令和4年11月24日
11月10日までの回帰尾数※は、前年比130.1%の7.8万尾。
4歳魚の尾叉長・体重・肥満度は、前年を下回る。
調査河川によるそ上魚の年齢組成は、前年と比較して4歳魚の割合が高い。
※速報値(県庁水産振興課 秋さけ漁獲速報より)
1.回帰資源量
11月10日現在の回帰尾数は7.8万尾(199トン)で前年比130.1%(重量比128.9%)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比142.3%(54千尾)、 河川漁獲は前年比98.1%(20千尾)。種卵確保対策による海産親魚は4千尾となっています。河川そ上率は25.7%と前年(34.1%)を下回りました。また、当センターが発表した11月10日までの回帰予測尾数は3.9万尾であり、実績は予測の約2倍となっています(図1)。
2.回帰親魚調査結果(前期:11月10日までの分)
片岸川、織笠川および津軽石川において、ふ化場の協力を得て回帰親魚調査(片岸川329尾、織笠川149尾、津軽石川677尾)を行いました。
(1)年齢組成
片岸川
オスは3歳魚19%、4歳魚80%、5歳魚10%(R3:3歳魚35%、4歳魚31%、5歳魚27%)、メスは3歳魚17%、4歳魚80%、5歳魚2%(R3:3歳魚26%、4歳魚32%、5歳魚42%)で、前年同期と比べるとオスメスともに4歳魚の割合が高くなり、3歳魚及び5歳魚の割合が低くなりました(図2)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R4:416尾、R3:333尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の71%、4歳魚は前年の3.2倍、5歳魚は前年の2%の回帰となっています(図3)。
織笠川
オスは3歳魚6%、4歳魚93%、5歳魚1%(R3:3歳魚31%、4歳魚56%、5歳魚10%)、メスは3歳魚3%、4歳魚93%、5歳魚3%(R3:3歳魚28%、4歳魚57%、5歳魚15%)で、前年同期と比べるとオスメスともに4歳魚の割合が高くなり、3歳魚及び5歳魚の割合が低くなりました(図4)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R4:184尾、R3:249尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の12%、4歳魚は前年の1.21倍、5歳魚は前年の13%となっています(図5)。
津軽石川
オスは3歳魚17%、4歳魚83%、5歳魚10%(R3:3歳魚59%、4歳魚25%、5歳魚12%)、メスは3歳魚13%、4歳魚85%、5歳魚2%(R3:3歳魚53%、4歳魚32%、5歳魚13%)で、前年同期と比べるとオスメスともに4歳魚の割合が高くなり、3歳魚及び5歳魚の割合が低くなりました(図6)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R4:616尾、R3:452尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の35.5%、4歳魚は前年の4.1倍、5歳魚は前年の0.09%の回帰となっています(図7)。
(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度
片岸川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は65.7cm、体重は2.8kg、肥満度は9.6、また、メスは64.0cm、2.6kg、9.7でした。前年同期と比較すると、オスの各年齢の尾叉長、体重および肥満度は前年を下回りました。またメスの尾叉長は各年齢で前年を下回り、体重は4歳魚で前年を下回り、3歳魚および5歳魚で前年同程度、肥満度は4歳魚で前年同程度、3歳魚及び5歳魚は前年を上回りました。(表1)。
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 61.7 | 63.2 | 2.2 | 2.4 | 9.3 | 9.6 |
4歳魚 | 66.9 | 68.1 | 2.9 | 3.1 | 9.7 | 9.8 |
5歳魚 | – | 72.1 | – | 3.6 | – | 9.6 |
全体平均 | 65.7 | 66.5 | 2.8 | 2.9 | 9.6 | 9.6 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 61.1 | 62.3 | 2.3 | 2.3 | 10.0 | 9.4 |
4歳魚 | 64.6 | 68.7 | 2.6 | 3.1 | 9.7 | 9.7 |
5歳魚 | 67.5 | 68.8 | 3.2 | 3.2 | 10.5 | 9.8 |
全体平均 | 64.0 | 67.1 | 2.6 | 2.9 | 9.7 | 9.7 |
織笠川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は66.0cm、体重は2.7 kg、肥満度は9.3、また、メスは64.2cm、2.6kg、9.7でした。前年同期と比較すると、オスの尾叉長・体重は3歳魚および5歳魚で前年を上回りましたが、4歳魚は前年を下回りました。オスの肥満度は3歳魚で前年同程度、4歳魚で前年を下回り、5歳魚で前年を上回りました。メスでは5歳魚の肥満度で前年を上回った以外は、各年齢ともに尾叉長、体重、肥満度は前年を下回りました(表2)。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 64.4 | 62.8 | 2.5 | 2.3 | 9.3 | 9.3 |
4歳魚 | 66.0 | 67.8 | 2.7 | 3.0 | 9.3 | 9.7 |
5歳魚 | 74.0 | 69.6 | 4.4 | 3.0 | 10.8 | 8.7 |
全体平均 | 66.0 | 65.8 | 2.7 | 2.8 | 9.3 | 9.5 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 59.5 | 61.2 | 1.8 | 2.2 | 8.4 | 9.7 |
4歳魚 | 64.4 | 66.7 | 2.6 | 2.9 | 9.7 | 9.9 |
5歳魚 | 66.5 | 68.8 | 2.9 | 3.1 | 9.6 | 9.5 |
全体平均 | 64.2 | 65.5 | 2.6 | 2.8 | 9.7 | 9.8 |
津軽石川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は66.1cm、体重は2.8kg、肥満度は9.7、また、メスは63.7cm、2.6kg、10.1でした。前年同期と比較すると、オスメスともに各年齢の尾叉長、体重および肥満度は前年を下回りました(表3)。
表3 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 61.2 | 62.1 | 2.2 | 2.3 | 9.3 | 9.5 |
4歳魚 | 67.1 | 68.9 | 3.0 | 3.3 | 9.7 | 9.9 |
5歳魚 | – | 70.3 | – | 3.3 | – | 9.3 |
全体平均 | 66.1 | 64.6 | 2.8 | 2.7 | 9.7 | 9.6 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 60.1 | 60.6 | 2.1 | 2.3 | 9.7 | 10.1 |
4歳魚 | 64.2 | 66.6 | 2.7 | 3.1 | 10.1 | 10.5 |
5歳魚 | 65.1 | 69.4 | 2.6 | 3.6 | 9.4 | 10.6 |
全体平均 | 63.7 | 63.6 | 2.6 | 2.7 | 10.1 | 10.3 |
3.その他
令和4年11月10日現在の秋サケ回帰状況は、前年同期を上回っていますが、依然として低調な状況にあります。調査河川において、5歳魚(平成29年級)の回帰尾数が少ないことが共通しており、全体の回帰尾数の減少の原因となっています。また、4歳魚の魚体サイズに小型化の傾向が見られるため、今後の動向に注視し、要因の調査を行っていく予定です。
11月10日現在の県全体の種卵の確保状況は、23,632千粒で前年比102%となっています。サケ資源の回復のため、引き続き関係者が一致協力して採卵用親魚と良質な卵の確保に努めるとともに、これまで以上に丁寧な管理を行うことが重要になると考えます。