令和7年7月30日
予測期間:令和7年9月~令和8年2月
予測海域:岩手県沿岸
秋サケ回帰予測尾数(範囲): 3.3万尾(1.3~16.2万尾)
秋サケ回帰予測重量(範囲):93トン(33~496トン)
回 帰 時 期 :10月下旬と12月中旬を中心に9月下旬~1月中旬
今年度は、令和6年度と比べて尾数及び重量ともに2割程度減少することが予測されます。
資源回復に向けて、少しでも多くの種卵を確保し、確実な飼育放流が実施できるよう、関係機関の協力体制の確認が重要です。
1.令和7年度の予測結果
回帰尾数・重量の推定
令和6年度の年齢別漁獲数量から、令和7年度の岩手県秋サケ回帰数量を推定したところ、3.3万尾、93トンとなり、震災前の平均値(平成20~22年度の平均値。以下同じ)の0.4%、令和6年度から2割程度減少する見込みです(表1)。また、年齢別の回帰予測尾数は、4歳魚中心となりますが、令和3年級の放流尾数が少ないことから、令和6年度実績よりも減少し、各年齢とも依然として極めて少ない見通しです(表2)。
表1 令和7年度予測値、令和6年度実績値及び震災前の平均値
令和7年度予測値 (95%予測範囲) |
令和6年度 実績値 |
震災前の 平均値 |
|
回帰尾数(万尾) | 3.3 (1.3~16.2) |
4.3 | 768 |
回帰重量(トン) | 93 (33~496) |
117 | 25,053 |
表2 3~5歳魚の令和7年度予測値、令和6年度実績値及び震災前の平均値
令和7年度 予測値 |
令和6年度 実績値 |
震災前の平均値 | |
3歳魚(千尾) | 8 | 10 | 363 |
4歳魚(千尾) | 20 | 28 | 3,944 |
5歳魚(千尾) | 4 | 4 | 3,136 |
回帰時期の推定
令和7年度の回帰時期は、10月下旬と12月中旬が中心となる予測となりました。回帰尾数は、令和6年度と比較して、10月下旬までは上回るものの、11月中旬から12月にかけて大きく減少する予測となりました(図1)。
令和7年度の沿岸回帰時期は、目立ったピークはなく10月中旬と12月中旬が中心になると予測されます(図2)。
令和7年度の旬別河川そ上尾数は、10月下旬~11月上旬をピークとする2.3万尾(予測下限値1.0万尾)と推定されます(図3)。
2.予測方法
秋サケの回帰尾数は、2歳魚から6歳魚まで年齢別に回帰尾数を計算し、最後にすべての年齢の予測値を合計して予測尾数としています。このため、毎年、県内の各河川にそ上した親魚の鱗を用いて年齢査定を行い、その年齢組成結果から、年級(生まれ年)毎の年齢別回帰尾数を取りまとめています。各年級の回帰尾数は大きく変動しており、震災後の平成23年級以降、低い水準で推移しています(図4上段)。
今年度の予測では、過大評価を避けるため平成27年級以降のデータを使用しました。また、近年は、10分の1以下まで回帰尾数が減少する(桁数が変わる)年級が見られることから、回帰尾数を対数変換して予測を行いました(図4下段)。さらに、河川捕獲の割合が上昇していることから、海面と河川を分けて予測しました。
上段は尾数、下段は対数変換(自然対数)
2歳魚の推定方法
資源が大きく減少した平成27年級から令和3年級までの7年間の対数変換した回帰尾数について、算術平均を求め、e^(平均値)により尾数に変換しました。
3歳魚~6歳魚の推定方法
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図5 3歳魚と4歳魚のLn(回帰尾数)の関係
3~6歳魚の回帰尾数の予測では、同一年級のn-1歳魚とn歳魚(図5は、海面の3歳魚と4歳魚の例)の1次回帰式を求め、昨年度n-1歳で回帰したLn(回帰尾数)を代入して今年度n歳魚のLn(予測尾数)を算出しています。また、得られた数値について、2歳魚と同様に尾数に変換しました。
なお、河川そ上予測においては河川毎に平成27年級以降の年級毎の年齢別回帰尾数をまとめ、同様の方法で4~6歳魚を算出しました(2、3歳魚は算術平均)。
回帰時期の推定方法
回帰時期の予測は、上述の方法で回帰尾数の総数を算出した後、3~5年間のふ化場毎の卵収容実績や河川毎の旬別回帰率、放流時の水温などを勘案し、回帰尾数の総数を旬別に振り分けています。
重量の推定方法
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図6 3歳魚の魚体重と次年度平均魚体重の関係
平成8年度から令和6年度の29年間のデータを使用
これまでの調査結果より、片岸川、織笠川及び津軽石川における3歳魚の平均魚体重(雌雄込み)と翌年度の全年齢の平均魚体重の関係式を求めています(図6)。
秋サケ回帰予測重量は、回帰予測尾数に、この平均魚体重を乗じて求めています。