令和4年10月21日
10月10日までの回帰尾数※は、前年比55.5%の1.2万尾。
メスの尾叉長・体重・肥満度は、前年を下回る。
調査河川によるそ上魚の年齢組成は、前年と比較して4歳魚の割合が高い。※速報値(県庁水産振興課 秋さけ漁獲速報より)
1.回帰資源量
10月10日現在の回帰尾数は1.2万尾(31トン)で前年比55.5%(重量比53.5%)(図1)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比55.6%(7千尾)、 河川漁獲は前年比54.3%(5千尾)。種卵確保対策による海産親魚は163尾で親魚の確保が開始されました。また、当センターが発表した10月10日までの回帰予測尾数は1.6万尾であり、実績は予測の76.6%となりました。
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2.回帰親魚調査結果(10月10日までの分)
9月30日、10月4日および7日に津軽石川において、ふ化場の協力を得て回帰親魚調査(オス48尾、メス115尾)を行いました。なお、メスは田老川、摂待川、織笠川、重茂川、津軽石川の混ざり、オスは津軽石川のみを調査しています。また、水産研究教育機構宮古庁舎が実施した安家川の調査結果も掲載しました。
(1)年齢組成
津軽石川
オスは3歳魚27%、4歳魚73%(R3:4歳魚50%、5歳魚50%)、メスは3歳魚19%、4歳魚78%、5歳魚3%(R3:3歳魚18%、4歳魚64%、5歳魚18%)で、前年同期と比べると、オス、メスともに4歳魚の割合が高く、5歳魚の割合が低くなりました(図2)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R4:265尾、R3:156尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年同期の5.2倍、4歳魚は2.3倍、5歳魚は5%の回帰となっています(図3)。
安家川
オスは3歳魚3%、4歳魚77%、5歳魚19%、6歳魚1%(R3:3歳魚19%、4歳魚76%、5歳魚5%)、メスは3歳魚1%、4歳魚83%、5歳魚16%(R3:3歳魚16%、4歳魚79%、5歳魚5%)で、前年同期と比べると、オス、メスともに4歳魚の割合は同程度で、3歳魚の割合は低くなり、5歳魚の割合が高くなりました(図4)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R4:3,162尾、R3:6,607尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年同期の5%、4歳魚は49%、5歳魚は1.8倍の回帰となっています(図5)。
(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度
津軽石川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は66.0cm、体重は2.8kg、肥満度は9.6、また、メスは62.5cm、2.4kg、9.6でした。前年同期と比較すると、オスの4歳魚の尾叉長、体重は前年を上回りましたが、肥満度は若干前年を下回りました。またメスについては3歳魚の尾叉長で前年を若干上回った以外は、前年を下回りました(表1)。
表1 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 61.1 | – | 2.2 | – | 9.5 | – |
4歳魚 | 67.8 | 65.5 | 3.1 | 2.8 | 9.6 | 9.9 |
5歳魚 | – | 72.0 | – | 4.0 | – | 10.8 |
全体平均 | 66.0 | 68.8 | 2.8 | 3.4 | 9.6 | 10.4 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 59.5 | 59.0 | 2.0 | 2.1 | 9.2 | 9.9 |
4歳魚 | 63.2 | 68.1 | 2.5 | 3.3 | 9.7 | 10.3 |
5歳魚 | 63.7 | 73.5 | 2.5 | 4.5 | 9.5 | 11.4 |
全体平均 | 62.5 | 67.5 | 2.4 | 3.3 | 9.6 | 10.4 |
安家川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は69.4cm、体重は3.4kg、肥満度は9.9、また、メスは63.5cm、2.5kg、9.6でした。前年同期と比較すると、オスの3歳魚の尾叉長、体重は前年を上回り、それ以外は概ね前年並みとなりました。またメスの尾叉長、体重および肥満度は前年を下回りました(表2)。
表2 安家川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 69.4 | 65.3 | 3.3 | 2.8 | 9.9 | 9.9 |
4歳魚 | 68.7 | 69.5 | 3.3 | 3.4 | 9.9 | 10.1 |
5歳魚 | 71.9 | 71.5 | 3.7 | 3.8 | 9.7 | 10.2 |
全体平均 | 69.4 | 68.8 | 3.4 | 3.3 | 9.9 | 10.1 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 58.5 | 60.6 | 1.9 | 2.3 | 9.2 | 10.0 |
4歳魚 | 63.2 | 64.5 | 2.4 | 2.8 | 9.6 | 10.2 |
5歳魚 | 65.4 | 68.5 | 2.7 | 3.6 | 9.5 | 11.0 |
全体平均 | 63.5 | 64.1 | 2.5 | 2.7 | 9.6 | 10.2 |
3.その他
令和4年10月10日現在の秋サケ回帰状況は、令和3年度よりもさらに少ない状況にあります。現在、安家川では3歳魚の尾数が少なく、津軽石川では多くなっており、県全体の放流サイズが大きかった3歳魚(令和元年級)が今後の動向のポイントとなります。一方で、メスの魚体サイズに小型化の傾向が見られ、今後の動向に注視し、要因の調査を行っていく予定です。
現在、県全体の種卵の確保状況は、2,789千粒で前年比44.2%(前年同期6,312千粒)に留まっています。サケ資源の回復のため、引き続き関係者が一致協力して採卵用親魚と良質な卵の最大限の確保に努めるとともに、これまで以上に丁寧な管理が重要になると考えます。