令和7年3月24日
3月上旬の各湾内の表面水温は7～8℃台であり、各湾で平年よりも高めの傾向となりました。また、3月上旬の動物プランクトン沈殿量は、野田湾及び山田湾では平年よりも多い傾向でしたが、大船渡湾では平年よりもかなり少ない傾向でした。
現在、本県北部沖を中心に親潮の波及が認められ、今後南下する兆候がありますが、沿岸域にはあまり接近しない見込みです。近年の放流適期と見られる3月中※1に、なるべく1.5g以上※2のサイズで放流するよう努めてください。また、採卵後期の稚魚については、4月以降でもなるべく早期の放流が望ましいと考えられますが、海況及びプランクトン量と放流サイズを考慮し、放流時期を選定してください。
1.表面水温(℃)
| 野田湾※3 | 宮古湾 | 山田湾 | 唐丹湾 | 越喜来湾 | 大船渡湾 | |
| 観測値(3/4,12) | 8.4 | 8.8 | 8.8 | 8.6 | 8.3 | 7.4 |
| 平年＊4 | 6.8 | 6.2 | 5.7 | 5.6 | 6.1 | 6.8 |
| 前年同期 | 7.3 | 7.7 | 8 | 7.9 | 8.1 | 7.8 |
3月上旬の各湾の表面水温は7～8℃台であり、各湾で平年より高く、特に宮古湾から越喜来湾にかけて、平年より2～3℃程度高めとなりました(図1)。
2.動物プランクトン沈殿量(ノルパックネット鉛直20m曳き、mL/m3)
| 野田湾※3 | 宮古湾 | 山田湾 | 唐丹湾 | 越喜来湾 | 大船渡湾 | |
| 観測値(3/4,12) | 0.25 | 0.39 | 0.66 | 0.23 | 0.33 | 0.03 |
| 平年＊4 | 0.17 | 0.43 | 0.34 | 0.36 | 0.3 | 0.64 |
| 前年同期 | 0.09 | 0.2 | 0.2 | 0.13 | 0.13 | 0.26 |
3月上旬は、野田湾及び山田湾で平年よりも多い傾向でした。一方、平年では3月上旬から上昇傾向にある大船渡湾では、かなり少ない傾向でした(図1)。
現在、本県北部沖に波及している親潮は、今後南下を続け、黒潮の北上は抑えられる見込みです。しかし、4月上旬には津軽暖流の勢力が強くなり、親潮が沿岸域に接近する見込みはあまりありません(図2,3)。
3.その他
(1) 北上丸による沿岸海洋観測・動物プランクトン発生状況調査(5湾)及び当センター並びに県北広域振興局水産部による野田湾の観測調査によるものです。
(2) いわて大漁ナビ(https://www.suigi.pref.iwate.jp/)の定地水温情報・衛星画像や当センター発行の海況情報等も参考にしてください。
※1 熊野川における回帰親魚調査の結果、4月中旬以降の放流魚は大幅な回帰率の低下が見られた。
※2 熊野川の大規模実証試験において、2月放流の場合、放流時のサイズが大きいほど回帰率が高い傾向がある。
※3 野田湾は3月12日に観測・調査を実施、動物プランクトン沈殿量はネットを2回曳いて測定。
※4 平年は過去20～22年間の同期の平均値。野田湾はH17、H19及びR3～6の6年間の調査結果の平均値。
※水温値が欠落している箇所は欠測であり、併せて同期の沈殿量データも欠落している。
※気象庁HP(気象庁 | 海面水温予想図 (jma.go.jp))より引用
※気象庁HP(気象庁 | 海面水温実況図 (jma.go.jp))より引用
漁業資源部(担当：岡部)
TEL: 0193-26-7915