高速攪拌塩漬装置(しおまる)の推奨使用条件【令和8年2月改訂】

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1 高速攪拌塩漬装置による塩漬手順

(1) 海藻の網袋詰め(表1)
 ア 湯通し・冷却後の海藻(20~25kg)を網袋に詰める。
 イ 網袋の口を結束バンド(使い捨て型の1本留めが主流)や樹脂製のロープ等で縛る。
(2) 飽和食塩水の準備
 ア 真水または海水を水槽に30cm入れる。⇒【水深30cm=約1000L】
 イ 食塩を水槽に入れる。⇒【真水(食塩16袋)、海水(食塩15袋)】
 ウ 5~15分間攪拌すると26.3%の飽和食塩水が完成する。⇒【水深35cm=約1200L】
(3) 追加塩の投入(表2)
 攪拌運転しながら、ワカメ500kgに対して食塩125kg(5袋)、コンブ500kgに対して食塩150kg(6袋)の追加塩(≒海藻が吸収する食塩相当量)を投入する。
 ※ 海藻が吸収する食塩(追加塩)を予め10~20%多めに投入することで、塩漬中の食塩水濃度の確認を省略できる。
(4) 海藻の投入と塩漬(表3)
 ア 海藻を飽和食塩水に投入し、適切な速度で攪拌しながら約1時間の塩漬を行う。
 イ 塩漬中は15~20分経過毎に塩水濃度や網袋の動きを確認すること。
 ウ 塩漬中は食塩の結晶が塩水中に常に存在している状態(飽和濃度)を維持すること。
(5) 網袋上げ
 ア カギやホイスト等を用いて網袋を引き上げ、海藻を圧搾袋やタンク等に回収する。
(6) 飽和食塩水の再調製及び2回目以降の塩漬
 ア 水深が40cm以上の場合には超過分を捨て、攪拌しながら食塩水の濃度を確認する。
 イ 必要に応じて追加塩を投入して飽和食塩水を再調製し、上記(3)から再開する。
(7) 飽和食塩水の保管及び翌日の海藻の塩漬
 ア 飽和食塩水の保管時にはフタを被せ、細菌やカビ等の微生物の混入を防止する。
 イ 飽和食塩水の表層部を柄の長いヒシャク等ですくって除去する。
 ウ 5~10分間攪拌して食塩を完全に溶解させ、上記(6)から塩漬を再開する。
(8) 塩漬後の海藻の塩分の確認
 塩漬後の海藻を圧搾袋に詰め、①圧搾時に排出される食塩水、または、②タンク内に置いた圧搾袋から徐々に生じる滲出液が飽和濃度(26.3%)であれば塩漬は完了している。もし、飽和濃度未満であれば20~30分間程度の再塩漬を行う。
(9) 飽和食塩水の保管期限
 飽和食塩水の保管は原則3~4日間を基本とし、時化等により連続的に塩漬できない場合でも5~6日間を限度とする。7日間以上保管すると好塩性微生物(ワレミアなど)が増殖して塩蔵海藻の保存性を低下させるので注意すること。

表1 海藻の塩漬に使用する網袋の仕様

種類 主な販売店 網袋サイズ 網目サイズ 取っ手数 あて布 海藻重量
粗目 アサヤ(株)、石村工業(株)、泰興(株)、(株)三亥
など
縦78~93cm×横48~55cm 2mm×1.5mm
程度
0~3 有・無 20~25kg
細目 0.2mm×0.3mm
程度

