平成29年11月28日発行
平成29年度農林水産部長表彰受賞課題
新たなワカメ人工種苗生産技術「フリー種苗と半フリー種苗」について
はじめに
岩手県の養殖ワカメ生産量は全国1位となっていますが、もっとも多かった1980年代の約4万トンに対し、震災後は1万5千トンにまで減少しています。そこで、生産量を増やすため、より早く大きなワカメを育てる養殖技術を開発しました。この技術は今年度の農林水産部長表彰を受賞しました。
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左)西洞孝広部長
右)佐々木 司技師
研究の概要
フリー種苗
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無基質培養*した配偶体を成熟させ、ミキサーで粉砕する。
大きな水槽でワカメの幼葉が3~5cm程度になるまで流水・通気培養を行う。
*無基質培養:基質(種糸など)に付着させずにフラスコなどで培養すること。
半フリー種苗
半フリー種苗は、フリー種苗の改良型で、巻き込み作業が楽にできます。
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クレモナ糸に配偶体を付着させ芽が出るまで止水で培養。
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2cmほどにカットする。
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大きな水槽でワカメの幼葉が3~5cm程度になるまで流水・通気培養を行う。
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本養成の様子
フリー種苗・半フリー種苗のメリット
1.優れた形質のワカメを選択的に種苗として用いることができる。
2.海上施設において種苗を保苗する作業が不要。
3.葉長3~5cm程度まで陸上水槽で育成するので、芽落ちしない十分な大きさの種苗ができる。
4.種苗が大きく、種糸への巻き込み作業が楽にでき、密度を調整すれば間引き作業が不要になる。
5.沖出しサイズが大きいので、早く大きくなり収穫量増加が見込める。