一般的生態
ケガニは、日本周辺では常磐以北の太平洋や日本海、オホーツク海に分布し、岩手県周辺では水深150~300mに生息しています。本県周辺のケガニは、冬から春までは水深170m付近を境にオスが浅い水深帯、メスが深い水深帯に分かれて分布していますが、交接期が近づくとオスとメスが同じ水深帯に集まり、6~9月頃にメスが先に脱皮して交接します。産卵は交接から約1年後に行われ、その翌年の春先に幼生が孵化します。孵化した幼生はしばらく海中を浮遊した後、着底して親と同様の生活に入ります。
ケガニは脱皮ごとに大きくなり、生後1年目には約6回、2年目には2回、以後毎年1回脱皮します。
成長は遅く、3歳で甲長5.5cm(82g)、4歳で甲長6.5cm(135g)、5歳で7cm(180g)、6歳で7.5cm(250g)に達します。メスは抱卵すると脱皮を行わないため、オスよりも成長が遅れます。雌雄ともに甲長5cm程度(2歳頃)から繁殖に参加するようになります
。
漁業の動向
岩手県におけるケガニ漁業は、主にカゴと底刺網により営まれています。近年の本県におけるケガニの水揚量は、平成20~23年まで年間90トンを超える高い水準で推移していましたが、平成24年以降減少に転じています。なお、岩手県におけるケガニの漁獲は、期間とサイズの制限(漁期は12月~翌年3月まで、甲長8cm以下のオスガニと全てのメスガニの採捕禁止)が設けられています。
資源の動向
岩手県におけるケガニの資源量は、平成20~23年の高い漁獲を支えてきた大型・高齢個体(甲長8cm、8歳以上)の残存資源の減少により、現在低い水準にあります。
当センターの漁業指導調査船「北上丸」で実施しているカゴ調査におけるオスガニの採集尾数は、漁獲対象サイズである8cm台、2~3年後の漁獲加入が見込まれる5~6cm台のいずれのサイズ階級においても、近年著しく少ない状況となっています。