令和6年度 岩手県水産技術センター業務方針(令和6年5月18日)
組織の目的・役割
「いわて県民計画(2019~2028)」、第2期アクションプラン(2023年度~2026年度)及び岩手県水産試験研究中期計画(2024(R6)~2028(R10))に基づき、漁場環境から生産、加工、流通、消費に至るまでの一貫した調査研究と普及指導に取り組み、激変する海洋環境に対応した漁業及び水産流通・加工業の発展を支援していきます。
組織の主要な価値提供先(顧客)やビジネスパートナー
- 主要な顧客:漁業者、水産流通・加工業者及びその関係団体、県民(消費者)
- ビジネスパートナー:漁協・漁連、水産流通・加工関係団体、市町村、県水産関係行政組織、各種コンソーシアム、全国の水産研究機関・団体、大学等
主要な価値提供先(顧客)ごとの提供すべき価値
- 1 漁業者、水産流通・加工業者及びその関係団体【SNS、HP、研修会、出前講座、普及指導員を通じて提供】
- (1) 漁船漁業者:資源管理手法、新たな漁法及び海況・漁場情報
- (2) 定置漁業者:経営改善情報、急潮情報及び資源管理手法
- (3) 採介藻漁業者:資源増殖手法及び資源管理手法
- (4) 養殖業者:きめ細かな養殖管理情報、種苗確保技術、新たな養殖技術、漁場環境評価に基づく漁場の適正利用方法
- (5) 流通・加工業者:高鮮度流通技術、品質向上技術及び加工技術
- (6) 増殖団体:回帰率(回収率)や経済性の高い種苗生産技術及び防疫手法
- 2 県民(消費者)【SNS、HPで提供】
- 食の安全に関する調査結果、沿岸環境の実態及び水産資源の動向等に関する情報
組織や業務を取り巻く環境とその変化
- 1 東日本大震災津波等からの復興状況
- (1) 東日本大震災津波や度重なる台風被害等からの漁業と流通業・加工業の一体的な復興が進みましたが、主要魚種の漁獲量は低迷しているほか、ワカメやホタテガイ等の養殖生産量、アワビやウニ等の採介藻漁業生産量は、震災前の水準には回復していません。
- (2) 漁業就業者は高齢化と後継者不足により、依然として減少傾向にあります。
- 2 近年の海洋環境変化の影響
- (1) 秋サケ、サンマ等主要魚種の漁獲が激減し、一方でマイワシ等の漁獲が増加するなど、資源動向が大きく変化しています。
- (2) 春季の高水温化や夏季の異常高水温によりコンブ群落が減少し、アワビ資源は低位で推移しています。
- (3) 夏季~秋季の海水温上昇により、養殖ホタテガイのへい死が起こっています。
- (4) 麻痺性貝毒による出荷規制が広域化かつ長期化しています。
- 3 新たな養殖業の動き
- (1) 近年、県内では、静穏水域や水温の地理的優位性を生かした海面でのサケ・マス養殖が盛んになっています。
- (2) 本県での新たな養殖業振興に向け、アサリ種苗生産・量産技術の開発が進んでいます。
- 4 東京電力福島第一原発の影響及び為替、世界情勢の影響
- (1) ALPS処理水放出に伴う中国の日本産水産物全面禁輸措置がいつまで続くか見通しが立ちません。
- (2) 円安による輸入品の価格上昇や原材料費の上昇、ロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の不安定化や原油価格の上昇により、漁業者、流通・加工業者の経営環境は厳しくなっています。
- 5 県民の信頼回復
- 令和2年2月16日に、元職員が起こした酒気帯び運転・死亡事故事案により失墜した信頼を回復するため、組織一丸となって飲酒運転撲滅に取り組むとともに、業務で成果を出し続けていく必要があります。
本年度の業務における主要課題(担当部署)
- 1 漁業経営の高度化・安定化に関する研究開発
- (1) 漁業・養殖業の経営改善に関する研究(企画指導部)
- (2) 県産水産物のマーケティングに関する研究(企画指導部)
- 2 食の安全・安心の確保に関する技術開発
- (1) 二枚貝等の貝毒に関する研究(漁場保全部)
- 3 生産性・市場性の高い産地形成に関する技術開発
- (1) 環境変化に対応した技術開発
- ① 海洋環境変化に対応したサケ資源の増殖技術の開発(漁業資源部増養殖部)
- ② 海洋環境変化に対応した磯根資源の増殖に関する研究(増養殖部)
- ③ 洋環境変化に対応した海藻類養殖の安定生産に関する研究(増養殖部)
- ④ 海洋環境変化に対応した貝類養殖の安定生産に関する研究(増養殖部)
- ⑤ 漁獲が増加している資源及び未利用資源の有効利用に関する研究(漁業資源部、利用加工部)
- (2) 水産生物の病虫害防除に関する研究(増養殖部)
- 4 水産資源の持続的利用に関する技術開発
- (1) 漁海況の中長期的な変化とその要因に関する研究(漁業資源部)
- (2) 水産資源の持続的利用のための評価・管理技術の開発(漁業資源部、増養殖部)
- 5 いわてブランドの確立を支援する水産加工技術の開発
- (1) 県産水産物の特徴を生かした流通・加工技術に関する研究(利用加工部)
- (2) 低・未利用資源の有効利用に関する研究(利用加工部)
- (3) 県産水産物の品質の維持・安定化に関する研究(利用加工部)
- 6 恵まれた漁場環境の維持・保全に関する技術開発
- (1) 養殖漁場の環境評価に関する研究(漁場保全部)
- (2) 養殖生産安定のための環境把握技術に関する研究(漁場保全部)
- (3) 「海業」の促進に係る調査研究(企画指導部)
- 7 漁村復興を担う地域リーダーの活動支援及び新規就業者の定着支援(水産業普及指導員)
- 8 広報機能の強化(企画指導部)
- 9 試験研究課題の推進(企画指導部)
組織運営課題
- 1 職員憲章の実現
- 2 働き方改革の実現
- 3 内部統制