令和6年4月1日
3月下旬における湾内の動物プランクトン沈殿量は、各湾ともに平年よりも少なく、特に宮古湾や山田湾では非常に少ない傾向でした。また、3月下旬における湾内の表面水温は7~9℃ 台と前年並で推移していましたが、観測日以降、定置水温計にて、県南部海域を中心に15℃以上の水温が観測されました。
3月27、28日に追加の水温調査を行ったところ、閉伊埼以南の30~50m以浅に黒潮系暖水が流入し、宮古湾・山田湾及び閉伊埼・トドヶ埼沖合の30~50m以深では、7~10℃の冷水が流入していることが分かりました(令和5年度沿岸域観測結果第14号)。
黒潮続流の影響により、水温の変動が起こりやすい不安定な海況となることが予測されます。低餌料・高水温の沿岸環境であることから、1.0g未満の小型魚の放流は得策ではないと考えられます。ある程度(1.0g以上)まで成長した稚魚については、黒潮続流が沿岸から離れたタイミングでの放流や県北部海域への移送放流を検討してください。
1.表面水温(℃)
野田湾(3/25) | 宮古湾(3/28) | 山田湾(3/28) | 唐丹湾(3/19) | 越喜来湾(3/19) | 大船渡湾(3/19) | |
観測値(3/19,25,28) | 7.2 | 7.3 | 9.6 | 7.3 | 7.7 | 9.4 |
平年* | – | 6.1 | 5.9 | 5.7 | 5.6 | 6.6 |
前年同期 | 7.6 | 8.2 | 8.8 | 8.2 | 8.4 | 9.2 |
3月下旬の測定時点の各湾の表面水温は7~9℃台で、前年並となりました(図)。しかし、3月25日以降、黒潮続流が県南部沿岸域に流入し、表面水温が15℃以上に急激に上昇しました。追加調査の結果、トドヶ埼の50m以深には7℃台の冷水が流入していることが分かりました。詳細は、令和5年度沿岸域観測結果第14号を参照してください。
2.動物プランクトン沈殿量(ノルパックネット鉛直20m曳き、ml/m3)
野田湾(3/25) | 宮古湾(3/28) | 山田湾(3/28) | 唐丹湾(3/19) | 越喜来湾(3/19) | 大船渡湾(3/19) | |
観測値(3/19,25,28) | 0.13 | 0.03 | 0.03 | 0.20 | 0.17 | 0.20 |
平年* | – | 0.76 | 0.67 | 0.50 | 0.54 | 1.00 |
前年同期 | 0.24 | 0.73 | 0.66 | 0.63 | 0.80 | 1.84 |
※ 平年は過去19~21年間の同期の平均値。野田湾はH17、H19の北上丸及び県北水産部の調査結果の平均値。
3月下旬は各湾で平年よりも沈殿量が少なく、特に宮古湾や山田湾で非常に少ない傾向でした(図)。
3.その他
(1) 北上丸による沿岸海洋観測・動物プランクトン発生状況調査(5湾)並びに当センター及び県北広域振興局水産部による野田湾の観測調査によるものです。
(2) いわて大漁ナビ(https://www.suigi.pref.iwate.jp/)の定地水温情報・衛星画像や当センター発行の海況情報等も参考にしてください。