2017年度秋サケ回帰情報(No2:中期分)

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平成29年12月14日
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12月10日までの回帰尾数は、前年比84%の198万尾。

魚体サイズ(尾叉長・体重・肥満度)は、平年並みとなっています。

調査河川による年齢組成は、3歳魚の割合が前年と比べて高く推移しています。

増殖事業用種卵の確保に努めて下さい。

1.回帰資源量

12月10日現在の本県回帰尾数は198万尾(5,938トン)で前年比84%(重量比87%)(図1)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比80%(173万尾)、河川漁獲は前年比133%(21万尾)。種卵確保対策による海産親魚は前年比113%(4.7万尾)。河川そ上率は11%と前年(7%)を上回りましたが、これは前年の台風10号の被害から復旧したふ化場による河川採捕が行われていることも一因です。
また、1尾あたりの平均体重は2.99kgと前年(2.89kg)をやや上回りました。
当センターが発表した中期までの回帰予測尾数は310万尾であり、予測の64%と大きく下回りました。

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図1 本県回帰尾数の推移

2.回帰親魚調査結果(中期:11月11日から12月10日までの分)

11月14日から12月8日にかけて、片岸、織笠、津軽石川において回帰親魚調査(片岸川600尾、織笠川599尾、津軽石川600尾)を行いました。

(1)年齢組成

片岸川
オスは3歳魚28%、4歳魚55%、5歳魚14%(H28:3歳魚18%、4歳魚42%、5歳魚38%)、メスは3歳魚18%、4歳魚53%、5歳魚26%(H28:3歳魚5%、4歳魚45%、5歳魚48%)で、前年同期と比べるとオス・メスともに3歳魚及び4歳魚の割合が高く、5歳魚の割合が低下しています(図2)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(H29:10,156尾、H28:8,325尾、対前年比122%)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚及び4歳魚が前年を大きく上回り、3歳魚は前年の239%、4歳魚は152%となっています(図3)。

織笠川
オスは3歳魚65%、4歳魚22%、5歳魚12%(H28:3歳魚6%、4歳魚65%、5歳魚29%)、メスは3歳魚35%、4歳魚32%、5歳魚31%(H28:3歳魚1%、4歳魚69%、5歳魚30%)で、前年同期と比べると、オス・メスともに3歳魚の割合が大幅に上回る一方、4歳魚の割合が大きく低下しました(図4)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(H29:2,095尾、H28:2,756尾、対前年比76%)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚が前年を大幅に上回り前年の1,169%、4歳魚及び5歳魚が前年を大きく下回り、特に、4歳魚は前年の28%となりました。(図5)。

津軽石川
オスは3歳魚5%、4歳魚44%、5歳魚48%(H28:3歳魚3%、4歳魚74%、5歳魚21%)、メスは3歳魚1%、4歳魚43%、5歳魚53%(H28:3歳魚2%、4歳魚81%、5歳魚16%)で、前年同期と比べると、5歳魚の割合が高い傾向にありました(図6)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(H29:11,220尾、H28:8,497尾、対前年比132%)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、4歳魚が前年をやや下回る75%、5歳魚は前年を大きく上回る357%となり、前年の4歳魚時点の回帰尾数とほぼ同数となっています(図7)。

(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度

片岸川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は65.9cm、体重は3.0kg、肥満度※は10.1、また、メスの尾叉長は67.0cm、体重は3.3kg、肥満度は10.6でした。前年同期と比較すると、オス・メスの尾叉長、体重ともに前年並み、オス・メスともに肥満度はやや高い傾向が認められました(表1)。
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

尾叉長(cm) 体 重(kg) 肥満度
H29 H28 H29 H28 H29 H28
3歳魚 59.3 59.5 2.0 1.9 9.7 9.1
4歳魚 67.6 65.8 3.2 2.8 10.3 9.5
5歳魚 71.4 70.9 3.9 3.5 10.4 9.7
全体平均 65.9 66.4 3.0 2.9 10.1 9.5

(メス)

尾叉長(cm) 体 重(kg) 肥満度
H29 H28 H29 H28 H29 H28
3歳魚 60.7 60.5 2.3 2.1 10.2 9.4
4歳魚 67.0 65.4 3.2 2.9 10.7 10.3
5歳魚 70.8 70.8 3.9 3.7 10.8 10.2
全体平均 67.0 67.9 3.3 3.3 10.6 10.2

肥満度=体重/(体長/10)3×1,000
織笠川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は64.5cm、体重は2.6kg、肥満度は9.4、また、メスの尾叉長は66.0cm、体重は3.0kg、肥満度は10.2でした。前年同期と比較すると、オス・メスともに尾叉長及び体重がやや低い傾向が認められましたが、肥満度はやや高い傾向が認められました(表2)。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

尾叉長(cm) 体 重(kg) 肥満度
H29 H28 H29 H28 H29 H28
3歳魚 61.9 62.0 2.2 2.1 9.4 8.6
4歳魚 68.3 67.7 3.0 2.9 9.4 9.1
5歳魚 70.9 72.0 3.4 3.4 9.5 9.0
全体平均 64.5 68.7 2.6 3.0 9.4 9.0

