令和2年5月12日
協力機関:沿海振興局水産部・水産振興センター、関係漁業協同組合
ホタテガイラーバの来遊量は少ないと予測。
今年度のラーバ来遊予測(図1)
岩手県海域の4月100m深水温は8.04℃であり、予測される付着稚貝数(唐丹湾定点)は332個/袋と、近年で最も低い値となりました。
このことから、各地区においてラーバの来遊量が少ないことが予想されますので、十分な稚貝の確保に向け、次の対応をお願いします。
稚貝確保に向けた対応
採苗器の数を増やしましょう。
各浜におけるラーバ・付着稚貝調査結果と【ホタテガイ採苗情報】を参考に採苗器投入時期を判断しましょう。
付着盛期の判断が難しいことが予測されますので、分散投入を行いましょう。
ホタテガイラーバ来遊予測技術
◎4月の100m深水温からその年のラーバの来遊動向を予測する手法を開発
本県に来遊するホタテガイラーバの主な起源は、遠くは陸奥湾及び噴火湾と推定されています。来遊量は、海流の影響を受けて大きく変化すると考えられるため、ラーバを模した仮想粒子群を追跡する数値実験を行いました。その結果、ラーバが本県沿岸に到達するには、親潮が本県に接近することが重要であることがわかりました。
そこで、本県海域の4月の100m深水温(親潮の指標)と唐丹湾の付着稚貝数を比較したところ、有意な負の相関関係が認められました。この関係を用いて、4月の100m深水温からその年のラーバの来遊動向を予測できるようになりました。