平成31年1月16日
1月10日までの回帰尾数は、前年比146%の349万尾。
依然として4歳魚の割合が高く、魚体(尾叉長・体重・肥満度)は前年並みに近づきました。
1.回帰資源量
1月10日現在の本県回帰尾数は349万尾(10,213トン)で前年比146%(重量比142%)(図1)。内訳をみると、沿岸漁獲は303万尾(前年比148%)、河川漁獲は43万尾(前年比152%)。種卵確保対策による海産親魚は4万尾(前年比71%)、1尾あたりの平均体重は2.93kgと前年(3.02kg)をやや下回りました。また、河川そ上率は12%と前年(12%)と同程度になりました。
なお、当センターが発表した1月上旬までの回帰予測尾数(全数)は394万尾であり、予測の89%となりました。
2.回帰親魚調査結果(後期:12月11日から12月31日までの分)
12月13日から12月27日にかけて、片岸、織笠、津軽石の各河川において回帰親魚調査(片岸川223尾、織笠川400尾、津軽石川400尾)を行いました。
(1)年齢組成
片岸川
オスは3歳魚3%、4歳魚81%、5歳魚13%(H29:3歳魚33%、4歳魚49%、5歳魚14%)、メスは3歳魚0%、4歳魚83%、5歳魚16%(H29:3歳魚15%、4歳魚56%、5歳魚18%)で、前年同期と比べるとオス・メスともに3歳魚の割合が低く、4歳魚の割合が著しく高くなっています(図2)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(H30:837尾、H29:865尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚が前年の4%と大きく下回り、4歳魚が前年の149%と大きく上回りました(図3)。
織笠川
オスは3歳魚2%、4歳魚87%、5歳魚10%(H29:3歳魚27%、4歳魚53%、5歳魚17%)、メスは3歳魚1%、4歳魚87%、5歳魚12%(H29:3歳魚20%、4歳魚54%、5歳魚25%)で、前年同期と比べると、オス・メスともに4歳魚の割合が高く、3、5歳魚の割合が低くなりました(図4)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(H30:4,533尾、H29:2,084尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、4歳魚が前年を大幅に上回り前年の355%、3歳魚が前年を大きく下回り前年の12%、5歳魚は前年の120%と上回りました(図5)。
津軽石川
オスは3歳魚1%、4歳魚56%、5歳魚37%(H29:3歳魚2%、4歳魚44%、5歳魚45%)、メスは3歳魚1%、4歳魚69%、5歳魚29%(H29:3歳魚3%、4歳魚51%、5歳魚45%)で、前年同期と比べると、4歳魚の割合が高く、5歳の割合が低くなりました(図6)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(H30:20,632尾、H29:18,660尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、4歳魚が前年の148%と大きく上回り、3歳魚が前年の24%と大きく下回り、5歳魚も前年の79%と下回りました(図7)。
(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度
片岸川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は67.9cm、体重は3.1kg、肥満度※は9.7、メスの尾叉長は67.0cm、体重は3.0kg、肥満度※は9.7でした。
前年同期と比較すると、オスでは、尾叉長、体重及び肥満度とも3、4歳魚は前年並み、5歳魚は前年よりも大きい傾向にありました。メスでは肥満度が各年齢とも若干低いものの、尾叉長及び体重は前年並みでした(表1)。
肥満度=体重/(体長/10)3×1,000
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
H30 | H29 | H30 | H29 | H30 | H29 | |
3歳魚 | 58.5 | 58.2 | 1.8 | 1.8 | 9.1 | 9.1 |
4歳魚 | 67.1 | 66 | 2.9 | 2.9 | 9.5 | 10 |
5歳魚 | 73.5 | 69.2 | 4.4 | 3.4 | 10.8 | 10 |
全体平均 | 67.9 | 64 | 3.1 | 2.6 | 9.7 | 9.7 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
H30 | H29 | H30 | H29 | H30 | H29 | |
3歳魚 | - | 59.7 | - | 2.1 | - | 9.7 |
4歳魚 | 66.2 | 66.9 | 2.9 | 3.1 | 9.7 | 10.2 |
5歳魚 | 70.3 | 69.8 | 3.5 | 3.5 | 9.8 | 10.1 |
全体平均 | 67 | 67.1 | 3 | 3.1 | 9.7 | 10 |
織笠川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は69.1cm、体重は3.4kg、肥満度は9.9、メスの尾叉長は68.9cm、体重は3.4kg、肥満度は10.3でした。
