令和7年1月24日
1月10日までの回帰尾数※は、前年比98%の4.3万尾。
前年よりも4歳魚が多く、魚体は前年よりも小型傾向。
※速報値(県庁水産振興課 秋さけ漁獲速報より)
1.回帰資源量
1月10日現在の回帰尾数は4.3万尾(116トン)で前年比98%(重量比89%)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比77.2%(22千尾)、 河川漁獲は前年比1.3倍(19千尾)。種卵確保対策による海産親魚は1,549尾となっています。河川そ上率は45.5%と前年(33.1%)を上回りました。また、当センターが発表した1月10日までの回帰予測尾数は4.4万尾であり、実績は予測の97.9%となっています(図1)。
2.回帰親魚調査結果(後期分:12月11日以降の分)
片岸川、織笠川および津軽石川において、ふ化場の協力を得て回帰親魚調査(片岸川41尾、織笠川416尾、津軽石川453尾)を行いました。
(1)年齢組成
片岸川
オスは3歳魚15%、4歳魚70%、5歳魚11%(R5:3歳魚20%、4歳魚30%、5歳魚50%)、メスは3歳魚7%、4歳魚86%、5歳魚7%(R5:3歳魚0%、4歳魚33%、5歳魚67%)で、前年同期と比べるとオスメスともに5歳魚の割合が低くなり、4歳魚の割合が高くなりました(図2)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R6:54尾、R5:39尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の1.5倍、4歳魚は前年の3.2倍、5歳魚は前年の23%の回帰となっています(図3)。
織笠川
オスは3歳魚6%、4歳魚88%、5歳魚5%(R5:3歳魚51%、4歳魚38%、5歳魚10%)、メスは3歳魚0%、4歳魚88%、5歳魚11%(R5:3歳魚37%、4歳魚47%、5歳魚16%)で、前年同期と比べると、オスメスともに4歳魚の割合が著しく高くなり、3歳魚及び5歳魚の割合が低くなりました(図4)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R6:666尾、R5:327尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の16%、4歳魚は前年の4.2倍、5歳魚は前年の1.3倍となっています(図5)。
津軽石川
オスは3歳魚5%、4歳魚76%、5歳魚14%(R5:3歳魚7%、4歳魚32%、5歳魚59%)、メスは3歳魚1%、4歳魚70%、5歳魚21%(R5:3歳魚10%、4歳魚20%、5歳魚71%)で、前年同期と比べるとオスメスともに4歳魚の割合が高くなり、3歳魚及び5歳魚の割合が低くなりました(図6)。
年齢査定の結果に河川回帰尾数(R6:1,450尾、R5:1,182尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の48%、4歳魚は前年の3.6倍、5歳魚は前年の32%の回帰となっています(図7)。
(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度
片岸川
魚体測定の結果、雄の平均尾叉長は64.6cm、体重は2.6kg、肥満度は9.3、また、メスは67.6cm、2.8kg、8.9でした。前年同期と比較すると、オスは各年齢とも尾叉長、体重が前年より小さくなった一方で、メスは大きくなりました(表1)。5歳魚の割合が低下したこと(図2)により、全体平均のサイズは小さい傾向にありました。
表1 片岸川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R6 | R5 | R6 | R5 | R6 | R5 | |
3歳魚 | 57.5 | 58.5 | 1.6 | 1.8 | 8.3 | 8.9 |
4歳魚 | 65.6 | 66.7 | 2.7 | 2.8 | 9.4 | 9.3 |
5歳魚 | 68.0 | 71.2 | 3.1 | 3.6 | 9.9 | 9.8 |
全体平均 | 64.6 | 67.3 | 2.6 | 3.0 | 9.3 | 9.5 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R6 | R5 | R6 | R5 | R6 | R5 | |
3歳魚 | 60.0 | – | 1.6 | – | 7.4 | – |
