2026年マダコ漁況情報(漁況情報号外)

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令和8年9月7日

1)期 間 : 令和8年9~12月

2)漁 況 : 予測値254トン 平年(172トン)を上回るが、昨年(405トン)は下回る範囲

今年度漁期のかご漁業におけるマダコの漁況予測を実施しましたのでお知らせします。

予測の概要

 今年度の9~12月の漁獲量は254トンと予測され、平年(172トン)を上回り、昨年(405トン)を下回る範囲になると考えられます。
 その要因として、2025年4月に黒潮大蛇行が終息し、本県沿岸への黒潮続流の波及も解消されたため、本県沿岸域へマダコ幼生を輸送する働きが弱まった可能性が挙げられます。加えて、沿岸域の水温はマダコの生存可能な7℃を下回る日数が多かったことがが挙げられます。

1 岩手県海域に生息するマダコの生態と漁期

 東北太平洋海域に分布するマダコは、水深数十mより浅い沿岸域に主に生息しています。本海域で漁獲されるマダコの大半は、冬~春先に千葉・茨城県海域で産卵・ふ化した幼生が黒潮続流の流れに乗り、東北海域で着底・成長する春生まれの個体(渡り群)だと考えられています(図1)。本県海域で着底・成長したマダコが主に例年9~12月にかけて漁獲されます(図2)。1月以降は水温低下に伴い、産卵のために千葉・茨城県海域まで再び南下回遊すると考えられており、1~8月の漁獲は減少します。
 マダコが生存できる水温は7℃以上とされており、この条件を満たす東北海域の一部の海域でも、そのまま残留する個体(地着き群)がいると考えられています(図2)。

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図1 東北海域におけるマダコ(渡り群)の生活史のイメージ
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図2 岩手県における令和4年以降の月別漁獲量

2 岩手県におけるマダコ水揚量の推移

 本県のマダコは9割以上が、かご漁法により漁獲されています(図3)。令和7年の水揚量は567トン(前年比60%、過去5年平均比95%)で、かご漁業が518トン(前年比58%、平均比94%)、定置網及び磯建網が23トン(前年比143%、平均比107%)でした。また、平成27年以降上昇傾向にあったかご漁業のCPUEは、令和5年以降低下傾向にあります。

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図3 岩手県におけるマダコの漁法別水揚量の推移

3 令和8年後期の漁況予測

(1)一般化線形モデルによる予測
 マダコの生態をもとに選択した海洋環境条件を変数として、漁獲量を予測しました。なお、予測値がマイナス値になる場合は予測漁獲量を0トンに修正しています。
 予測の結果、令和8年主漁期(9~12月)の漁獲量は254トンと予測され、大きく減少した前年並み~下回る漁獲量になると考えられます(図4)。

【予測モデル(簡略版)】
9~12月のかご漁獲量 = 黒潮続流の4月の平均北限緯度※1
+県中部(山田湾)での1~6月の7℃未満の日数割合※2

【予測に用いた指標の説明】
※1 黒潮続流の4月の北限緯度 :水深100mにおける水温15℃以上の水塊(黒潮続流)の緯度 (水産研究・教育機構による)
※2 県中部での1~6月の7℃未満の日数割合 :本県定地水温システムで測定した1~6月の水温データを使用

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図4 漁況予測モデルにより推定した漁期中漁獲量
※赤丸は令和8年度主漁期の予測値

(2)ロジスティック回帰分析による予測
 主漁期(9~12月)の漁獲量が平年値※3の172トンを上回る確率(予測確率)について、分析を行いました。分析には、一般化線形モデルと同様に黒潮続流の4月平均北限緯度と県中部(山田湾)での1~6月の水温を説明変数(漁獲量の変化の要因)として用いました。
 予測の結果、令和8年主漁期の漁獲量は、68%の予測確率で平年値の172トンを上回る予測となりました(図5)。
※3 平成15年~令和7年の主漁期における平均漁獲量

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図5 ロジスティック回帰分析による漁獲動向予測
※赤の三角印は令和8年度主漁期の予測値

まとめ

 黒潮続流の波及が解消し、本県沿岸域へ幼生を輸送する働きが弱まったと考えられます。加えて、本県沿岸の水温がマダコの生存可能である7℃を下回る日数が前年よりも増加したことから、今年の主漁期(9~12月)のマダコの漁獲量は前年(405トン)を下回る254トンと予測されました。また、平年値の172トンに対しては68%の予測確率で上回ると予測されました。
 なお、今年の1~8月までの漁獲量(速報値)が10トンと前年の63トンを下回っており、主漁期となる9~12月の予測結果を加えると、今年の年間漁獲量は前年を下回ると考えられます。

担当:漁業資源部(村上)

TEL:0193-26-7915
FAX:0193-26-7920