り(20日)”を試験的に実施し、詳細を“平成27年度岩手県水産技術センター年報”に記載した。
その後、作業時間等を精査したので追加報告する。

2.全国トップレベルの安全・安心を確保する技術の開発

2-(1)毒化した二枚貝の麻痺性貝毒減衰時期予測、及びシストの分布、二枚貝養殖漁場の環境評価-①麻痺性貝毒プランクトンのシスト分布をはじめとした環境調査(漁場保全部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p12-14

貝類の毒化時期における海況及び水質の変化とプランクトンの出現状況を調査することにより、貝類の毒化原因となるプランクトンの出現状況及び毒化状況を明らかにし、解決策を探るための基礎資料とする。

2-(1)-②毒化した二枚貝の毒量減衰式の作成(漁場保全部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p15-18

東日本大震災後、貝毒原因プランクトンの大量発生によりホタテガイ等の毒化が問題となっている。特に、大船渡湾では麻痺性貝毒によるホタテガイの高毒化のため、長期間にわたる出荷自主規制を余儀なくされ、漁場によっては貝毒が抜けやすいとされるマガキへ養殖種の変更も行われている。
そこで、出荷自主規制解除時期の予測により、計画的な出荷再開へ養殖管理の目安として、毒化した二枚貝の麻痺性貝毒減衰時期予測式を作成する。また、震災後、麻痺性貝毒原因プランクトンの休眠胞子(シスト)が存在する海底が攪(かく)乱されたことから、シスト分布の震災後の変化を把握する。

2-(2)カキのノロウイルス汚染による食中毒事故の発生リスク低減に関する研究(漁場保全部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p19-21

ノロウイルス(以下、「NV」)による食中毒は、食中毒原因のトップとされる。その感染原因の一つとして、NVに汚染されたマガキ等二枚貝類の生食、あるいは不十分な加熱調理後の摂食が挙げられ、マガキ(以下、「カキ」)の生産段階におけるNVに由来するリスク管理が求められている。
このため、カキ養殖漁場におけるNVの分布実態を把握するとともに、カキ養殖漁場におけるNVの汚染予測手法を開発し、NVによるカキの汚染リスク低減のための漁場管理方法を提示することを目的とする。

3.生産性・市場性の高い増養殖技術の開発

3-(1)秋サケ増殖に関する研究-①増殖・管理技術の開発・改善(漁業資源部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p22-29

岩手県の秋サケ回帰尾数は平成8年度をピークに近年低迷しており、その回復が喫緊の課題となっている。
サケ資源の減少には、沿岸海洋環境(春季の海水温、餌となる動物プランクトン種等)の変動によるサケ稚魚の減耗が関係していると考えられている。このことから、民間ふ化場からは海洋環境の変動に適応した(生残率の高い)稚魚の生産・放流技術の開発が求められている。
本研究では、民間ふ化場と同規模で試験が可能なサケ稚魚大規模実証試験施設において、飼育密度(平成27年度)及び給餌飼料(平成28年度)についてそれぞれ異なる条件下で飼育した稚魚を放流し、その後の成長・生残を比較するほか、放流サイズ及び海水馴致放流等の放流手法について検証することを目的とする。

3-(1)-②秋サケ回帰予測技術の向上(漁業資源部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p30-35

岩手県の秋サケ回帰尾数は、平成8年度をピークに今日まで低迷しており、回帰尾数減少の要因解明と回帰尾数回復の対策が求められている。
本研究では、①漁業指導調査船「岩手丸」・「北上丸」(以下岩手丸、北上丸と略する。)を用い、岩手県・北海道太平洋沿岸における幼稚魚期の分布状況や成長速度の推定、並びに②津軽石川、織笠川及び片岸川のそ上親魚調査の年齢組成、体サイズ及び繁殖形質(孕卵数、卵体積、卵径及び卵重)の長期的なモニタリング結果から、秋サケの回帰予測を行うことで安定した増殖事業の実践に資するとともに、近年の資源変動要因の解明に寄与することを目的とする。

3-(2)アワビ等の種苗放流に関する研究-①種苗生産の安定・低コスト化技術の開発(増養殖部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p36-37

