令和5年2月14日
湾内の表面水温は6~8℃台で、県南部から中部にかけて平年並、県北部で低めとなっています。親潮の本県沿岸域への波及が弱く、黒潮の勢力が強いことから、水温が低下しにくい傾向にあります。
動物プランクトン沈殿量が少ない時期ですが、越喜来湾では平年よりも多い傾向、唐丹湾以北では平年よりも少ない傾向にあります。
前年は3月末にかけて沿岸親潮水の流入により、本県沿岸域において急激な水温低下が発生しましたが、今年の表面水温は比較的安定して推移する見込みです。3月上旬~下旬に動物プランクトン量が増加傾向となることから、今後の海況に注視しつつ、同月以降の放流に向けて、2g以上の稚魚※1の適切な飼育管理に努めてください。
1.表面水温(℃)
野田湾※2 | 宮古湾 | 山田湾 | 唐丹湾 | 越喜来湾 | 大船渡湾 | |
観測値(2/6,7) | 7.1 | 6.8 | 7.9 | 7.8 | 8.1 | 7.2 |
平年*3 | 9.1 | 7.5 | 7.5 | 8.3 | 8.3 | 7.5 |
前年同期*4 | 8.5 | – | – | – | – | – |
各湾の表面水温は6~8℃台で、宮古湾、山田湾、唐丹湾、越喜来湾、大船渡湾で平年並、野田湾で平年より2℃低め、前年同期より1℃低めとなっています。現在、親潮の本県沿岸域への波及が弱く、北上する黒潮の勢力が強いことから、例年よりも水温が低下しにくい傾向にあると予測されます。
2.動物プランクトン沈殿量(ノルパックネット鉛直20m曳き、ml/m3)
野田湾※2 | 宮古湾 | 山田湾 | 唐丹湾 | 越喜来湾 | 大船渡湾 | |
観測値(2/6,7) | 0.03 | 0.03 | 0.07 | 0.03 | 0.33 | 0.33 |
平年*3 | 0.4 | 0.16 | 0.12 | 0.13 | 0.17 | 0.38 |
前年同期*4 | 0.13 | – | – | – | – | – |
全体的に沈殿量が少ない時期ですが、越喜来湾では平年よりも多い傾向、唐丹湾以北では平年よりも少ない傾向があります。
3.その他
(1) 北上丸による沿岸海洋観測・動物プランクトン発生状況調査(5湾)及び県北広域振興局水産部による野田湾の観測調査(図1赤枠)によるものです。
(2) いわて大漁ナビ(https://www.suigi.pref.iwate.jp/)の定地水温情報・衛星画像や、当センター発行の海況情報等も参考にしてください。
※1 これまでの本県の放流実績から、放流の重心を3月下旬に設定し2.0g以上のサイズで放した年級の回帰率が高い。
※2 野田湾は2月10日に観測・調査を実施、動物プランクトン沈殿量はネットを2回曳いた。
※3 平年は過去18~20年間の同期の平均値。野田湾はH17、H19の北上丸及び県北水産部の調査結果の平均値。
※4 前年同期の北上丸による調査は欠測。