2025年度秋サケ回帰情報(No1:前期分)

秋サケ回帰情報(漁況情報号外・PDFファイル)のダウンロードページはこちら

Pocket

令和7年11月26日
161201ketacycle000

11月10日までの回帰尾数※は、前年比65.4%の0.7万尾。

4歳魚を中心とした年齢構成で、魚体は、前年と同様に小型の傾向。
※速報値(県庁水産振興課 秋さけ漁獲速報より)

1.回帰資源量

 11月10日現在の回帰尾数は0.7万尾(16トン)で前年比65.4%(重量比60.5%)。内訳をみると、沿岸漁獲は前年比72.3%(3.6千尾)、 河川漁獲は前年比58.9%(3.2千尾)。種卵確保対策による海産親魚は73尾となっています。河川漁獲の割合は46.9%と前年(51.5%)と同程度でした。また、当センターが発表した11月10日までの回帰予測尾数は1.9万尾であり、実績は予測の36.8%となっています(図1)。

20251126ketacycle001
図1 岩手県の回帰尾数の旬別推移

2.回帰親魚調査結果(前期:11月10日までの分)

 津軽石川において、ふ化場の協力を得て回帰親魚調査(210尾(近隣河川含む))を行いました。なお、例年調査を実施していた片岸川及び織笠川については、10月31日夜間の豪雨被害により、調査を実施することができませんでした。

(1)年齢組成

津軽石川
 オスは3歳魚16.9%、4歳魚83.1%、5歳魚0%(R6:3歳魚63%、4歳魚31%、5歳魚6%)、メスは3歳魚21.8%、4歳魚78.2%、5歳魚0%(R6:3歳魚65%、4歳魚32%、5歳魚3%)で、前年同期と比べるとオスメスともに4歳魚の割合が高くなり、3歳魚の割合が低くなりました。5歳魚以上の回帰はありませんでした(図2)。
 年齢査定の結果に河川回帰尾数(R7:189尾、R6:210尾)を乗じて算出した年齢別回帰尾数を見ると、3歳魚は前年の28%、4歳魚は前年の2.3倍となっています(図3)。

(2)年齢別尾叉長、体重、肥満度

津軽石川
 魚体測定の結果、オスの平均尾叉長は65.2cm、体重は2.6kg、肥満度は9.2、また、メスは62.1cm、2.4kg、10.0でした。前年同期と比較すると、オスでは3歳魚の尾叉長のみ前年を上回りましたが、それ以外は前年を下回る傾向、メスでは3歳魚で尾叉長、体重、肥満度が前年を上回り、4歳魚では前年を下回る傾向でした(表1)。全体の平均はオスの肥満度を除き前年を上回りました。

表1 津軽石川年齢別尾叉長・体重・肥満度
(オス)

  尾叉長 体 重 肥満度
  (cm) (kg)  
  R7 R6 R7 R6 R7 R6
3歳魚 60.8 60.6 2.0 2.1 8.9 9.5
4歳魚 66.1 67.3 2.7 3.1 9.2 10.1
5歳魚 68.0 3.0 9.6
全体平均 65.2 63.2 2.6 2.5 9.2 9.7

(メス)

  尾叉長 体 重 肥満度
  (cm) (kg)  
  R7 R6 R7 R6 R7 R6
3歳魚 59.3 58.4 2.1 2.0 9.8 9.7
4歳魚 62.9 65.3 2.5 2.8 10.1 10.2
5歳魚 68.6 3.1 9.4
全体平均 62.1 60.9 2.4 2.3 10.0 9.9

3.その他

 令和7年11月10日現在の秋サケ回帰状況は、きわめて低調だった昨年を下回り、予測下限値近くを推移しています。一方、水温の低下とともに、沿岸漁獲が予測値を上回ってきています。
 近年、5歳魚以上の回帰尾数が少なくなり、3歳魚と4歳魚を中心とした回帰で、魚体の平均サイズが小さくなる傾向にあります。漁獲の主体である令和3年級(4歳魚)の放流数は5千3百万尾と前年級(2億3千2百万尾)より少なくなりましたが、回帰率で比較すると、令和3年級が上回る傾向であることから、大型で強い稚魚を放流することが重要であると考えられます。