(メス)

尾叉長(cm) 体 重(kg) 肥満度
H29 H28 H29 H28 H29 H28
3歳魚 61.7 64.0 2.4 2.2 10.2 8.4
4歳魚 67.0 66.9 3.1 2.9 10.1 9.6
5歳魚 69.4 70.9 3.4 3.5 10.2 9.7
全体平均 66.0 68.1 3.0 3.1 10.2 9.7

津軽石川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は74.6cm、体重は4.5kg、肥満度は10.5、また、メスの尾叉長は72.8cm、体重は4.2kg、肥満度は10.7でした。前年同期と比較すると、オス・メスともに尾叉長及び体重、肥満度が高い傾向が認められました(表3)。
表3 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

尾叉長(cm) 体 重(kg) 肥満度
H29 H28 H29 H28 H29 H28
3歳魚 62.3 62.2 2.5 2.2 9.9 9.0
4歳魚 72.2 72.8 4.0 3.8 10.3 9.7
5歳魚 77.6 74.9 5.1 4.2 10.7 9.8
全体平均 74.6 73.0 4.5 3.8 10.5 9.7

(メス)

尾叉長(cm) 体 重(kg) 肥満度
H29 H28 H29 H28 H29 H28
3歳魚 65.7 61.5 2.8 2.2 9.8 9.6
4歳魚 69.9 70.7 3.7 3.6 10.6 10.0
5歳魚 75.1 72.3 4.6 3.9 10.8 10.0
全体平均 72.8 70.8 4.2 3.6 10.7 10.0

(3)孕卵数および卵重量
片岸川(11月6日、11月13日)
片岸川のメス1尾あたりの孕卵数は平均3,285粒、卵1粒あたりの重量は0.24g、生殖腺指数は22.5でした。
前年と比較して、孕卵数及び生殖腺指数※は3~5歳魚、卵重量は3歳魚及び5歳魚で増加しました(表4)。
※ 生殖腺指数=生殖腺重量/体重×100
表4 片岸川 年齢別繁殖形質

3歳魚 4歳魚 5歳魚 全体
H29 H28 H29 H28 H29 H28 H29 H28
尾叉長(cm) 62.5 60.7 66.8 66.4 71.3 70.5 67.9 68.0
体重(kg) 2.62 2.17 3.31 3.05 4.03 3.69 3.48 3.30
生殖腺重量(kg/尾) 0.62 0.42 0.76 0.61 0.85 0.72 0.78 0.65
孕卵数(粒/尾) 3,061 2,210 3,277 2,651 3,367 3,134 3,285 2,849
卵重量(g/粒) 0.20 0.19 0.23 0.23 0.25 0.23 0.24 0.23
生殖腺指数 23.8 19.3 23.0 20.2 21.2 19.5 22.5 19.8

織笠川(11月29日、12月8日)
織笠川のメス1尾あたりの孕卵数は平均2,592粒、卵1粒あたりの重量は0.22g、生殖腺指数は18.6でした。
前年と比較して、孕卵数及び生殖腺指数は3~5歳魚、卵重量は4歳魚で増加しました(表5)。
表5 織笠川 年齢別繁殖形質

3歳魚 4歳魚 5歳魚 全体
H29 H28 H29 H28 H29 H28 H29 H28
尾叉長(cm) 61.6 63.0 67.7 67.2 69.9 71.2 66.1 68.5
体重(kg) 2.46 2.09 3.31 3.03 3.66 3.54 3.10 3.20
生殖腺重量(kg/尾) 0.48 0.35 0.62 0.55 0.65 0.60 0.58 0.57
孕卵数(粒/尾) 2,497 1,790 2,651 2,490 2,674 2,548 2,592  2,502
卵重量(g/粒) 0.19 0.19 0.23 0.22 0.24 0.24 0.22 0.22
生殖腺指数 19.4 16.5 18.6 18.0 18.0 16.8 18.6 17.6

3.その他

平成29年12月10日現在の秋サケ回帰状況を見ると、回帰尾数・回帰重量ともに、震災以降で最も漁獲が低調であった前年度同期累計を下回っています。
今期は予測どおり11月下旬が回帰のピークとなりましたが、その尾数は前年度を下回っています。
調査河川の回帰親魚調査の結果からは、織笠川のオス・メスの3歳魚及び5歳魚、津軽石川のオス・メスの4歳魚の平均尾叉長は前年同期よりも小さくなりましたが、平均魚体重が前年同期よりも軽かったのは、織笠川のメス5歳魚のみとなりました。また、各年齢のオス・メスともに肥満度は前年同期よりも高くなっており、ヤセた魚が多かった前年と比較して、ほぼ平年並みの魚体サイズとなっています。
また、前期に引き続き、河川捕獲数も少ないため、多くのふ化場では、増殖事業用種卵確保が計画を下回る状況にあり、海産親魚からの種卵確保が行われています。増殖事業者においては、より一層の種卵確保と移殖による収容計画達成に努めて下さい。