岩手県沿岸はアワビの好漁場であり、アワビの漁獲量(平成22年度)は都道府県別で最も多い283トン、全国漁獲量1,461トンのおよそ2割を占めていた。岩手県では、この漁獲量を維持、増大するため、年間800万個の種苗放流と漁獲規制などの資源管理を実施してきたが、東日本大震災の大津波によりアワビ資源は大きな被害を受けた。震災後の調査結果から、平成22年生まれ(震災時の年齢は10歳)の天然稚貝が全県的に壊滅的な被害を受けたことが明らかとなり、さらに、県内のアワビ種苗生産施設が全壊し、平成23年以降当面の間、種苗放流を実施できない状況であることから、今後アワビ資源の減少、低迷を招くことが危惧されている。
このような状況から、アワビ種苗生産・放流の再開によるアワビ資源の増強が強く求められており、その一方で放流を行う各沿海漁協では復旧・復興のための経済的な負担が膨らんでいることから、震災前の種苗生産体制への単なる復旧ではなく、最先端の技術を活用し、従来以上に効率的な体制を構築することが急務である。
本研究では、事業規模での導入例のない再成熟採卵方式によるアワビの増殖技術の実証研究を行い、併せて、アワビ初期稚貝の好適餌料である針型珪藻およびワカメ幼芽を用いた飼育技術の導入により、従前より飛躍的に生産効率の高い種苗生産技術の開発を行う。

3-(3)海藻類養殖の生産効率化に関する研究-①人工種苗生産技術に関する研究(増養殖部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p38-41

本県のワカメ養殖については、色の良さや葉の厚み等の品質を重視するとともに、病虫害による被害の発生を防ぐ観点から、収穫時期を3月から4月に限定して比較的若い葉体を収穫しているため、養殖施設当たりの生産量が比較的少なくなっている。しかし、養殖施設当たりの生産量の多寡は漁家の収益に直結していることから、県内の養殖関係者からは、より早く大きくなるワカメ種苗の開発が求められている。また、近年出荷量が増加している、間引いたワカメを生出荷する「早採りワカメ」については、出荷時期を早めることや、早採りワカメを専用の施設で繰り返し生産することによる生産量の増加などにより、漁家の増収への寄与が期待できる。このことから、本研究ではより早く沖出し可能な種苗生産技術について検討するとともに、より成長が早いワカメ種苗の開発に取り組み、養殖施設当たりの収穫量を増加させると同時に、早採りワカメの生産量増大、効率化のための手法についても検討を行う。

3-(3)-②海藻類養殖における病虫害発生機構に関する研究(増養殖部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p42-48

ワカメ、コンブは本県を代表する養殖種目である。これらの養殖種は、病虫害の発生や生理活性の低下等により減産や品質低下など大きな被害を及ぼす年があるが、有効な防除手段が確立されておらず、早期刈り取り指導などを通じて品質低下を水際で防いでいる状況にある。本研究は、ワカメ性状調査などの基礎的研究を積み重ね、病虫害発生の早期発見や出現傾向を把握することでワカメの品質維持に努めるとともに、知見の積み上げによる将来的な病虫害発生機構解明を目的とする。

3-(4)介類養殖の安定生産に関する研究-①ホタテガイ・ホヤ等の安定生産手法の検討(増養殖部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p49-55

本県の重要な海面養殖の一つであるホタテガイ養殖について、良質な地場種苗の確保による安定生産のためには、浮遊幼生(ラーバ)出現状況等のデータに基づいて採苗を進めることが必要であることから、浮遊幼生と付着稚貝の出現状況を調査して情報提供を行い、採苗器の適期投入による種苗の安定確保に資する。また、近年、ヨーロッパザラボヤの大量付着により、養殖管理の作業負担が増大していることや、餌料の競合によるホタテガイの生残、成長の悪化が懸念されており、その付着を軽減する技術を開発し、作業性、生産性の向上を図る。
また、マボヤ養殖においては、種苗の確保と疾病の発生を防ぐ観点から、県内で種苗を確保するために人工種苗生産の取り組みが広がっているが、沖出し後に減耗するなど必ずしも順調ではない事例があることから、人工種苗生産技術の向上について検討した。

3-(4)-②マガキの新しい生産技術導入の検討(増養殖部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p56-59

マガキは本県の重要な養殖対象種であるが、震災以後種苗の供給が不安定であること、種苗の移入による病原体拡散のリスクが高まっていることが問題となっている。これらの問題を解決するため、県内で種苗生産する技術を確立する必要がある。そこで、県内での天然採苗及び人工種苗を用いたシングルシード養殖の導入を目的とし、天然採苗試験及びシングルシード種苗生産・養殖試験を行った。

