2024年マダコ漁況情報(漁況情報号外)

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令和6年9月19日

1)期 間 : 令和6年9月~令和6年12月

2)漁 況 : 前年並~前年を上回る。

3)その他 : 1~12月までの年間漁獲量は前年を大きく上回る。

近年、漁獲量が増加傾向にあるマダコについて、今年度から試験的に漁況予測を実施しましたので、その結果をお知らせします。

予測の概要

今年の春先は黒潮続流が北偏し、沿岸域では春先の水温がマダコの生存可能な7℃を長期間上回ったことから、今年度の9~12月の漁獲量は前年並み~前年を上回り、令和6年のマダコ年間漁獲量は前年を大きく上回ると考えられます。

1 岩手県海域に生息するマダコの生態

 東北太平洋海域に分布するマダコは、水深数十mより浅い沿岸域に主に生息しています。本海域で漁獲されるマダコの大半は、冬~春先に千葉・茨城県海域で産卵・ふ化した幼生が黒潮続流の流れに乗り、東北海域で着底・成長する春生まれの個体(渡り群)だと考えられています(図1)。本県海域で着底・成長したマダコが主に例年9~12月にかけて漁獲されます(図2)。1月以降は水温低下に伴い、産卵のために千葉・茨城県海域まで再び南下すると考えられており、2~7月までは本県ではほとんどマダコが漁獲されなくなります。
 マダコが生存できる水温は7℃以上とされており、7℃未満の水温が続くと死亡すると考えられていますが、冬季に水温が低下しない東北海域の一部の海域では、そのまま残留する個体(地着き群)もいると考えられています。近年、高水温の影響により、本県の南部海域を中心に地着き群が残留している可能性があります。

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図1 東北海域におけるマダコ(渡り群)の生活史のイメージ

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図2 岩手県における過去5年間の月別漁獲量

2 岩手県におけるマダコ水揚量の推移

 本県のマダコは9割以上が、かご漁法により漁獲されています(図3)。令和5年の水揚量は763トン(前年比381%、平均※2比280%)で、漁法別にみると、カゴが692トン(前年比395%、平均比282%)、定置網及び磯建網が21トン(前年比100%、平均比132%)となっています。

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図3 岩手県におけるマダコの年度別・漁法別水揚量の推移

3 令和6年後期の漁況予測

今年度から試験的に以下の環境データを予測に使用し、漁獲量を予測しました。

【R6年後期の予測モデル(簡略版)】
9~12月のかご漁獲量 ~ 黒潮続流の4月の平均北限緯度※1
+県中部(山田湾)での1~6月の7℃未満の日数割合※2
【予測に用いた指標の説明】
※1 水深100mにおける水温15℃以上の水塊(黒潮続流)の緯度 (水産研究・教育機構から提供)
※2 本県定地水温システムで測定した1~6月の水温データを使用

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図4 漁況予測モデルにより推定した漁期中漁獲量
令和6年後期の予測値は赤丸で示す。

この予測モデルにより、今年度の漁期後半の漁獲量は前年並み~前年を上回ると予測されました(図4)。

まとめ

今年の春先に、黒潮続流が北偏したこと、そして春先の水温が7℃を下回らなかったことから、今年の後半(9月~12月)のマダコの漁獲量は前年並み又は前年を上回ると考えられます。また、令和6年1~8月までの漁獲量(速報値)は既に500トンを上回っていることから、主漁期となる9~12月の予測結果も考慮すると、令和6年度の漁獲量は前年を大きく上回ると予測されます。

担当:漁業資源部(森)

TEL:0193-26-7915
FAX:0193-26-7920
E-mail:t.mori@pref.iwate.jp