2024年度秋サケ回帰情報(No2:前期分)

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令和6年12月25日
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12月10日までの回帰尾数※は、前年比102%の3.2万尾。

4歳魚が前年よりも多いものの5歳魚が著しく少ないため、全体の回帰尾数が少なく、魚体も小型傾向。
※速報値(県庁水産振興課 秋さけ漁獲速報より)

1.回帰資源量

 12月10日現在の回帰尾数は3.2万尾(84トン)で前年比102%(重量比94%)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比84%(16千尾)、 河川漁獲は前年比129%(15千尾)。種卵確保対策による海産親魚は1,136尾となっています。河川そ上率は46%と前年(36%)を上回りました。また、当センターが発表した12月10日までの回帰予測尾数は3.2万尾であり、概ね予測と一致しています(図1)。

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図1 岩手県の回帰尾数の旬別推移

2.回帰親魚調査結果(中期:12月10日までの分)

 片岸川、織笠川および津軽石川において、ふ化場の協力を得て回帰親魚調査(片岸川104尾、織笠川374尾、津軽石川451尾)を行いました。

(1)年齢組成

片岸川
 オスは3歳魚45%、4歳魚52%、5歳魚3%(R5:3歳魚36%、4歳魚27%、5歳魚33%)、メスは3歳魚33%、4歳魚54%、5歳魚8%(R5:3歳魚26%、4歳魚40%、5歳魚33%)で、前年同期と比べるとオスメスともに3歳魚及び4歳魚の割合が高くなり、5歳魚の割合が低くなりました(図2)。
 年齢査定の結果に河川回帰尾数(R6:184尾、R5:138尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の1.8倍、4歳魚は前年の2.1倍、5歳魚は前年の20%の回帰となっています(図3)。

織笠川
 オスは3歳魚15%、4歳魚80%、5歳魚5%(R5:3歳魚48%、4歳魚40%、5歳魚12%)、メスは3歳魚16%、4歳魚76%、5歳魚9%(R5:3歳魚24%、4歳魚50%、5歳魚25%)で、前年同期と比べると、オスメスともに4歳魚の割合が高くなり、3歳魚及び5歳魚の割合が低くなりました(図4)。
 年齢査定の結果に河川回帰尾数(R6:448尾、R5:317尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の54%、4歳魚は前年の2.5倍、5歳魚は前年の50%となっています(図5)。

津軽石川
 オスは3歳魚14%、4歳魚76%、5歳魚9%(R5:3歳魚14%、4歳魚54%、5歳魚31%)、メスは3歳魚13%、4歳魚75%、5歳魚10%(R5:3歳魚11%、4歳魚59%、5歳魚30%)で、前年同期と比べるとオスメスともに3歳の割合は同等、4歳魚の割合が高くなり、5歳魚の割合が低くなりました(図6)。
 年齢査定の結果に河川回帰尾数(R6:928尾、R5:632尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の1.5倍、4歳魚は前年の2.0倍、5歳魚は前年の45%の回帰となっています(図7)。

(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度

片岸川
 魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は63.8cm、体重は2.6kg、肥満度は9.8、また、メスは63.6cm、2.4kg、9.4でした。前年同期と比較すると、オスの3歳魚の尾叉長、体重が前年並みのほかは、雌雄、各年齢ともに尾叉長、体重、肥満度が小さくなりました(表1)。
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 59.5 60.6 2.1 2.1 9.6 9.3
4歳魚 67.0 68.0 3.0 3.2 10.0 10.2
5歳魚 70.4 71.2 3.7 3.9 10.7 10.9
全体平均 63.8 65.6 2.6 3.0 9.8 10.1

(メス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 58.0 60.8 1.9 2.3 9.8 10.0
4歳魚 66.0 68.6 2.6 3.3 9.2 10.0
5歳魚 68.9 70.6 3.1 3.6 9.6 10.2
全体平均 63.6 67.0 2.4 3.1 9.4 10.0

織笠川
 魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は65.6cm、体重は2.8 kg、肥満度は9.8、また、メスは65.8cm、2.9kg、9.9でした。前年同期と比較すると、オス及びメスの5歳魚の肥満度のほかは、雌雄ともに尾叉長、体重が小さくなりました(表2)。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 60.5 62.0 2.1 2.3 9.6 9.5
4歳魚 66.5 69.6 2.9 3.4 9.9 9.9
5歳魚 68.6 71.6 3.3 3.7 10.2 10.1
全体平均 65.6 66.2 2.8 2.9 9.8 9.7

(メス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 58.3 62.6 1.9 2.4 9.5 9.7
4歳魚 66.8 69.3 3.0 3.4 9.9 10.3
5歳魚 69.2 69.3 3.4 3.5 10.4 10.3
全体平均 65.8 67.6 2.9 3.2 9.9 10.1

津軽石川
 魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は69.0cm、体重は3.3 kg、肥満度は9.7、また、メスは66.0cm、3.1kg、10.4でした。前年同期と比較すると、メスの4歳魚及び5歳魚の肥満度が前年並みのほか、雌雄、各年齢ともに尾叉長、体重、肥満度が小さくなりました(表3)。
表3 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 59.7 65.0 2.0 2.7 9.3 9.7
4歳魚 69.9 72.7 3.4 4.0 9.7 10.1
5歳魚 75.7 76.1 4.4 4.6 10.1 10.3
全体平均 69.0 72.3 3.3 3.9 9.7 10.1

(メス)

  尾叉長
(cm)
体 重
(kg)
肥満度
R6 R5 R6 R5 R6 R5
3歳魚 57.6 64.4 1.9 2.8 9.7 10.4
4歳魚 66.7 69.7 3.1 3.6 10.5 10.5
5歳魚 70.7 73.8 3.9 4.4 11.0 10.9
全体平均 66.0 70.4 3.1 3.8 10.4 10.6

3.その他

 令和6年12月10日現在の秋サケ回帰状況は、過去最低だった昨年並みとなっています。調査河川においては、4歳魚(令和2年級)が増加して前年よりも多くそ上していますが、主力となるはずの5歳魚の回帰尾数が少ないことから全体の回帰尾数の減少と平均魚体重の低下の原因となっています。これは、令和元年級の稚魚を放流した令和2年の水温、餌、海流などの海洋環境が、稚魚にとって悪かったことが大きな要因になっていると考えられます。