令和3年12月23日
12月10日までの回帰尾数は、前年比25%の9.8万尾。
魚体サイズ(尾叉長・体重・肥満度)は、前年とほぼ同等。
年齢別の回帰尾数は、4歳魚が前年と比べて少ない。
1.回帰資源量
12月10日現在の本県回帰尾数は9.8万尾(264トン)で前年比25%(重量比24%)(図1)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比22%(6.4万尾)、河川漁獲は前年比42%(2.9万尾)、種卵確保対策による海産親魚は前年比17%(0.5万尾)となっています。また、1尾あたりの平均体重は2.69kgと前年(2.86kg)を下回りました。
当センターが発表した中期までの回帰予測尾数は11月下旬をピークとする50万尾であり、予測の20%と大きく下回っています。
2.回帰親魚調査結果(中期:11月11日から12月10日までの分)
11月11日から12月9日に片岸川、織笠川、津軽石川において、各ふ化場の協力を得て回帰親魚調査(片岸川69尾、織笠川459尾、津軽石川185尾)を行いました。
(1)年齢組成
片岸川
オスは3歳魚26%、4歳魚43%、5歳魚21%(R2:3歳魚6%、4歳魚89%、5歳魚3%)、メスは3歳魚14%、4歳魚36%、5歳魚50%(R2:3歳魚3%、4歳魚92%、5歳魚3%)で、前年同期と比べるとオス・メスともに3歳魚、5歳魚の割合が高く、4歳魚の割合が低くなりました(図2)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R3:309尾、R2:1,951尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚が前年の70%、4歳魚が7%、5歳魚が1.4倍と4歳魚で大きく下回りました(図3)。
織笠川
オスは3歳魚31%、4歳魚53%、5歳魚9%(R2:3歳魚29%、4歳魚63%、5歳魚5%)、メスは3歳魚21%、4歳魚64%、5歳魚15%(R2:3歳魚21%、4歳魚73%、5歳魚6%)で、前年同期と比べると、オス・メスともに4歳魚の割合が低く、5歳魚の割合がやや高くなりました(図4)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R3:678尾、R2:2,076尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚が前年の35%、4歳魚が28%、5歳魚が67%と大きく下回りました。(図5)。
津軽石川
オスは3歳魚25%、4歳魚48%、5歳魚26%(R2:3歳魚6%、4歳魚84%、5歳魚6%)、メスは3歳魚16%、4歳魚50%、5歳魚34%(R2:3歳魚21%、4歳魚73%、5歳魚6%)で、前年同期と比べるとオス・メスともに3、5歳魚の割合が高く、4歳魚の割合が低くなりました(図6)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R3:654尾、R2:3,912尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚が前年の76%と下回り、5歳魚が前年の99%と同程度、4歳魚が前年10%と大きく下回りました(図7)。
(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度
片岸川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は65.2cm、体重は2.6kg、肥満度※は9.3、またメスの尾叉長は67.6cm、体重は3.0kg、肥満度は9.5でした。尾叉長は3歳魚、4歳魚で前年を上回る傾向にありましたが、体重はオスの3歳魚を除いて前年を下回り、肥満度は3歳魚、4歳魚で低下しました。また、5歳魚で尾叉長、体重ともに前年を下回りました(表1)。
※ 肥満度=体重/(体長/10)3×1,000
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 62.9 | 59.5 | 2.3 | 2.1 | 9.2 | 9.8 |
4歳魚 | 67.3 | 67.3 | 2.9 | 3.0 | 9.3 | 9.8 |
5歳魚 | 69.2 | 71.2 | 3.2 | 3.4 | 9.6 | 9.3 |
全体平均 | 65.2 | 66.8 | 2.6 | 3.0 | 9.3 | 9.8 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 61.7 | 60.8 | 2.2 | 2.3 | 9.2 | 10.3 |
4歳魚 | 68.6 | 66.5 | 3.0 | 3.1 | 9.3 | 10.3 |
5歳魚 | 69.7 | 70.1 | 3.3 | 3.4 | 9.7 | 9.7 |
全体平均 | 67.6 | 66.5 | 3.0 | 3.1 | 9.5 | 10.3 |
