魚料理/九戸地区

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しめイワシ
参考:しめイワシ(洋野町)

久慈市をはじめとした九戸地区は、イワシの水揚げ量が多い地域として有名です。一方、冷凍冷蔵技術が発達していなかった時代から、この地方では塩蔵、糠漬けなどの方法でイワシを保存していました。その中に、鮮魚のままの外観を保たせた“しめイワシ”と呼ばれる保存法があります。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • イワシ(中羽・鮮魚)
      • 大根、にんじん、塩、甘酢、(南蛮)
    • (2)加工設備
      • 包装(ラップ包装)機、冷蔵庫等
  • 【作り方】
    • 前処理
      • 内蔵を除去し、3枚に卸す(皮を剥ぐ)。
    • 洗浄
      • 水道水で血や内容物などを洗い流し、水を切る。
    • 脱水
      • イワシ(大きさ並)10匹に対して、塩大さじ1杯を均一に振りかけ一晩放置する(脱水シートに包む)。
    • 調味漬
      • 輪切り(薄切り)にした大根、にんじんを適宜加えて、大さじ2杯の甘酢と共に最低1時間以上漬け込む。調味液配合例:酢500ml、水500ml、砂糖50g、クエン酸1.5g、グルタミン酸ソーダ3g、コハク酸1g
    • 成形
      • 漬け汁から取り出し、一口大に切る。
    • 包装
      • プラスチックトレーなどにのせ、ラップ包装する。
    • 冷蔵
      • -1度冷蔵保存する。

【所見】
“脱水シート”を用いて脱水した製品は、単に施塩して脱水したものに比べ、生臭みを除去することができ、食べやすいものとなった。

イワシのシソ巻
参考:イワシのシソ巻(洋野町小子内浜)

古くから、魚の生臭さを抑えるため、調理の際にしょうが、梅干し、青ジソなどが用いられてきました。青ジソの場合、これに由来する香気成分の一つが、魚の生臭さを抑制する働きをするという研究報告もあります。とりわけイワシは、その特有の臭いの発生が速い魚です。今回調査した九戸地区にも青ジソを使ったイワシ料理がありましたので紹介します。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • マイワシ(鮮度の良いマイワシを用いる。)
      • 青ジソ、塩、コショウ、小麦粉、砂糖、みりん、味噌
    • (2)加工設備
      • 3枚卸し機、フライヤー等
  • 【作り方】
    • 前処理
      • 頭、内蔵を除去し、3枚に卸す。フィレーは更に2等分する。
    • 洗浄
      • 3.5%の塩水を用いる。
    • 塩水漬
      • 3.5%の塩水に1時間浸漬する。
    • 乾燥
      • 冷風乾燥機を利用して、15度以下で4時間(片面2時間ずつ)乾燥する。
    • 調味
      • イワシにコショウを混ぜた小麦粉をまぶし、味噌に砂糖とみりんを加えた練り状の調味液を片面に塗りつける(肉の部分に塗りつける)。調味液配合例:味噌200g、砂糖40g、みりん120ml
    • 成形
      • フィレーを2つに折り、それを更に青ジソで巻いて楊子などで止める。
    • 油ちょう
      • 180度の油温で揚げる。
    • 包装
    • 製品

【所見】
消費者のニーズを考慮すると、製品化する場合は成形までに留まらずに油ちょうした調理済食品の方が良いのだが、油ちょうにより青ジソが渇変してしまい外観が損なわれるのが問題である。青ジソの風味、外観が失われないような保存方法の検討が必要である。

イワシのみりんフライ
参考イワシのみりん漬け(洋野町)

“みりん干し”は広く普及しており、珍しくもない加工品であるが、みりんを添加した調味液に一晩漬けただけのこの“みりん漬け”は、あまり知られていないように思われる。この料理は、そのまま焼いて食べるのはもちろん、小麦粉をまぶして唐揚げにしたり、蒲焼き風に丼物にもできるという、消費者の嗜好に合わせて応用ができるという魅力がある。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • マイワシ(鮮度の良い中羽のマイワシ)
      • 醤油、みりん、酒、砂糖、唐辛子、しょうが、パン粉、バッターミックス
    • (2)加工設備
      • 冷風乾燥機、真空包装機等
  • 【作り方】
    • 前処理
      • 頭と内臓を取り除き、背開きにして中骨を除去する。
    • 洗浄
    • 成形
      • 適当な大きさ(一口大)に切る。
    • 調味漬
      • 調味液に2~3時間漬け込む。調味液配合例:醤油900ml、みりん180ml、酒90ml、砂糖250g、唐辛子1g、しょうが10g
    • 衣つけ
      • 表面にバッターミックス(g):水(L)=350:1を塗り、パン粉を付着させる(衣は全体量の50%未満)。
    • 凍結
    • 包装
    • 製品

【所見】
原魚の水分量の調整やドリップ防止に、脱水シートを使用することが有効である。なお、食べたときに小骨が気になるのが欠点と言えよう。

一夜干し
参考:一夜干し(洋野町)

