令和3年11月22日
11月10日までの回帰尾数は、前年比55%の6万尾。
尾叉長・体重・肥満度は、前年と同程度。
調査河川によるそ上魚の年齢組成は、前年と比較して4歳魚の割合が低くなっています。
1.回帰資源量
11月10日現在の本県回帰尾数は6万尾(155トン)で前年比55%(重量比50%)(図1)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比51%(3.8万尾)、 河川漁獲は前年比67%(2.0万尾)。種卵確保対策による海産親魚は前年比31%(2千尾)。河川そ上率は34.1%と前年(27.6%)を上回りました。また、当センターが発表した前期までの回帰予測尾数は21万尾であり、実績は予測の29%となりました。
2.回帰親魚調査結果(前期:11月10日までの分)
10月8日~11月9日に片岸川、織笠川、津軽石川において、各ふ化場の協力を得て回帰親魚調査(片岸川115尾、織笠川196尾、津軽石川254尾)を行いました。
(1)年齢組成
片岸川
オスは3歳魚35%、4歳魚31%、5歳魚27%(R2:3歳魚4%、4歳魚88%、5歳魚7%)、メスは3歳魚26%、4歳魚32%、5歳魚42%(R2:3歳魚2%、4歳魚88%、5歳魚9%)で、前年同期と比べるとオス、メスともに4歳魚の割合が低くなり、3歳魚、5歳魚の割合が高くなりました(図2)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R3:333尾、R2:888尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の3.9倍、4歳魚は前年の13%、5歳魚は前年の1.5倍の回帰となっています(図3)。
織笠川
オスは3歳魚31%、4歳魚56%、5歳魚10%(R2:3歳魚19%、4歳魚67%、5歳魚11%)、メスは3歳魚28%、4歳魚57%、5歳魚15%(R2:3歳魚28%、4歳魚60%、5歳魚11%)で、前年同期と比べて4歳魚の割合が若干低下しました。(図4)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R3:249尾、R2:347尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の90%、4歳魚は前年の64%、5歳魚は前年の82%となっています(図5)。
津軽石川
オスは3歳魚59%、4歳魚25%、5歳魚12%(R2:3歳魚12%、4歳魚71%、5歳魚6%)、メスは3歳魚53%、4歳魚32%、5歳魚13%(R2:メスは3歳魚9%、4歳魚80%、5歳魚7%)で、前年同期と比べると、オス、メスともに3歳魚の割合が高く、4歳魚の割合が低くなりました(図6)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R3:452尾、R2:251尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の9.1倍、4歳魚は前年の67%、5歳魚は前年の3.5倍の回帰となっています(図7)。
(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度
片岸川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は66.5cm、体重は2.9kg、肥満度は9.6、また、メスは67.1cm、2.9kg、9.7でした。前年同期と年齢毎に比較すると、尾叉長と体重は同程度、肥満度はメスの5歳魚で高い以外は前年を下回りました(表1)。
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 63.2 | 62.3 | 2.4 | 2.4 | 9.6 | 9.9 |
4歳魚 | 68.1 | 69.7 | 3.1 | 3.4 | 9.8 | 9.9 |
5歳魚 | 72.1 | 72.1 | 3.6 | 3.8 | 9.6 | 10.1 |
全体平均 | 66.5 | 69.7 | 2.9 | 3.4 | 9.6 | 9.9 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 62.3 | 60.0 | 2.3 | 2.2 | 9.4 | 10.1 |
4歳魚 | 68.7 | 67.3 | 3.1 | 3.2 | 9.7 | 10.2 |
5歳魚 | 68.8 | 69.4 | 3.2 | 3.1 | 9.8 | 9.2 |
全体平均 | 67.1 | 67.4 | 2.9 | 3.1 | 9.7 | 10.2 |
肥満度=体重/(体長/10)3×1,000
織笠川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は65.8cm、体重は2.8 kg、肥満度は9.5、また、メスは65.5cm、2.8kg、9.8でした。前年同期と比較すると、5歳魚のオス・メスで肥満度がやや低い以外は、各年齢、オス、メスとともに尾叉長、体重、肥満度は同程度でした(表2)。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 62.8 | 61.9 | 2.3 | 2.2 | 9.3 | 9.0 |
4歳魚 | 67.8 | 67.3 | 3.0 | 2.9 | 9.7 | 9.5 |
5歳魚 | 69.6 | 69.3 | 3.0 | 3.2 | 8.7 | 9.4 |
全体平均 | 65.8 | 66.3 | 2.8 | 2.8 | 9.5 | 9.4 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 61.2 | 63.1 | 2.2 | 2.4 | 9.7 | 9.7 |
4歳魚 | 66.7 | 66.2 | 2.9 | 2.9 | 9.9 | 9.8 |
5歳魚 | 68.8 | 70.1 | 3.1 | 3.4 | 9.5 | 9.7 |
全体平均 | 65.5 | 65.8 | 2.8 | 2.8 | 9.8 | 9.8 |
津軽石川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は64.6cm、体重は2.7kg、肥満度は9.6、また、メスは63.6cm、2.7kg、10.3でした。前年同期と比較すると、オスの3歳及び5歳魚の尾叉長、体重、肥満度は若干前年を下回り、またメスの3歳魚の尾叉長、体重がやや小さく、5歳魚の肥満度がやや低い以外は、尾叉長、体重、肥満度とも前年を上回りました(表3)。
表3 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 62.1 | 62.8 | 2.3 | 2.5 | 9.5 | 9.9 |
4歳魚 | 68.9 | 68.4 | 3.3 | 3.1 | 9.9 | 9.7 |
5歳魚 | 70.3 | 70.7 | 3.3 | 3.5 | 9.3 | 9.7 |
全体平均 | 64.6 | 66.5 | 2.7 | 3.0 | 9.6 | 9.7 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 60.6 | 62.6 | 2.3 | 2.4 | 10.1 | 9.7 |
4歳魚 | 66.6 | 66.4 | 3.1 | 3.0 | 10.5 | 10.2 |
5歳魚 | 69.4 | 66.9 | 3.6 | 3.3 | 10.6 | 10.8 |
全体平均 | 63.6 | 66.3 | 2.7 | 3.0 | 10.3 | 10.2 |
3.その他
令和3年11月10日現在の秋サケ回帰状況は、R2年度よりもさらに少ない状況にあります。調査河川において、4歳魚(平成29年級)の回帰尾数が極端に少ないことが共通しており、5歳魚の回帰も少ないことが全体の回帰尾数の減少の主な原因となっています。さらに、平成28年の台風第10号により被害を受けた、安家川、小本川、閉伊川では5歳魚の回帰不振もあると考えられます。
現在、県全体の種卵の確保状況は、計画の2割程度に留まっています。将来的なサケ資源造成のため、引き続き関係者が一致協力して採卵用親魚と良質な卵の最大限の確保に努めるとともに、これまで以上に丁寧な管理が重要になると考えます。