令和4年12月19日
12月10日までの回帰尾数※は、前年比138.7%の13.7万尾。
4歳魚の尾叉長・体重・肥満度は、前年を下回る。
調査河川によるそ上魚の年齢組成は、前年と比較して4歳魚の割合が高い。
※速報値(県庁水産振興課 秋さけ漁獲速報より)
1.回帰資源量
12月10日現在の回帰尾数は13.7万尾(353トン)で前年比138.7%(重量比133.4%)(図1)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比143.2%(92千尾)、 河川漁獲は前年比134.2%(38千尾)。種卵確保対策による海産親魚は6千尾となっています。河川そ上率は27.7%と前年(29.6%)を下回りました。また、当センターが発表した12月10日までの回帰予測尾数は8.5万尾であり、実績は予測の約1.6倍となっています。
2.回帰親魚調査結果(中期:12月10日までの分)
片岸川、織笠川および津軽石川において、ふ化場の協力を得て回帰親魚調査(片岸川98尾、織笠川414尾、津軽石川336尾)を行いました。
(1)年齢組成
片岸川
オスは3歳魚20%、4歳魚74%、5歳魚2%(R3:3歳魚26%、4歳魚43%、5歳魚21%)、メスは3歳魚16%、4歳魚74%、5歳魚10%(R3:3歳魚14%、4歳魚36%、5歳魚50%)で、前年同期と比べるとオスメスともに4歳魚の割合が高くなり、メスの3歳魚を除いて3歳魚、5歳魚の割合が低くなりました(図2)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R4:503尾、R3:309尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の1.3倍、4歳魚は前年の3.0倍、5歳魚は前年の24%の回帰となっています(図3)。
織笠川
オスは3歳魚29%、4歳魚66%、5歳魚1%(R3:3歳魚31%、4歳魚53%、5歳魚9%)、メスは3歳魚18%、4歳魚80%、5歳魚2%(R3:3歳魚21%、4歳魚64%、5歳魚15%)で、前年同期と比べるとオスメスともに4歳魚の割合が高くなり、3歳魚、5歳魚の割合が低くなりました(図4)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R4:677尾、R3:678尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の89%、4歳魚は前年の1.2倍、5歳魚は前年の15%となっています(図5)。
津軽石川
オスは3歳魚11%、4歳魚82%、5歳魚6%(R3:3歳魚25%、4歳魚48%、5歳魚26%)、メスは3歳魚6%、4歳魚88%、5歳魚6%(R3:3歳魚16%、4歳魚50%、5歳魚34%)で、前年同期と比べるとオスメスともに4歳魚の割合が高くなり、3歳魚および5歳魚の割合が低くなりました(図6)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R4:1,418尾、R3:654尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の91%、4歳魚は前年の3.8倍、5歳魚は前年の41%の回帰となっています(図7)。
(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度
片岸川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は64.7cm、体重は2.5kg、肥満度は9.1、また、メスは64.2cm、2.4kg、9.1でした。前年同期と比較すると、オスの3歳魚の肥満度を除いて3歳魚及び4歳魚の尾叉長、体重及び肥満度は前年を下回りました。なお、オスの5歳魚は1尾のみの測定値となっています。またメスの各年齢の尾叉長、体重及び肥満度は前年を下回りました(表1)。
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 61.0 | 62.9 | 2.1 | 2.3 | 9.2 | 9.2 |
4歳魚 | 65.7 | 67.3 | 2.6 | 2.9 | 9.0 | 9.3 |
5歳魚 | 83.0 | 69.2 | 6.1 | 3.2 | 10.7 | 9.6 |
全体平均 | 64.7 | 65.2 | 2.5 | 2.6 | 9.1 | 9.3 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 59.8 | 61.7 | 2.0 | 2.2 | 9.1 | 9.2 |
4歳魚 | 64.6 | 68.6 | 2.5 | 3.0 | 9.2 | 9.3 |
5歳魚 | 68.7 | 69.7 | 2.9 | 3.3 | 8.7 | 9.7 |
全体平均 | 64.2 | 67.6 | 2.4 | 3.0 | 9.1 | 9.5 |
織笠川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は63.8cm、体重は2.5 kg、肥満度は9.3、また、メスは64.8cm、2.7kg、9.8でした。前年同期と比較すると、各年齢の尾叉長及び体重は、3歳魚の体重で前年同程度となった以外は前年を下回りました。オスの肥満度は、3歳魚及び5歳魚で前年を上回り、4歳魚で前年を下回りました。メスでは各年齢の尾叉長及び体重は、前年を下回りました。メスの肥満度は、3歳魚で前年を上回りましたが、4歳魚及び5歳魚は前年と同程度でした(表2)。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 61.7 | 62.4 | 2.2 | 2.2 | 9.3 | 9.2 |
4歳魚 | 65.4 | 69.1 | 2.7 | 3.2 | 9.4 | 9.5 |
5歳魚 | 70.0 | 70.9 | 3.3 | 3.5 | 9.7 | 9.6 |
全体平均 | 63.8 | 66.0 | 2.5 | 2.8 | 9.3 | 9.4 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 60.8 | 62.3 | 2.2 | 2.3 | 9.6 | 9.5 |
4歳魚 | 65.6 | 67.2 | 2.8 | 3.0 | 9.8 | 9.8 |
5歳魚 | 69.0 | 70.5 | 3.2 | 3.5 | 9.8 | 9.8 |
全体平均 | 64.8 | 66.7 | 2.7 | 2.9 | 9.8 | 9.8 |
津軽石川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は69.3cm、体重は3.4kg、肥満度は9.9、また、メスは67.7cm、3.1kg、9.9でした。前年同期と比較すると、オスの4歳魚の肥満度が前年同程度となった以外は、各年齢の尾叉長及び体重は前年を下回りました。メスの3歳魚及び5歳魚の尾叉長は前年を上回りましたが、4歳魚は前年を下回りました。またメスの各年齢の体重及び肥満度は前年を下回りました(表3)。
表3 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 63.2 | 63.9 | 2.4 | 2.5 | 9.6 | 9.7 |
4歳魚 | 69.9 | 72.2 | 3.5 | 3.8 | 9.9 | 9.9 |
5歳魚 | 73.8 | 75.4 | 4.2 | 4.5 | 10.2 | 10.3 |
全体平均 | 69.3 | 70.6 | 3.4 | 3.6 | 9.9 | 9.9 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R4 | R3 | R4 | R3 | R4 | R3 | |
3歳魚 | 62.9 | 62.5 | 2.4 | 2.5 | 9.6 | 10.3 |
4歳魚 | 67.7 | 69.9 | 3.1 | 3.6 | 10.0 | 10.4 |
5歳魚 | 72.1 | 71.6 | 3.8 | 3.9 | 9.9 | 10.5 |
全体平均 | 67.7 | 69.3 | 3.1 | 3.5 | 9.9 | 10.4 |
3.その他
令和4年12月10日現在の秋サケ回帰状況は、前年同期を上回っていますが、依然として低調な状況にあります。調査河川において、5歳魚(平成29年級)の回帰尾数が少ないことが共通しており、全体の回帰尾数の減少の原因となっています。また、各年齢の魚体サイズに小型化の傾向が見られています。
12月10日現在の県全体の種卵の確保状況は、43,200千粒で前年比119%となっています。サケ資源の回復のため、引き続き関係者が一致協力して良質な卵の確保に努めるとともに、丁寧な飼育管理が重要になると考えます。