2024年度秋サケ回帰情報(No1:前期分)

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令和6年11月21日
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11月10日までの回帰尾数※は、前年比71.4%の1.1万尾。

各河川とも3歳魚と4歳魚を中心とした年齢構成で、魚体は、前年と比較してメスを中心に小型。
※速報値(県庁水産振興課 秋さけ漁獲速報より)

1.回帰資源量

 11月10日現在の回帰尾数は1.1万尾(26トン)で前年比71.4%(重量比66.5%)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比54.8%(5千尾)、 河川漁獲は前年比101.7%(5千尾)。種卵確保対策による海産親魚は97尾となっています。河川そ上率は51.5%と前年(36.0%)を大きく上回りました。また、当センターが発表した11月10日までの回帰予測尾数は1.7万尾であり、実績は予測の62.4%となっています(図1)。

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図1 岩手県の回帰尾数の旬別推移

2.回帰親魚調査結果(前期:11月10日までの分)

 片岸川、織笠川および津軽石川において、ふ化場の協力を得て回帰親魚調査(片岸川70尾、織笠川16尾(雄のみ)、津軽石川230尾(近隣河川含む))を行いました。

(1)年齢組成

片岸川
 オスは3歳魚29%、4歳魚67%、5歳魚0%(R5:3歳魚52%、4歳魚30%、5歳魚17%)、メスは3歳魚27%、4歳魚64%、5歳魚5%(R5:3歳魚24%、4歳魚18%、5歳魚58%)で、前年同期と比べるとオスメスともに4歳魚の割合が高くなり、5歳魚の割合が低くなりました(図2)。
 年齢査定の結果に河川回帰尾数(R6:66尾、R5:61尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の86%、4歳魚は前年の3.1倍、5歳魚は前年の4%の回帰となっています(図3)。

織笠川
 オスは3歳魚38%、4歳魚63%、5歳魚0%(R5:3歳魚53%、4歳魚27%、5歳魚7%)、メスは親魚を移出したため測定できませんでした。オスについて前年同期と比べると、4歳魚の割合が高くなり、3歳魚及び5歳魚の割合が低くなりました(図4)。
 年齢査定の結果に河川回帰尾数(R6:15尾、R5:18尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の60%、4歳魚は前年の1.8倍、5歳魚は前年の0%となっています(図5)。

津軽石川
 オスは3歳魚63%、4歳魚31%、5歳魚6%(R5:3歳魚33%、4歳魚44%、5歳魚18%)、メスは3歳魚65%、4歳魚32%、5歳魚3%(R5:3歳魚25%、4歳魚49%、5歳魚25%)で、前年同期と比べるとオスメスともに3歳魚の割合が著しく高くなり、4歳魚及び5歳魚の割合が低くなりました(図6)。
 年齢査定の結果に河川回帰尾数(R6:210尾、R5:206尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の2.2倍、4歳魚は前年の68%、5歳魚は前年の23%の回帰となっています(図7)。

(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度

片岸川
 魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は64.5cm、体重は2.7kg、肥満度は10.0、また、メスは63.5cm、2.5kg、9.6でした。前年同期と比較すると、オスの3、4歳魚の尾叉長がやや小さく、肥満度が前年よりも高い傾向でした。また、メスは各年齢ともに尾叉長、体重、肥満度が前年を下回りました(表1)。
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 60.0 61.6 2.2 2.2 10.4 9.4
4歳魚 67.3 69.1 3.1 3.1 9.9 9.1
5歳魚 68.5 3.6 10.4
全体平均 64.5 65.1 2.7 2.7 10.0 9.5

(メス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 57.8 61.3 1.8 2.2 9.4 9.5
4歳魚 65.1 66.0 2.7 3.1 9.7 10.6
5歳魚 68.0 68.3 2.9 3.2 9.3 10.0
全体平均 63.5 66.2 2.5 2.9 9.6 10.0

織笠川
 魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は63.4cm、体重は2.5kg、肥満度は9.6でした。測定できたオスについて前年同期と比較すると、3歳魚が尾叉長、体重、肥満度ともに前年を上回り、4歳魚は前年を下回りました。(表2)。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 61.0 59.3 2.3 2.0 9.7 9.5
4歳魚 64.9 68.0 2.6 3.3 9.5 10.6
5歳魚 68.0 3.2 10.0
全体平均 63.4 60.9 2.5 2.3 9.6 9.7

(メス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚
4歳魚
5歳魚
全体平均

津軽石川
 魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は63.2cm、体重は2.5kg、肥満度は9.7、また、メスは60.9cm、2.3kg、9.9でした。前年同期と比較すると、オスでは4歳魚の尾叉長、体重、肥満度が前年を上回り、3歳魚と5歳魚が下回る傾向、メスでは3歳魚で尾叉長、体重、肥満度が前年を下回り、4歳魚と5歳魚では尾叉長が上回る傾向でした(表3)。最も多かった3歳魚の魚体サイズが前年を下回ったため、全体の平均も前年を下回りました。
表3 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 60.6 61.3 2.1 2.1 9.5 9.3
4歳魚 67.3 65.1 3.1 2.7 10.1 9.5
5歳魚 68.0 70.8 3.0 3.5 9.6 9.7
全体平均 63.2 64.2 2.5 2.6 9.7 9.4

(メス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 58.4 59.2 2.0 2.2 9.7 10.3
4歳魚 65.3 64.4 2.8 2.8 10.2 10.3
5歳魚 68.6 67.8 3.1 3.3 9.4 10.6
全体平均 60.9 63.9 2.3 2.8 9.9 10.4

3.その他

 令和6年11月10日現在の秋サケ回帰状況は、きわめて低調だった昨年を若干下回っていますが、海水温が下がるにつれて予測値に近づいています。
 近年、5歳魚以上の回帰尾数が少なくなり、3歳魚と4歳魚を中心とした回帰で、平均の魚体サイズが小さくなる傾向にあります。令和3年級(令和6年に3歳魚)の放流数が5千3百万尾と過去最も少なくなりましたが、2億3千2百万尾を放流した令和2年級(令和6年に4歳魚)に匹敵する回帰尾数となっていることから、大型で強い稚魚を放流することが重要であると考えられます。