図鑑/サケ・マス類


岩手県産サケ亜目魚類(一部北太平洋産も含む。)

キュウリウオ科 ワカサギ属

  • 種名: チカ
  • 地方名: チカ、ワカサギ
  • 特徴:
    • 体は細長く、やや側偏する。
    • 口は小さく上顎の後端は瞳孔の前縁下に終わる。
    • 体の背側は黄褐色、腹側は銀白色。
    • 腹鰭は背鰭の基部よりも後ろにある。
    • 側線鱗数63~67、脊椎骨数61~64。
    • サイズ 23cm
  • 分布: 北海道、東北地方
  • 備考:本種はワカサギH.transpacificus nipponensisに似るが、腹鰭が背鰭起部よりも後方に位置することで区別できる。また、本種は沿岸に棲息し、淡水域には分布しない。岩手県沿岸ではごく普通にみられる。
  • 種名: ワカサギ
  • 地方名: ワカサギ
  • 特徴:
    • 体は細長く、やや側偏する。
    • 口は小さく上顎の後端は瞳孔の前縁下に終わる。
    • 体の背側は黄褐色、腹側は銀白色。
    • 腹鰭は背鰭起部の直下ないしやや前方から始まる。
    • 側線鱗数53~59、脊椎骨数54~56。
    • サイズ 15cm
  • 分布: 本州北部、北海道、朝鮮半島、沿海州、千島列島
  • 備考:本種はチカH.pretiosus japonicusに似るが、腹鰭が背鰭起部の直下ないしやや前方から始まることで区別できる。本種は、淡水域および汽水域に棲息する。岩手県内では田瀬湖や岩洞湖などに分布するが、いずれも移殖されたものである。


アユ科 アユ属

  • 種名: アユ
  • 地方名: アユ
  • 特徴:
    • 体は細長く、やや側偏する。
    • 上顎の前端に下向きの突起があり、下顎の前端には一対のいぼ状突起がある。
    • 歯は成魚では櫛状歯、若魚では小円錐歯である。
    • サイズ 28cm
  • 分布: 日本、朝鮮、中国、台湾
  • 備考:アユ科には本種のみが知られている。産卵期は秋で河川の中・下流の砂れき上に産卵する。稚魚はふ化後、海へ降り、沿岸域で越冬した後、春に河川にそ上する。通常その年の秋に成熟し、産卵後死亡するが、まれに産卵に加わらず河川内で越冬するものもある。


シラウオ科 シラウオ属

  • 種名: イシカワシラウオ
  • 地方名: シラウオ
  • 特徴:
    • 体は細長くやや側偏するが、頭は著しく縦偏する。
    • 体は生時には透明で腹部に二列の黒色点が並ぶ。
    • 背鰭は腹鰭よりも後方に位置する。
    • 雌雄で形が異なり、雄は雌よりも体高が高く、また尻鰭の基底上方に並ぶ22~27枚の鱗があるが、雌はまったくない。
    • サイズ 10cm
  • 分布: 青森県の太平洋岸から茨城県、静岡県、和歌山県
  • 備考:本種はシラウオS.microdonに似るが、背鰭条数、尻鰭条数および尻鰭鱗が多いことで容易に区別できる。同じ春に漁獲されるが、シラウオは産卵期には河川や湖沼にそ上するが、イシカワシラウオはそ上しない。本種とよく混同される魚にシロウオLeucopsarion petersiがあるが、これはハゼ科の魚で全く別の種類である。


