ニュースNo14

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令和元年9月11日発行

43年振りに戻ってきました!

 8月のお盆期間中に、茨城県在住の方から「岩手県の水産試験場で放流したハガキを鹿島の浜で拾いました。結構、古い物のようですが、どうしますか?」という内容のご連絡を頂きました。
 とりあえず、当センターに送って頂き、確認したところ、1976年(昭和51年)に岩手県沖から放流した「海流封筒」だったことが判明しました。


 これは、春~夏の岩手県沿岸域の海流の動きを明らかにし、小型スルメイカの来遊経路を究明するため、1976年(昭和51年)3月~6月にかけて実施した試験で使用したものです。その方法は、海流封筒4,000枚を岩手県内の10定点(普代村黒埼沖、宮古市トドヶ埼沖、釜石市尾埼沖、陸前高田市椿島沖)から、各月100枚(1月あたり1,000枚)を放流し、漂着した海流封筒の情報(漂着年月日、場所、通し番号)を基に、放流場所からの移動経路を解明するものです。
 当時の報告書によると、放流した4,000枚のうち、漂着報告は207枚(うち、福島、茨城に漂着は26枚)、拾得率は5.1%、漂着範囲は北海道沿岸から茨城県沿岸でした。残念ながら、当時の詳細なデータが所在不明のため、今回の海流封筒の放流場所と時期は特定できませんでしたが、南下した海流封筒は、早いものは20日程度で200海里(370km)程度を移動していますので、今回の海流封筒はその約780倍(!)もの時間をかけて漂着したことになります(20190911news002PDF 2)。

 試験から43年を経過し、外側の防水ケースも損傷と変色が激しく、そのまま漂着ゴミとして処分されてしまっても不思議ではない状態でしたが、このように回収されて我々の手元に戻ってきたことは奇跡に近く、大変驚くとともに、ご連絡を頂いた方のお心遣いに大いに感謝しています。
 どの様なコースを辿って漂着したのか、残念ながら、今回の海流封筒から経路をたどることはできませんが、海では我々の想像が及ばないことが、まだまだ起きると実感できた一件でした。