織笠川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は66.0cm、体重は2.8kg、肥満度は9.4、また、メスの尾叉長は66.7cm、体重は2.9kg、肥満度は9.8でした。前年同期と比較すると、オス・メスともに各年齢で尾叉長、体重とも同程度となりました。一方で肥満度は前年を上回りました(表2)。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 62.4 | 63.3 | 2.2 | 2.4 | 9.2 | 9.2 |
4歳魚 | 69.1 | 68.2 | 3.2 | 3.0 | 9.5 | 9.4 |
5歳魚 | 70.9 | 70.2 | 3.5 | 3.3 | 9.6 | 9.3 |
全体平均 | 66.0 | 66.7 | 2.8 | 2.8 | 9.4 | 9.3 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 62.3 | 62.7 | 2.3 | 2.4 | 9.5 | 9.5 |
4歳魚 | 67.2 | 67.5 | 3.0 | 3.0 | 9.8 | 9.6 |
5歳魚 | 70.5 | 71.3 | 3.5 | 3.6 | 9.8 | 9.8 |
全体平均 | 66.7 | 66.8 | 2.9 | 2.9 | 9.8 | 9.6 |
津軽石川
魚体測定の結果、オスの尾叉長は70.6cm、体重は3.6kg、肥満度は9.9、また、メスの尾叉長は69.3cm、体重は3.5kg、肥満度は10.4でした。前年同期と比較すると、オスは尾叉長、体重、肥満度ともに前年と同程度となりました。メスは体重で前年を上回り、肥満度も上昇しました(表3)。
表3 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 63.9 | 63.4 | 2.5 | 2.4 | 9.7 | 9.3 |
4歳魚 | 72.2 | 72.0 | 3.8 | 3.8 | 9.9 | 9.8 |
5歳魚 | 75.4 | 76.0 | 4.5 | 4.5 | 10.3 | 10.2 |
全体平均 | 70.6 | 71.5 | 3.6 | 3.7 | 9.9 | 9.8 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
3歳魚 | 62.5 | 62.7 | 2.5 | 2.4 | 10.3 | 9.5 |
4歳魚 | 69.9 | 67.5 | 3.6 | 3.0 | 10.4 | 9.6 |
5歳魚 | 71.6 | 71.3 | 3.9 | 3.6 | 10.5 | 9.8 |
全体平均 | 69.3 | 66.8 | 3.5 | 2.9 | 10.4 | 9.6 |
(3)孕卵数および卵重量
織笠川(12月2日)
織笠川のメス1尾あたりの孕卵数は平均2,838粒、卵1粒あたりの重量は0.23g、生殖腺指数は19.1でした。
前年と比較して、各年齢ともに生殖腺重量、孕卵数、生殖腺指数※の上昇が見られました(表4)。
※ 生殖腺指数=生殖腺重量/体重×100
表4 織笠川 年齢別繁殖形質
3歳魚 | 4歳魚 | 5歳魚 | 全体 | |||||
R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | R3 | R2 | |
尾叉長(cm) | 62.5 | 62.8 | 70.2 | 68.1 | 69.6 | 71.8 | 69.2 | 67.5 |
体重(kg) | 2.37 | 2.45 | 3.60 | 3.11 | 3.43 | 3.69 | 3.43 | 3.05 |
生殖腺重量(kg/尾) | 0.47 | 0.44 | 0.71 | 0.51 | 0.58 | 0.55 | 0.65 | 0.50 |
孕卵数(粒/尾) | 2,490 | 2,208 | 3,042 | 2,278 | 2,488 | 2,301 | 2,838 | 2,268 |
卵重量(g/粒) | 0.19 | 0.20 | 0.24 | 0.23 | 0.25 | 0.25 | 0.23 | 0.22 |
生殖腺指数 | 20.0 | 17.6 | 19.7 | 16.1 | 17.6 | 14.8 | 19.1 | 16.3 |
3.その他
令和3年12月10日現在の秋サケ回帰状況は、回帰尾数・回帰重量ともに、昨年の2割程度に留まっています。
また、中期の調査河川合計の年齢組成は、3歳魚24%、4歳魚51%、5歳魚22%(令和2年中期:3歳魚11%、4歳魚83%、5歳魚5%)と前年に比べて4歳魚の割合が低くなっています。今年回帰の4歳魚は、平成29年生まれであり、この年級の不振が今年の不振の大きな原因になっています。
昨年に引き続き、非常に厳しい状況にはありますが、種卵の確保に努めるとともに、これまで以上の丁寧な管理をお願いします。