サケ科 サケ属

  • 種名: カラフトマス
  • 地方名: サクラ、サクラマス(宮古、山田、釜石、大船渡)、アオマス(久慈)
  • 特徴:
    • 体色は背面が青黒色、腹部が銀白色。
    • 尾鰭にやや大きい黒色点が散在する。
    • 鱗は小さく、剥がれやすい。側線鱗数はサケ・マス類中最も多い。
    • 成熟した雄は背鰭の前方が高く盛り上がる(セッパリマス)。
    • サイズ 60cm
  • 分布: 日本海、オホーツク海、三陸地方以北から北アメリカ西岸の北太平洋
  • 備考:サケ属中で最も小型の種類で、鱗が小さく剥がれやすいことで容易に識別できる。三陸沿岸ではサクラの開花の頃に定置網などでかなりまとまって漁獲されるので、サクラマスと呼ぶ。そのため標準和名のサクラマスO.masou(地方名: ママス)と混同されることがある。岩手県内の河川にもごくわずかにそ上する。
  • 種名: サケ
  • 地方名: サケ、秋サケ(産卵回帰群)、オオメ、オオメマス(春季来遊群)
  • 特徴:
    • 体色は背面が蒼黒色、下部が銀白色。
    • 体の背面や尾鰭に黒色点がほとんどない。
    • 尾鰭に銀色放射条がある。
    • 尾柄がやや細い。
    • サイズ 90cm
  • 分布: 利根川以北の太平洋岸、日本海、北海道、オホーツク海、千島列島、カムチャッカ北米西岸、北部太平洋
  • 備考:岩手県沿岸では春季に来遊するもの(地方名: オオメ、オオメマス)と、秋から冬にかけて産卵のために来遊するもの(地方名: サケ、秋サケ)がある。後者は成熟の段階によって、体色が銀白色を呈するものから黒・黄・桃色の混ざった婚姻色を呈するものまで様々なものが漁獲され、婚姻色が強く発現しているものは特にブナザケと呼ばれる。
  • 種名: ギンザケ
  • 地方名: ギンザケ
  • 特徴:
    • 体は背面が青緑色、腹面が銀白色。頭と体の背面や尾鰭に黒色点がある。
    • 歯は比較的大きい。
    • 脂鰭の基底後端から先端までの長さは眼径とほぼ同長。
    • サイズ 100cm
  • 分布: 沿海州中部からカリフォルニアまでの北太平洋
  • 備考:本種はサクラマスO.masouによく似るが、尾鰭が截型に近いこと、腹鰭軟条数がやや多いこと、脂鰭が大きいこと、鰓耙が長いことなどで区別できる。本種はこれまで北海道の河川にまれにそ上する程度で、三陸沿岸で漁獲されていない。しかし現在は海中養殖が行われている。
  • 種名: サクラマス
  • 地方名: ママス
  • 特徴:
    • 体色は背面が暗青色、下面は銀白色。背面には少数の小黒色点がある。
    • 背鰭に大きい1黒色斑がある。
    • 歯は比較的大きい。
    • 尻鰭の前部6~7条がやや伸長する。
    • 脂鰭の基底後端から先端までの長さは眼径とほぼ同長。
    • サイズ 70cm
    • 岩手県では主に3~6月に沿岸定置網等で漁獲される。
  • 分布: 東北地方の太平洋岸、日本海、北海道、オホーツク海
  • 備考:本種はギンザケO.kisutchによく似るが、尾鰭の欠刻がギンザケよりもやや深いこと、腹鰭軟条数がやや少ないこと、脂鰭が小さいこと、鰓耙が太く短いことなどで異なる。また、ギンザケは北部太平洋に広く分布するのに対し、本種はカムチャッカ半島以西の極東水域にのみ分布する。サクラマスには体高が極めて高く通称板マスと呼ばれるタイプがあり、岩手県沿岸でも稀に漁獲される。
  • 種名: ヤマメ
  • 地方名: ヤマメ、ヒカリ
  • 特徴:
    • 体色は銀白色で背面はやや黒色を帯びる。
    • 体側にはやや大きい白色斑紋が散在する。
    • 背鰭の後縁が黒い。
    • 口は大きく、上顎の後端は眼の後方に達する。
    • 尻鰭を倒したとき、その前部の鰭条の先端は最後部のものよりも後方に伸びる。
  • 分布: 九州、本州の日本海側全域と神奈川県以北の太平洋側、北海道朝鮮半島、沿海州、樺太
  • 備考:体側に8~10個の小判状斑紋があり、赤色斑点がまったくないのが特徴。本種はサクラマスの残留型で生後2年で成熟する。降海型は2年目の春に銀毛化(スモルト化)して降海し、通常海で1年間生活する。残留型はほとんど雄で、降海型の大半は雌である。降海型は北方ほど多く現れ、北海道では雄でも降海するが、西日本では雌でもほとんど降海しない。
  • 種名: ベニザケ
  • 地方名: ベニサケ
  • 特徴:
    • 体は背面が青黒色で、腹面は銀白色。体には黒色点がない。
    • 尾鰭には黒色点がなく、銀色放射条もない。
    • 鰓耙は細長く密生する。
    • サイズ 60cm
  • 分布: 北海道、カムチャッカ、アラスカ、カリフォルニア北部、北部太平洋
  • 備考:本種は尾鰭に黒色点や銀色放射条がないことにより他のサケ・マス類から容易に区別できる。北洋で流網によって漁獲される。日本では北海道沖でごくまれに漁獲される程度で、岩手県では漁獲されない。本種の陸封型(ヒメマス)は阿寒湖とケミチップ湖が原産地で、支笏湖、十和田湖、中禅寺湖、西湖などへ移殖されている。
  • 種名: マスノスケ
  • 地方名: マスノスケ、スケマス、大スケ、スケ
  • 特徴:
    • 体色は背面が青緑色、腹部が銀白色。背面には黒色点が散在する。
    • 背鰭には黒色点が、尾鰭には顕著な銀色放射条と黒色点が散在する。
    • 眼はやや小さい。
    • 頭部、特に下顎が黒い。
    • サイズ 190cm
  • 分布: 東北地方の太平洋岸、日本海北部、オホーツク海、北太平洋、ベーリング海
  • 備考:サケ・マス類中最も大きくなり、2m近くになるものもある。本種は、尾鰭に顕著な銀色放射条と黒色点があることで他のサケ・マス類と区別できる。岩手県沿岸では、春季に定置網で普通に漁獲される。
  • 種名: ニジマス
  • 地方名: ニジマス
  • 特徴:
    • 体の側面に幅広い赤色縦帯があるが、赤色点はない。
    • 体の黒色点は小さくて数が多く、尾鰭にも多数散在する。
    • 脂鰭は短い。
    • サイズ 60cm
  • 分布: 南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本各地
  • 備考:体の側面に幅広い赤色縦帯があり、多数の小黒点が散在するのが特徴。原産地は北アメリカで、日本へは明治初期に初めて移植された。現在は各地で養殖されており、一部の河川では自然繁殖もしている。