4.水産資源の持続的利用のための技術開発

4-(1)海況変動を考慮した漁海況予測技術の開発(漁業資源部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p60-66

本県海域は、複数の海流が流入することにより海洋環境は複雑かつ季節的・経年的に変化が大きく、沿岸域の漁船漁業及び養殖業に与える影響も大きい。例えば、冬季から春季にかけて親潮系冷水が南偏して長期的に本県沿岸に接岸する異常冷水現象は、その年のワカメ養殖等に影響を及ぼすことがある。そのため、漁業指導調査船での海洋観測、定地水温観測、人工衛星画像などから得られる海洋環境データを情報発信するとともに、多面的に解析することにより漁海況予測技術の開発を検討し、漁業被害の軽減と生産効率の向上を目指す。
また、水産情報配信システム「いわて大漁ナビ」により県内魚市場の水揚げデータや水温情報を広報し、漁船漁業者や養殖業者の日々の操業を情報面から支援する。

4-(2)地域性漁業資源の総合的な資源管理に関する研究-①主要底魚類の資源評価(漁業資源部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p67-78

岩手県地先の重要な漁業資源である底魚類の資源水準を評価し、その変動要因を推定することにより、多様で持続可能な漁船漁業の再構築に貢献する実践可能で効果の高い資源管理方策を提案することを目的とした。

4-(2)-②東日本大震災以降の漁船漁業の現状評価と、資源評価結果に基づく資源利用モデルの導入(漁業資源部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p79-81

岩手県の漁船漁業は、多様で変化に富む地先の漁業資源を様々な漁法で漁獲することによって営まれてきたが、東日本大震災によって甚大な被害を受けた。今後、なりわいとしての水産業が再生し、復興していくためには、海域の生産力を最大限生かした多様な漁業の復活が欠かせない。そこで、本研究は、岩手県で行われている沿岸漁船漁業の回復過程をモニタリングすることにより、多様で持続的な沿岸漁船漁業の再構築に寄与することを目的とする。

4-(3)回遊性漁業資源の利用技術の開発(漁業資源部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p82-93

日本が平成8年に批准した国連海洋法条約では、排他的経済水域内の水産資源について科学的根拠に基づく資源状態の評価と適切な資源管理が義務づけられている。このため、複数の都道府県で利用される回遊性資源については、国及び関係都道府県の研究機関と協力し、資源調査・漁況予測技術の開発を行っている。
本研究では、資源の持続的利用を図ることを目的に、漁獲可能量(TAC)の制定に係る資源評価票及び漁況予測のための情報収集、並びに本県の特性を反映した地先海域における漁況の把握及び予測を行う。

4-(4)震災による磯根資源への影響を考慮したアワビ・ウニ資源の持続的利用に関する研究(増養殖部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p94-100

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及び津波による磯根生物への影響とその後の回復状況を、震災前の調査資料がある県内3か所(北部:洋野町、中部:宮古市、南部A:大船渡市)及び震災後に調査を開始した南部B(釜石市)で検討する。また、種苗生産施設の被災によりアワビやウニ類の種苗放流が中断・縮小したため、これらの生息量がどのように推移したかモニタリングする。

5.いわてブランドの確立を支援する水産加工技術の開発

5-(1)高次加工を目指した加工技術開発に関する研究-①通電加熱技術等による省エネ・省力化型加工製造技術開発及び実証研究(利用加工部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p101-105

通電加熱技術は精密な温度制御能に優れ、製造工程のシステム化により大量生産に適した技術であり、導入運用次第で高品質化やコスト削減につながる。カマボコ製造の加熱用機械として主流となっているが、水産加工業の大半が中小企業で占められ、伝統的な手法へのこだわりが多い水産加工にはあまり活用されていない。そこで通電加熱技術の利活用を推進するため、処理機械の小型化を図り、ソフト技術開発として様々な地域の水産加工品製造に合致した製造条件の確立並びに生産用機械開発を行う。県内企業が生産販売試験を行い本技術のメリットであるエネルギーやコストの削減による収益の向上を実証して、企業への導入を促進する。

5-(2)地先水産資源の付加価値向上に関する研究-①地域水産資源を用いた加工品試作開発(利用加工部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p106-107