4歳魚 | 67.6 | 66.3 | 2.8 | 2.6 | 9.0 | 8.9 |
5歳魚 | 75.0 | 69.0 | 3.6 | 3.0 | 8.5 | 8.9 |
全体平均 | 67.6 | 68.1 | 2.8 | 2.9 | 8.9 | 8.9 |
織笠川
魚体測定の結果、雄の平均尾叉長は65.7cm、体重は2.8kg、肥満度は9.6、また、雌は67.0cm、3.1kg、10.2でした。前年同期と比較すると、雌雄、各年齢とも尾叉長、体重が小さく、肥満度が前年並から小さい傾向でした(表2)。全体平均は4歳魚が著しく多かった(図5)ため、前年並みのサイズとなりました。
表2 織笠川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R6 | R5 | R6 | R5 | R6 | R5 | |
3歳魚 | 57.0 | 59.8 | 1.7 | 2.0 | 9.1 | 9.3 |
4歳魚 | 66.0 | 69.5 | 2.8 | 3.3 | 9.6 | 9.7 |
5歳魚 | 70.5 | 72.4 | 3.5 | 3.9 | 9.8 | 10.0 |
全体平均 | 65.7 | 64.5 | 2.8 | 2.7 | 9.6 | 9.5 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R6 | R5 | R6 | R5 | R6 | R5 | |
3歳魚 | 58.0 | 61.3 | 1.7 | 2.2 | 8.9 | 9.6 |
4歳魚 | 66.5 | 69.0 | 3.0 | 3.4 | 10.2 | 10.3 |
5歳魚 | 71.8 | 72.0 | 4.0 | 4.0 | 10.5 | 10.7 |
全体平均 | 67.0 | 66.7 | 3.1 | 3.1 | 10.2 | 10.1 |
津軽石川
魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は71.0cm、体重は3.7kg、肥満度は9.9、また、メスは69.1cm、3.6kg、10.5でした。前年同期と比較すると、雌雄、各年齢とも尾叉長、体重、肥満度が前年よりも小さくなり、全体平均も小さくなりました(表3)。
表3 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R6 | R5 | R6 | R5 | R6 | R5 | |
3歳魚 | 57.8 | 61.2 | 1.8 | 2.2 | 9.0 | 9.5 |
4歳魚 | 70.5 | 73.0 | 3.5 | 4.2 | 9.9 | 10.5 |
5歳魚 | 75.5 | 79.0 | 4.5 | 5.7 | 10.2 | 11.2 |
全体平均 | 71.0 | 76.0 | 3.7 | 5.0 | 9.9 | 10.9 |
(メス)
尾叉長 (cm) |
体 重 (kg) |
肥満度 | ||||
R6 | R5 | R6 | R5 | R6 | R5 | |
3歳魚 | 58.7 | 62.6 | 2.1 | 2.6 | 10.1 | 10.6 |
4歳魚 | 67.4 | 70.4 | 3.3 | 3.8 | 10.5 | 10.8 |
5歳魚 | 72.5 | 76.8 | 4.1 | 5.1 | 10.6 | 11.1 |
全体平均 | 69.1 | 74.4 | 3.6 | 4.7 | 10.5 | 11.0 |
3.その他
令和7年1月10日現在の秋サケ回帰状況は、低調だった昨年並みとなり、ほぼ予測どおりの水準でした。調査河川の結果から推定すると、主力となる4歳魚(令和2年級)がほぼ予測通りで、3歳魚(令和3年級)の回帰尾数が予測を下回りましたが、5歳魚(令和元年級)が予測を上回り、全体として昨年並みとなりました。令和3年級の放流数は5千3百万尾と、令和2年級の25%程度となっていることが、予測を下回った一因と考えられます。
令和3年級は平均サイズが2.6gと大型で放流されたため、3歳での回帰尾数は令和2年級の30~60%であり、放流数の減少割合ほど減少していないと推定されます。近年は、過去年と比較して一ヵ月ほど早く水温が上昇する傾向があるため、できるだけ大型の稚魚を3月中心に放流することが重要であると考えられます。
今後、調査船の調査により、水温、塩分、潮流、動物プランクトン量の広報を行いますので、放流の参考にしてください。