令和元年11月21日
11月10日までの回帰尾数は、前年比20%の20万尾。
尾叉長・体重・肥満度は、前年度を上回る傾向が認められます。
調査河川によるそ上魚の年齢組成は、4歳魚の回帰尾数が前年より極端に少なくなっています。
1.回帰資源量
11月10日現在の本県回帰尾数は20.0万尾(580トン)で前年比20%(重量比22%)(図1)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比20%(16.3万尾)、 河川漁獲は前年比20%(3.4万尾)。種卵確保対策による海産親魚は前年比22%(3千尾)。河川そ上率は16.9%と前年(17.1%)をやや下回りました。また、当センターが発表した前期までの回帰予測尾数は114万尾であり、実績は予測の17%となりました。
2.回帰親魚調査結果(前期:11月10日までの分)
9月26日~11月5日に片岸川、織笠川、津軽石川において回帰親魚調査(片岸川244尾、織笠川292尾、津軽石川175尾)を行いました。
(1)年齢組成
片岸川
オスは3歳魚58%、4歳魚15%、5歳魚26%(H30:3歳魚10%、4歳魚71%、5歳魚16%)、メスは3歳魚37%、4歳魚23%、5歳魚39%(H30:3歳魚5%、4歳魚79%、5歳魚16%)で、前年同期と比べるとオス、メスともに3歳魚と5歳魚の割合が高くなり、4歳魚の割合が極端に低くなりました(図2)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R1:633尾、H30:2,373尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の161%、4歳魚は前年の7%、5歳魚は前年の52%の回帰となっています(図3)。
織笠川
オスは3歳魚18%、4歳魚40%、5歳魚35%(H30:3歳魚8%、4歳魚83%、5歳魚7%)、メスは3歳魚12%、4歳魚39%、5歳魚49%(H30:3歳魚8%、4歳魚79%、5歳魚13%)で、前年同期と比べると、3歳魚と5歳魚の割合が高く、4歳魚の割合が極端に低くなりました(図4)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R1:452尾、H30:1,626尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、5歳魚を除いて前年度を下回り、3歳魚が前年の51%、4歳魚が13%、5歳魚は前年の122%となっています(図5)。
津軽石川
オスは3歳魚5%、4歳魚43%、5歳魚52%(H30:3歳魚6%、4歳魚76%、5歳魚16%)、メスは3歳魚2%、4歳魚44%、5歳魚53%(H30:3歳魚3%、4歳魚83%、5歳魚14%)で、前年同期と比べると、オスの3歳魚は前年と同等、オス、メスともに4歳魚の割合が低く、5歳魚の割合が高くなりました(図6)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(H30: 790尾 H30:1,680尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、5歳魚を除いて前年度を下回り、3歳魚が前年の33%、4歳魚は前年の26%、5歳魚は前年の170%の回帰となっています(図7)。
(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度
片岸川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は65.9cm、体重は2.9kg、肥満度は9.9、また、メスの平均尾叉長は65.8cm、体重は3.0kg、肥満度は10.3でした。前年同期と比較すると、オス、メスのすべての年齢で尾叉長、体重が大きく、肥満度が高い傾向がありました(表1)。
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R1 | H30 | R1 | H30 | R1 | H30 | |
3歳魚 | 62.2 | 62.3 | 2.4 | 2.3 | 9.9 | 9.2 |
4歳魚 | 69.8 | 66.6 | 3.4 | 2.9 | 9.9 | 9.7 |
5歳魚 | 71.9 | 70.0 | 3.8 | 3.4 | 10.1 | 9.8 |
全体平均 | 65.9 | 66.2 | 2.9 | 2.9 | 9.9 | 9.7 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R1 | H30 | R1 | H30 | R1 | H30 | |
3歳魚 | 61.1 | 60.5 | 2.4 | 2.1 | 10.2 | 9.4 |
4歳魚 | 65.9 | 64.9 | 2.9 | 2.7 | 10.2 | 9.9 |
5歳魚 | 70.1 | 67.4 | 3.6 | 3.2 | 10.5 | 10.4 |
全体平均 | 65.8 | 65.0 | 3.0 | 2.8 | 10.3 | 10.0 |
肥満度=体重/(体長/10)3×1,000
織笠川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は66.1cm、体重は2.8 kg、肥満度は9.4、また、メスの平均尾叉長は67.2cm、体重は3.1kg、肥満度は10.0でした。前年同期と比較すると、オスの3歳魚の尾叉長、メスの3歳魚の肥満度を除いて、尾叉長、体重が大きく、肥満度が高い傾向が認められました(表2)。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R1 | H30 | R1 | H30 | R1 | H30 | |
3歳魚 | 59.8 | 60.6 | 2.0 | 1.9 | 9.1 | 8.3 |
4歳魚 | 68.2 | 65.7 | 3.1 | 2.5 | 9.5 | 8.8 |
5歳魚 | 69.7 | 69.1 | 3.3 | 2.9 | 9.6 | 8.7 |
全体平均 | 66.1 | 65.3 | 2.8 | 2.5 | 9.4 | 8.8 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R1 | H30 | R1 | H30 | R1 | H30 | |
3歳魚 | 62.1 | 58.9 | 2.3 | 2.0 | 9.6 | 9.7 |
4歳魚 | 66.8 | 63.9 | 3.0 | 2.6 | 10.1 | 9.8 |
5歳魚 | 68.8 | 68.3 | 3.3 | 3.2 | 10.0 | 9.9 |
全体平均 | 67.2 | 64.1 | 3.1 | 2.6 | 10.0 | 9.8 |
津軽石川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は70.7cm、体重は3.2kg、肥満度は9.0、また、メスの平均尾叉長は66.7cm、体重は3.1kg、肥満度は10.4でした。前年同期と比較すると、オスの3歳魚を除いて尾叉長、体重が大きく、肥満度はオスで低く、メスで高い傾向がありました(表3)。
表3 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R1 | H30 | R1 | H30 | R1 | H30 | |
3歳魚 | 60.0 | 61.6 | 1.8 | 2.2 | 8.5 | 9.4 |
4歳魚 | 70.4 | 67.3 | 3.2 | 2.9 | 8.9 | 9.4 |
5歳魚 | 71.8 | 70.1 | 3.4 | 3.4 | 9.1 | 9.7 |
全体平均 | 70.7 | 67.4 | 3.2 | 2.9 | 9.0 | 9.5 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R1 | H30 | R1 | H30 | R1 | H30 | |
3歳魚 | 61.3 | 60.0 | 2.2 | 2.1 | 9.4 | 9.5 |
4歳魚 | 65.9 | 62.8 | 3.0 | 2.5 | 10.4 | 9.9 |
5歳魚 | 67.4 | 66.7 | 3.2 | 2.9 | 10.5 | 9.8 |
全体平均 | 66.7 | 63.2 | 3.1 | 2.5 | 10.4 | 9.9 |
3.その他
令和元年11月10日現在の秋サケ回帰状況は、4億尾放流体制となってから経験したことがないほど少ない状況にあります。どの河川においても、主群となる4歳魚(平成27年級)の回帰尾数が極めて少ないことが共通しており、全体の回帰尾数の減少の主な原因となっています。
現在、県全体の種卵の確保状況は、計画の3割程度に留まっています。全体の回帰尾数が極端に少なく厳しい状況にありますが、将来的なサケ資源造成のため、引き続き関係者が一致協力して採卵用親魚と良質な卵の最大限の確保に努めるとともに、これまで以上に丁寧な管理が重要になると考えます。