2016年イサダ情報

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平成28年2月24日発行

冷水の波及が弱く、岸側の表面水温は6~8℃台。

岸側で魚群探知機(高周波)の反応があるが、群れは小さい。

1.漁場調査時の海況

5℃以下の水帯は、鮫角沖170海里(315km)を中心とする暖水塊の西側を蛇行しながら南下し、その南端は鮫角沖80海里(148km)にあります。また、黒埼沖30海里(56km)に分断された同水帯の西端があります。なお、前年の同水帯は、本県に接岸しながら南下し、その南端は唐桑半島御埼沖10海里(19km)にありました。また、椿島沖100海里(185km)を中心とした暖水塊の東側を南下した同水帯の西端は、相馬沖110海里
(204km)にありました。
また、10℃以上の水帯は、椿島沖70~130海里(130~241km)を北上して鮫角沖170海里(315km)を中心とする暖水塊を形成し、その北端は、むつ小川原港沖160海里(296km)にあります。なお、前年の同水帯は、椿島沖190海里(352km)から北東方向に進行していました。
前年同期を比較すると、本県沿岸への冷水の波及が弱い状況にあります。

2.イサダ漁場調査結果

平成28年2月17日に尾埼以北の海域、2月18日に尾埼以南の海域において漁業指導調査船岩手丸により魚群探知機によるイサダ漁場調査を実施しました(図2)。

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図2 調査船航跡と魚探反応位置図(左:尾崎以北、右:尾崎以南、朱線:主要な反応位置 )

尾埼以北海域

岸側では、尾埼から重茂平磯にかけて、水深10~100m付近に高周波(200kHz)で濃く映り、低周波(75kHz)では薄く映る細い縦帯状の魚群探知機(以下「魚探」と略す)の反応(図3)が点在しましたが、重茂平磯以北では反応が少なくなりました。また、沖側ではほとんど反応がありませんでした。なお、明神埼で魚探の反応があった海域でプランクトンネット(北太平洋標準ネット)によりイサダを採捕し、反応がイサダであることを確認しました。尾埼以北海域での航走水温は、6~8℃台でした。

尾埼以南海域

岸側では、尾埼から綾里埼かけて、水深40~90m付近に高周波(200kHz)で濃く映り、低周波(75kHz)では薄く映る斑点状と縦帯状の反応、綾里埼から椿島にかけて20~90m付近に縦帯状と塊状の反応(図3)が点在しました。反応があった場所ではウミスズメやユリカモメが確認されました。また、沖側ではほとんど反応がありませんでした。なお、首埼で魚探の反応があった海域でプランクトンネット(北太平洋標準ネット)によりイサダを採捕し、反応がイサダであることを確認しました。尾埼以南海域での航走水温は、7~8℃台でした。

3.イサダ漁の見通し

(1)現段階では、本県沿岸域への冷水の波及が弱く、水温を指標とした漁場探索が難しい状況にあります。冷水の波及が強くなるまでは、埼および根の付近で潮流により湧昇流が発生する海域、ウミスズメやユリカモメが水面をつついている海域などを中心に漁場探索を行って下さい。
(2)本調査では、イサダと推察される魚群探知機の反応が、本県海域のごく沿岸寄りで確認されましたが、反応が認められた水深は深いところが中心であったとともに、大きな群れの反応は見られませんでした。今後、時間の経過により群れの形成が進み、反応が認められる水深も上昇してくるものと考えられます。
(3)平成28年2月17日に山田湾で実施した夜間サケ稚魚調査では、灯火に集まるイサダが確認されました。湾内においても漁場が形成される可能性が高いと考えられますので、湾内でも漁場探索を行って下さい。
(4)漁期中も魚群探知機によるイサダ漁場調査を実施し、無線局経由で情報提供を行ないますので、操業の参考にして下さい。

担当:漁業資源部