サケ科 イワナ属

  • 種名: エゾイワナ
  • 地方名: イワナ
  • 特徴:
    • 体色は背部が黒褐色、腹面は灰白色を呈する。
    • 体側には白色の円形斑紋が散在する。
    • 体側には不明瞭な黒色の小判状斑紋(パーマーク)がみられる。
    • 口は大きく、上顎の後端は眼の後方に達する。
    • 尻鰭を倒したとき、その前部の鰭条は最後部のものよりも後方にのびる。
    • サイズ 50cm
  • 分布: 東北地方、北海道、朝鮮半島東北部、沿海州、樺太、千島列島、カムチャッカ
  • 備考:体側に瞳と同程度の大きさの白色斑が散在するのが特徴。本種には河川に残留するものと降海するものがある。日本固有のイワナ類はオショロコマS.malmaとアメマスS.leucomaenisの2種があり、前者は2亜種、後者は本種も含めて4亜種に分けられている。これら4亜種は斑紋の大きさや色で区別されているが、同一河川でもタイプの異なるものがある。岩手県内の河川ではほとんどが白色斑を有するものである。
  • 種名: アメマス
  • 地方名: アメマス
  • 特徴:
    • 体色は銀白色で背面はやや黒色を帯びる。
    • 体側にはやや大きい白色斑紋が散在する。
    • 背鰭の後縁が黒い。
    • 口は大きく、上顎の後端は眼の後方に達する。
    • 尻鰭を倒したとき、その前部の鰭条は最後部のものよりも後方にのびる。
    • サイズ 70cm
  • 分布: 東北地方、北海道、朝鮮半島東北部、沿海州、樺太、千島列島、カムチャッカ
  • 備考:体側に白色斑が散在するのが特徴。この白色斑は残留型よりもやや大きい。生後3年の春に降海し、沿岸域で成育する。降海する割合は南で少なく、北方ほど多くなる。産卵期は秋で、サケなどとは異なり産卵後も死なずに翌年も再び産卵に加わるものがある。岩手県沿岸では春から夏に刺網や定置網で時々漁獲される。