※ 網袋の仕様は各社で異なり、毎年変化するので購入前に確認すること。
※ あて布とは結束バンドを切断する時に工具をあてる部分のこと。

表2 海藻と追加潮の投入量

  海藻
投入量
ワカメ コンブ 網袋数
(25kg入)
網袋数
(20kg入)
追加
食塩量
追加
食塩量
追加
食塩量
追加
食塩量
(kg) (袋) (kg) (袋) (kg) (個) (個)
標準
(2008年方式)
25 0.25 6.3 0.30 7.5 1
50 0.50 12.5 0.60 15.0 2
100 1 25.0 1.2 30.0 4 5
200 2 50.0 2.4 60.0 8 10
300 3 75.0 3.6 90.0 12 15
400 4 100.0 4.8 120.0 16 20
500 5 125.0 6.0 150.0 20 25
10%増し
(2008年+α方式)
25 0.28 6.9 0.33 8.3 1
50 0.55 13.8 0.66 16.5 2
100 1.1 27.5 1.3 33.0 4 5
200 2.2 55.0 2.6 66.0 8 10
300 3.3 82.5 4.0 99.0 12 15
400 4.4 110.0 5.3 132.0 16 20
500 5.5 137.5 6.6 165.0 20 25
20%増し
(2008年+α方式)
25 0.30 7.5 0.36 9.0 1
50 0.60 15.0 0.72 18.0 2
100 1.2 30.0 1.4 36.0 4 5
200 2.4 60.0 2.9 72.0 8 10
300 3.6 90.0 4.3 108.0 12 15
400 4.8 120.0 5.8 144.0 16 20
500 6.0 150.0 7.2 180.0 20 25

※ 食塩1袋=25kg

表3 攪拌速度と塩漬時間の目安

攪拌速度(目安) 塩漬時間(目安)
〇網目の細かい袋(細目)
20~25kg詰め → 30.5~32.0Hz
※漁期後半31.5~32.0Hz
(動きの悪い場合+2~4Hz)
(最大攪拌速度:36Hz程度)
ワカメ・コンブ 60~65分間
※漁期後半(65分間)

刻みコンブ 65~70分間
※漁期後半(70分間)

〇網目の粗い袋(粗目)
20~25kg詰め → 29.5~30.5Hz
※漁期後半30.5Hz
(動きの悪い場合+2~4Hz)
(最大攪拌速度:33Hz程度)

※1 攪拌速度は便宜的にインバーターの設定値(Hz)で示す。
※2 モーターの回転数(75Hz=60rpm)

2 その他

(1)飽和食塩水の保管時の注意点
 好塩性のカビであるワレミアやその胞子は空気中にも存在している可能性があるため、塩漬中や飽和食塩水の保管時には必ずフタをすること。
(2)出荷前の塩蔵海藻の保管時の注意点
 ワレミアの増殖を防止するため、製造中の塩蔵海藻の常温保管を可能な限り短縮すること(生産者段階でも出荷までに時間を要する「切葉」や気温が高い時期に製造される「塩蔵コンブ」は冷蔵保管を推奨)。また、出荷前の箱詰め後の製品は漁協等の冷蔵庫を活用して低温保管すること。
(3)漁期中のステンレスの劣化(電飾)防止対策について
 ステンレスの劣化(電蝕)防止のため、漁期中は主電源コンセントを差したままの状態でアース接続を維持して保管すること(ブレーカー電源はOFFでも良い)。
 (コンセントを用いず直結する場合には、必ずアース棒を地面に接地すること)
(4)漁期後のしおまるの保管について
 ステンレスの電蝕(劣化)防止のため、漁期後は真水洗浄を十分に行い、塩分の除去に努めること。また、保管時には乾燥した状態で保管し、電源部(操作部)とモーター部の水濡れ防止を徹底すること。
(5)漁期前(漁期後)の攪拌翼下部のブッシュの点検・交換と洗浄について
 攪拌翼下部に装着されている樹脂製治具のブッシュ(別名:ブシュ)は摩耗するため、漁期前後の点検(交換)を必ず行うこと。また、漁期後は攪拌翼の下の海藻・食塩結晶の確認を必ず行い、電蝕防止のため真水で十分に洗浄すること。

3 参考資料

1)小野寺宗仲.海藻の高速攪拌塩漬方法の開発および生産現場における定着化.水産研究開発成果情報(2022)
https://fra-seika.fra.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/index.cgi
2)小野寺宗仲.海藻の高速攪拌塩漬装置(しおまる)の操作マニュアル【改訂版】(2025)
https://www2.suigi.pref.iwate.jp/wp-content/uploads/2026/02/20260218shiomaru_manual.pdf
3)小野寺宗仲.湯通し塩蔵ワカメ・コンブの製造・出荷段階におけるワレミア(Wallemia ichthyophaga)増殖防止対策マニュアル(2025)
https://www2.suigi.pref.iwate.jp/wp-content/uploads/2026/02/20260218wallemia_manual.pdf

【開発担当者・作成者】利用加工部 上席専門研究員 小野寺宗仲
TEL:0193-26-7916 FAX:0193-26-7920
E-mail:mm-onodera@pref.iwate.jp