前年同期と比較すると、オス・メスともに、尾叉長、体重及び肥満度が高くなりました(表2)。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
H30 | H29 | H30 | H29 | H30 | H29 | |
3歳魚 | 60.8 | 61 | 2.2 | 2.1 | 9.6 | 8.9 |
4歳魚 | 68.6 | 68.3 | 3.3 | 3.2 | 9.9 | 9.8 |
5歳魚 | 75.5 | 73.1 | 4.7 | 4.1 | 10.4 | 10.2 |
全体平均 | 69.1 | 67.1 | 3.4 | 3 | 9.9 | 9.6 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
H30 | H29 | H30 | H29 | H30 | H29 | |
3歳魚 | 65 | 60.6 | 2.9 | 2.2 | 10.5 | 9.7 |
4歳魚 | 68.3 | 68.5 | 3.3 | 3.2 | 10.2 | 10 |
5歳魚 | 73.9 | 71.4 | 4.5 | 3.7 | 10.9 | 10.1 |
全体平均 | 68.9 | 67.7 | 3.4 | 3.1 | 10.3 | 9.9 |
津軽石川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は74.3cm、体重は4.5kg、肥満度は10.5、メスの尾叉長は71.1cm、体重は3.8kg、肥満度は10.3でした。
前年同期と比較すると、オスでは、尾叉長、体重ともに4歳魚は前年並、3、5歳魚は小さく、各年齢とも肥満度は前年並みからやや高い傾向にありました。メスでは、尾叉長、体重ともに3歳魚は前年より大きく、4歳魚は前年より小、5歳魚は前年並となり、各年齢とも肥満度はやや低くなりました(表3)。
表3 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
H30 | H29 | H30 | H29 | H30 | H29 | |
3歳魚 | 56 | 62.8 | 1.7 | 2.4 | 9.4 | 9.4 |
4歳魚 | 72.1 | 72.6 | 4 | 4 | 10.3 | 10.2 |
5歳魚 | 77.7 | 79.2 | 5.3 | 5.4 | 10.9 | 10.6 |
全体平均 | 74.3 | 76.1 | 4.5 | 4.7 | 10.5 | 10.4 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
H30 | H29 | H30 | H29 | H30 | H29 | |
3歳魚 | 66 | 62.4 | 2.8 | 2.4 | 9.7 | 9.8 |
4歳魚 | 69.1 | 69.8 | 3.4 | 3.7 | 10.2 | 10.7 |
5歳魚 | 75.3 | 75.3 | 4.6 | 4.7 | 10.5 | 10.9 |
全体平均 | 71.1 | 72.3 | 3.8 | 4.1 | 10.3 | 10.8 |
(3)孕卵数および卵重量
津軽石川(12月14日、12月26日)
津軽石川のメス1尾あたりの孕卵数は平均3,155粒、卵1粒あたりの重量は0.25g、生殖腺指数※は19.3でした。
4歳魚及び5歳魚の各測定値を前年と比較すると、4歳魚では卵重量以外の測定値で前年を下回り、5歳魚では全ての測定値で前年を上回りました(表4)。
※ 生殖腺指数=生殖腺重量/体重×100
表4 津軽石川 年齢別繁殖形質
3歳魚 | 4歳魚 | 5歳魚 | 全体 | |||||
H30 | H29 | H30 | H29 | H30 | H29 | H30 | H29 | |
尾叉長(cm) | - | 62 | 70.2 | 70.4 | 77.4 | 76 | 72.6 | 73.3 |
体重(kg) | - | 2.36 | 3.68 | 3.82 | 5.08 | 4.84 | 4.15 | 4.35 |
生殖腺重量(kg/尾) | - | 0.44 | 0.72 | 0.89 | 0.94 | 0.86 | 0.8 | 0.87 |
孕卵数(粒/尾) | - | 2,502 | 3,024 | 3,808 | 3,418 | 3,369 | 3,155 | 3,554 |
卵重量(g/粒) | - | 0.18 | 0.24 | 0.24 | 0.27 | 0.26 | 0.25 | 0.25 |
生殖腺指数 | - | 18.6 | 19.7 | 23.4 | 18.6 | 17.8 | 19.3 | 20.3 |
3.その他
(1)年齢別回帰尾数について
12月末までに明らかとなった片岸川、織笠川、津軽石川のそ上魚の年齢組成をもとに、1月10日までの県全体の年齢別回帰尾数を推定しました(図8)。
平成30年の予測値と実績値を比較すると、実績値は3歳魚では予測の17万尾減、4歳魚では6万尾減、5歳魚では28万尾減で、比較的予測値に近い実績となりました。
平成24年から経年的に見ると、4歳魚は最も多かった平成25年に次いで多くなりましたが、3歳魚は最も少なかった平成25年並に少なくなりました。
(2)その他
1月10日時点での県全体の計画卵数に対する採卵の進捗は102%と、各河川、定置漁業者、関係者の親魚確保への努力により概ね計画が達成されております。
まだ、計画数が残っている河川もありますが、今後は、種卵、仔魚及び稚魚管理を徹底し、健康な稚魚の飼育、放流に努めて下さい。