2016年コウナゴ情報

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平成28年3月29日発行

平成28年2月に実施したイカナゴ稚仔魚分布調査の結果を取りまとめましたので、現在の海況をふまえたコウナゴ(イカナゴ当歳魚)漁況の見通しを次のとおりお知らせ致します。

平成27年漁期の状況

平成27年漁期のコウナゴ漁獲は、冷水波及の影響により著しく低い水準であった平成26年を上回りましたが、近年平均(平成17~26年10ヶ年平均値)を下回る水準となりました。漁獲量は県北海域(久慈魚市場)が40.4トン(前年の4.4倍)、県南海域(宮古、山田、釜石、大船渡の4魚市場計)が16.4トン(前年の10倍)でした(図1)。また、1隻1日あたりの漁獲量(以下、CPUEという。)は、県北海域が221kg/隻(前年の5.6倍)、県南海域が84kg/隻(前年の2.7倍)となり、両海域ともに前年を上回りました(図2)。

期間:平成28年4月~6月

魚種:コウナゴ(イカナゴ当歳魚)

海域:岩手県沿岸

漁業:火光利用敷網漁業

漁況予測:県北海域、県南海域ともに平均及び前年を上回る

見通しの背景

1.平成28年イカナゴ稚仔魚調査結果

2月18~19日に、図3に示す調査点において漁業指導調査船北上丸により稚魚ネットによるイカナゴ稚仔魚調査(水深15m、10分間水平曳き)を実施しました。

(1) 分布密度
イカナゴ稚仔魚の分布密度(8点平均)は、県北海域では2.31尾/100m3(前年3.36尾/100m3、過去15年平均4.60尾/100m3)、県南海域では60.58尾/100m3(前年98.51尾/100m3、過去15年平均23.20尾/100m3)でした。県北海域では前年並びに近年平均を下回り、県南海域では近年では高い水準であった前年を下回ったものの、近年平均の2.6倍と比較的高い水準となりました(図4)。

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図4 調査時の仔魚分布密度と漁期中CPUEの経年変化

(2) 体長組成
平成27年と平成28年のイカナゴ仔魚の体長組成を図5に示しました。平成28年は、県北海域では4.5mm~11.5mmの範囲で5.5mm台にモードを有する単峰型の組成を示し、前年度よりもやや大型となっていました。
一方、県南海域では3.0mm~10.0mmの範囲で5.0mm台にモードを有する単峰型の組成を示し、前年度よりも小型主体となっていました。
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図5 採捕したイカナゴ仔魚の体長組成

2.平成28年度漁況予測

(1) 漁期中CPUEとイカナゴ仔稚魚分布密度及び水温との関係
平成28年度漁期(4~6月)のコウナゴ漁況を予測するため、漁期中CPUEに影響に及ぼすと推測される指標値を説明変数として海域別に重回帰分析を行い、変数減少法により説明変数選択を行いました。その結果、県北海域では漁期前(2月)の青森県陸奥湾口水温、及び漁期中(4月)のトドヶ埼0海里地点水温と、県南海域ではイカナゴ仔稚魚分布密度、及び漁期中の尾崎0海里地点水温と正の相関が認められ(図6)、いずれの海域においても漁期中水温が高い年ほどCPUEが高くなる傾向が認められました。
求められた関係式に基づいて今年度の漁期中CPUEを算出した結果、県北部では272.58kg/隻、県南部では89.05kg/隻となり、両海域ともに前年及び平均を上回る水準となると予測されました(図7)。

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図6 漁期中CPUEと稚仔魚分布密度、水温との関係

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図7 漁期中CPUEの推移とH28年度予測値

漁期中CPUEと仔稚魚分布密度および漁期中水温との関係式
県北海域:漁期中CPUE=0.045×(青森県陸奥湾口水温)+0.033×(4月トドヶ埼0海里地点水温)-0.426
自由度調整済決定係数R2=0.534、P=0.019*(*:5%有意水準)
県南海域:漁期中CPUE=0.0002×(仔稚魚分布密度)+0.012×(4月尾崎0海里地点水温)-0.0243
自由度調整済決定係数R2=0.483、P=0.029*

説明変数の説明
県北海域:
・青森県陸奥湾口平舘ブイ15m深水温(2月):青森県海況気象情報総合提供システム掲載値
※県北海域で漁獲されるコウナゴは陸奥湾由来の資源が津軽暖流により輸送されたものと考えられていることから。
・トドヶ埼沖0海里地点の20m深水温(4月):岩手丸定線海洋観測結果
県南海域:
・稚仔魚分布密度:イカナゴ稚仔魚調査における県南海域の稚仔魚分布密度
・尾埼沖0海里地点の20m深水温(4月):岩手丸定線海洋観測結果
(2) 平成28年度漁況予測の説明
現況では本県沿岸域の水温は高めで推移しており、海洋環境としてはコウナゴ来遊に好適な条件であると考えられます。
しかし、県北海域において漁獲対象となると考えられる陸奥湾由来のコウナゴは、資源量水準が極めて低い状況が継続している他、県南海域での漁獲加入が見込まれる宮城県牡鹿半島周辺~仙台湾由来のコウナゴについても稚仔魚分布密度が平均を下回る水準となっています(他県の情報等参照)。
これらのことから、今年度は隣県由来のコウナゴ資源の漁獲加入が少ない可能性があり、海況条件が好適であったとしても漁獲が伸び悩むことも考えられます。

3.他県の情報等

青森県:2~3月の陸奥湾湾口におけるイカナゴ稚仔分布調査の結果、平均稚魚分布密度は低水準であった前年と同水準(青森県産業技術センター水産総合研究所発行:ウオダス漁海況速報No.1909)。
宮城県:3月16~18日のコウナゴ漁期全調査の結果、牡鹿半島周辺海域および仙台湾周辺海域の平均採捕数は過去10年平均を下回った(宮城県水産技術総合センター発行:春漁情報第4報)。

4.まとめ

(1) 平成28年のイカナゴ稚仔魚の分布密度は、県北海域では前年並びに平均を下回り、県南海域では前年を下回ったものの、平均の2.6倍と比較的高い水準。
(2) イカナゴ稚仔魚の体長は、県北海域では4.5mm~11.5mmの範囲で5.5mm台モード、前年度よりもやや大型。県南海域では3.5mm~10.0mmの範囲で5.0mm台モード、前年度よりも小型主体。
(3) 漁期中CPUEは、県北、県南両海域において前年及び近年平均を上回ると予測。
(4) 現況の海況条件はイカナゴ来遊に好適であると考えられるが、青森県、宮城県の稚仔魚分布状況から隣県由来のコウナゴ資源の漁獲加入は少ない可能性がある。海況条件が好適であったとしても漁獲が伸びない可能性がある。

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別表 平成28年イカナゴ仔稚魚調査結果、漁期中CPUEデータ

※分布密度は、稚魚ネット、水深15m、10分間水平曳きによる採集尾数から算出
※平成15年以降は、県南海域の調査定点を変更している

担当:漁業資源部