イセゴイ(H15.11.2)
標準和名:イセゴイ(カライワシ目/イセゴイ科)
- 学名:Megalops cyprinoides(Broussonet1782)
- 地方名:なし
- 主な特徴:
- 体は側偏し、左右両下顎骨の間に喉板が1枚ある。
- 口、目は大きい。背びれは体の中央ににあり、最後の軟条が長く伸びる。尾鰭は深く2叉する。
- カライワシに比べて体高が高く、鱗が大きい。
- 千葉県以南の太平洋・インド洋の暖かい海の表層に分布する。汽水域から淡水域にも分布する。
- 幼魚はウナギ類のようにレプトケファルス型幼期と呼ばれる葉形幼生期を経る。原始的な真骨魚類の1種である。
- その他特記事項:
- 全長1.5mに達し、東アフリカのザンベジ川などでは、内陸部まで進入しており、海域だけでなく、海水と淡水が混じる汽水域、淡水域にも分布しています。
- 平成15年度は富山県氷見市の定置網でも漁獲されました。岩手県では平成14年度に大船渡魚市場にも水揚げされたそうです。
- 両年ともエチゼンクラゲの発生が多く、対馬暖流にのってエチゼンクラゲと一緒に回遊していたと思われます。
※ 平成15年11月2日に釜石東部漁協の四丁目定置網で漁獲、大槌魚市場に水揚げされ、県民の方から写真の提供がありました。
ニュウドウイカ(H20.4.23)
平成20年4月23日、トドヶ崎沖で、外套背長94cm(触腕の先端まで含めると2m近く)、7.7kgのニュウドウイカが採捕されました。
写真右:ニュウドウイカと並んだ小学2年生(身長120cm)。
写真左:触腕の鉤は鋭くなっています。
ナガタチカマス(H20.8.4)
平成20年8月4日、釜石沖網(釜石湾湾口部にある定置網)で「ナガタチカマス」が漁獲されました。
分布: 南日本、九州-パラオ海嶺、インド・西太平洋域等の南方
写真上段左:尾叉体長119cm、体重5.26kg
写真上段右:上鋭い歯
写真下段左:測線は背鰭第4棘下方で分岐しています(黄色の円内)。
写真下段右:側線上方分枝(黄色の円内)は第1背鰭の後端の手前で切れています。
オオバンヒザラガイ(H20.12.7)
平成20年12月7日、山田町で釣りをしていた方から当所に届けていただきました。
ヒザラガイの特徴である背中の殻は外から見えませんが、蝶々の形をした8枚の殻が肉帯の中に有るはずです。
図鑑によると分布は、北海道東岸、千島、ベーリング海、アメリカ西海岸とありますが、岩手レットデータブック改訂検討委員会戸羽委員によると岩手県内では過去に大槌町と宮古市で確認されているとのことです。
写真上段左:バケツに付くと容易には剥がれません。
写真上段右:背中側の様子。8枚の殻は外から見えません。
写真下段左・右:裏側には口が有ります。大型の褐藻類を餌とします。
マツカサウオ(H21.2.19)
キンメダイ目マツカサウオ科マツカサウオです。
平成21年2月19日釜石沖水深60mに設置した刺し網で漁獲され、当所へ持ち込まれました。
大きな鱗が装甲状に覆われることが特徴で、南日本~インド洋、西オーストラリアに分布します。
おそらく、北上する暖水に乗って岩手県沿岸まで運ばれものの、冷たい水に覆われたために、とり残されたものと思われます。
なお、本県沿岸は水温が5℃程度まで低下するので、マツカサウオにとって本来の分布域ではなく、いずれ死んでしまうものと思われます。
このように、遊泳力の弱い魚が海流などで本来の分布域以外の場所に運ばれ、運ばれた先の環境条件に適合しなくなり死滅することを「死滅回遊」といいます。
写真上段:横からの写真
写真下段左:腹側からの写真
写真下段右:背側からの写真