岩手県水産技術センターArchives -岩手の水産研究、水産業関連機関が連携した、実証研究成果の情報発信サイト-

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課題4-中課題1

新たな種苗生産工程による高品質・低コスト化技術の開発

  • 研究概要

岩手県におけるアワビ漁獲量に占める放流貝の割合、いわゆる混獲率は役30%前後であり、種苗放流事業はアワビ漁獲量の底上げに貢献してきた。

しかし、東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波によりアワビ種苗の生産を担ってきた岩手県栽培漁業センターや各漁業協同組合の種苗センターがすべて壊滅したため、当面、放流事業を実施できない状況にある。

本課題では、被災したアワビ種苗生産体制の早期復興に際して、従来よりも効率的な種苗生産技術を開発し、生産コスト削減効果等を分析したうえで漁協等へ技術移転を行うことを目的とする。

小課題1-1
二次成熟卵を用いたエゾアワビ種苗生産技術の開発

投稿日:2013年3月7日

これまでの研究から、一度採卵した親貝を1ヶ月程度の期間をおいて再成熟させて産卵させると(このとき得られる卵を二次成熟卵という)、脂質や蛋白質の含量が多く、初期稚貝までの生残率が向上することが明らかにされている。

この特性を利用して、質の高い卵を確保し、初期稚貝の生残率を高めることにより、従来よりも効率的に種苗の生産量を確保することが可能となる技術を開発する。

小課題1-2
好適餌料を用いた飼育技術の開発

投稿日:2013年3月7日

採苗板上で好適な餌料環境を維持することにより、初期稚貝および稚貝の生残率・成長速度を向上させ、安定した種苗を生産することが可能となる技術を開発する。

小課題1-3
新たな種苗生産工程の実用化

投稿日:2013年3月7日

小課題1-1、2で得られた成果を総合して新たな種苗生産工程をマニュアル化し、事業規模での実証を行う。

小課題1-4
半閉鎖循環系を用いた種苗生産技術の開発

投稿日:2013年3月7日

生産コストの低減を目的として、閉鎖循環系を用いた種苗生産技術を開発する。25年から実施。

取組状況・成果概要

課題4-中課題2

効率的なエゾアワビ資源管理・増殖技術の開発

  • 研究概要

天然漁場では大津波による海底攪乱により、震災当時0~1歳の稚貝が特に目立って減少した。

エゾアワビは4~5歳で漁獲されるため、今後、漁獲の対象となる資源が減少し、さらに産卵量の低下による新規発生群の衰退が懸念される。

攪乱により減少した資源を維持し回復させながら漁業を可能とする資源管理・増殖方策を明らかにして資源管理の主体となる漁業団体等に情報を発信する。

小課題2-1
高精度年齢査定法の開発

投稿日:2013年3月7日

津波攪乱前後のエゾアワビ資源の年齢構成および津波後の加入群の動態を明らかにするため、精度の高い年齢査定法を開発する。

アワビの年齢査定については、貝殻表面に形成される障害輪を年輪と仮定して査定が行われてきた。しかし、障害輪が明確に形成されない場合や1年に複数の障害輪が形成される場合などがあり正確な査定が困難であった。

近年、貝殻縦断面に年齢形質として有効な輪紋が形成される可能性が明らかになった。

この貝殻縦断面に形成される輪紋について、年齢形成としての有効性を検討する。

小課題2-2
攪乱に対応した資源管理技術の開発

投稿日:2013年3月7日

エゾアワビ資源に対する震災攪乱の影響を把握し、持続的かつ収益を最大にする漁業管理方策を明らかにする。

小課題2-3
親貝移植による増殖技術の開発

投稿日:2013年3月7日

津波攪乱による産卵母貝の減少を回避するため、深所に生息するエゾアワビ未利用資源を生産性の高い漁場に移植することによって、親集団を増強し再生産効率の向上を目的とした移植技術を開発する。

取組状況・成果概要