高齢者に多い嚥下困難者を対象とした食品や未利用資源を有効利用した食品を開発する。

5-(3)県産水産物の品質に関する研究-①簡易・迅速品質評価技術開発(利用加工部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p108-109

大和製衡㈱などが魚体のインピーダンス値から脂肪率を推定する測定機を開発する中で、当所は、共同研究機関としてサケ、カツオ、ブリ、サワラの魚種についてデータ収集を行い、本測定機は、平成27年2月、「フィッシュ・アナライザ(Fish AnalyzerTM)」として市販された。一方、全国では本測定機を活用し、地元で漁獲されるマグロやタイなどのブランド化に取り組んでいる事例が見られる。そこで、本年度は、新巻サケの加工において、本測定機を利用して原料を脂肪率別に選別する意義について検討した。
また、マダラは外観から雌雄判別することが難しいが、精巣と卵巣では水分や細胞の大きさが異なり、インピーダンス値に差異が生じると予想されることから、本測定機を利用して雌雄判別ができないか検討した。

5-(4)県産水産物の素材特性に関する研究-①海藻製品の品質向上および新しい加工品の開発に関する研究(利用加工部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p110-119

1 平成28年春の水温は例年よりも2~3℃高く、養殖ワカメの生育や形状(生長と老化が早まり長さが短めで芯が太くメカブが大きくなる等)に大きく影響した。藻体の酸性化の指標である葉体のpHを調べ、冷水が長期間接岸して藻体のpHが6未満に低下した平成27年と比較した。
2 異常冷水現象(沿岸域で5℃以下の水温が2週間以上持続)の発生により平成27年産の湯通し塩蔵ワカメは貯蔵中(買受人や漁協による-10~18℃程度の貯蔵)に変色が多発したが、ほとんどは漁協自営加工場による製品であった。そのため平成28年春に湯通し温度を見直し、平成27年の湯通し温度設定よりも2~3℃下げる対応を行った漁協自営加工場が見られた(平成27年度年報p133~140参照)ので、貯蔵後の品質(色調)についての聞きとり調査を行った。
3 平成28年2月に策定した『ワカメ高速攪拌塩漬装置しおまるの推奨使用条件(水産技術センターHP:ダウンロードのWebページを参照)』の平成28年産「芯太ワカメ」に対する有効性を検証するため、平成28年産湯通し塩蔵ワカメの品質調査を実施した。なお、本品質調査は「しおまる」による攪拌式に加え、従来の振り塩による塩漬法(従来式)や飽和食塩水をポンプで循環させて塩漬する循環式の試料も収集し、県産湯通し塩蔵ワカメの品質向上を目的として調査を実施した。

6.豊かな漁場環境の維持・保全のための技術開発

6-(1)適正な漁場利用を図るための養殖漁場の底質環境評価(漁場保全部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p120-123

県内主要5湾(表1参照。県漁場環境方針に定める重要監視水域(大船渡湾・釜石湾)のモニタリングは別途毎年実施)の底質環境を評価し、適正な漁場利用および増養殖業の振興に資する。

6-(2)県漁場環境保全方針に定める重点監視水域(大船渡湾・釜石湾)のモニタリング及び広報(漁場保全部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p124-128

釜石湾及び大船渡湾は、岩手県漁場環境保全方針に基づく重点監視水域に指定され、水産生物にとって良好な漁場環境を維持するため、水質・底質、底生生物を調査し、漁場環境の長期的な変化を監視してきている。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災による津波で、両湾とも陸域から相当量の有機物等の流入、海底地形の変化・海底泥のかく乱等が生じたことで、湾内の養殖漁場環境が大きく変化した。また、両湾に設置された湾口防波堤は復旧工事により新たな構造となったことで、湾内の養殖漁場環境は今後も変化することが予想される。そこで、湾内の漁場環境に影響を与える水質や底質をモニタリングし、その変化を漁業関係者に情報提供することにより漁場管理を促す。

6-(3)養殖ワカメ安定生産の基礎となるワカメ漁場栄養塩モニタリング及び関係者への広報(漁場保全部)

2016 岩手県水産技術センター年報 p129-130

ワカメの生育に影響を及ぼす栄養塩濃度の変化について、定点を経年調査し、情報を随時提供することで、ワカメ養殖の振興に資する。