洋野町では、秋から春にかけての時期が最も干物を作るのに適していると言われています。この時期は、昼夜の寒暖の差が著しく、空気が乾燥しているため、魚を干物にする最良の条件が自然に整っているからなのでしょう。このようにして作られた干物は、そのまま焼いて食べるだけではなく、天ぷらや煮物の材料として利用されています。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • イカ、カレイ、アジ、カジカ、ドンコ、タラ、サケ、サンマなど(鮮度の良いものを用いる。)
    • (2)加工設備
      • 設備 設備 設備 設備
  • 【作り方】
    • 前処理
      • イカは壷抜きし内臓除去、カレイ、ドンコは鰓と内臓と鱗を取り除く。
      • カジカは表面のぬめりを取って頭、内臓を取り除き腹開きにする。
      • アジは鰓、内臓、鱗を取り、腹開きにする。
      • タラはアジ同様にするが、頭を取り除く。
      • サケは3枚に卸し、尾部を切り捨てて縦に4~5等分にする。
      • サンマはそのまま用いる。
    • 洗浄
      • 血や内容物などを洗い落とし、よく水切りする。
    • 塩水漬
      • 3.5%食塩水に一昼夜浸漬し、ザルなどで水を切る。
    • 乾燥
      • 冷風乾燥機を用いた乾燥方法があるが、脱水シートを用いた方法もある。脱水シートには“ワンウェイピチット”(昭和電工㈱)、“リードペーパー”(ライオン㈱)などがある。
    • 凍結
      • 表面にバッターミックス(バッターミックス(g):水(L)=350:1)を塗り、パン粉を付着させる(衣は全体量の50%未満)。
    • 包装
    • 製品

【所見】
脱水シートを使用する場合、原料の種類、サイズ、水分、形態が異なるため、適当なシートを選ぶ必要がある。“ワンウェイピチット”の種類については、次のとおりである。

ワンウェイピチットの種類
種類 吸水量 吸水速度 対象魚種
01型 遅い スルメイカ、ホヤ等
11型 速い イワシ、アジ、サンマ等
21型 速い サケ、マダラ等

イカの野菜入り酢漬け・姿漬け
参考:イカの野菜入り酢漬け、普代村:姿漬け(野田村)

イカの胴に詰め物をした製品として、北海道の“イカめし”や岩手の“イカ小町”がありますが、九戸地区にもこれらに類する料理がありました。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • スルメイカ(生)、ごぼう、にんじん、コンブ、酢、砂糖、(醤油)
    • (2)加工設備
      • 真空包装機、冷蔵庫等
  • 【作り方】
    • 前処理
      • 壷抜きする。また酢漬けにする場合は皮付きのまま、姿漬けにする場合は40~50度温浴して皮を剥ぎ、更に3%の塩水で茹でる。
    • 洗浄
    • 胴詰め
      • ごぼう、にんじんを5mm角の棒状に切ったものとイカの足をすき昆布で包んで胴に入れる。なお、姿漬けにする場合は、胴に詰めるものを予め茹でておく。
    • 調味漬
      • 1週間以上調味液に漬けこむ。
    • 包装包装
      • 丸ごと、又は輪切りにして真空包装する(漬け汁を少量加える)
    • 冷蔵・凍結
    • 酢漬け:冷蔵
    • 姿漬け:凍結
    • 製品

【所見】
食べる時期を考えると、夏には“野菜入り酢漬け”を冷やしたまま、冬には“姿漬け”を温めて食べるのが良さそうである。なお、野菜入り酢漬けの場合、鮮度の良いイカを用いれば、イカの皮は見た目にも鮮やかな赤紫色を呈する。

イカ腑の貝殻焼き
参考:イカ腑の貝殻焼き(久慈市)

九戸地区では、現在でもイカの腑を塩蔵しておき、これを料理の材料に使っています。その中に、最も簡単に作ることができ、また素朴な味を持つ“イカ腑の貝殻焼き”があります。これは九戸地区の至る所で作られ、古くから親しまれてた料理です。地元の人の話によればイカの腑に塩をまぶしておけば、半年ぐらいまでは十分に食べられるとのことです。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • スルメイカ(壷抜きしたイカ腑を用いる。)
      • ごぼう、塩、味噌、(野菜、豆腐など)
  • 【作り方】
    • 施塩
      • 最近は低塩志向なので、表面が白くなる程度にまぶす。
    • 成形
      • アワビの貝殻の穴を味噌で塞ぎ、その上にイカ腑をのせる。
    • 焙焼
      • 焼く前に少量の水を加える。
    • 凍結
      • 凍結後、ラップを巻く。
    • 包装
      • 真空包装とする。
    • 調理済製品

【所見】
アワビの貝殻だけでなく、ウニの殻などに腑を入れても良いと考えられる。製品を調理する際、イカの腑のみではなく、イカの足を細断したもの、大根おろし、白菜などを入れた方が味わいのあるものになる。調理は、貝殻ごとオーブンや電子レンジで加熱すれば良い。また、成形時に野菜などを添えておきたい場合は、フリーズドライのものを使用すれば凍結変性がないと考えられる。

サケの油漬け
参考:新巻鮭の佃煮(普代村)

普代村では、新巻鮭をそのまま食べるだけでなく、更にこれを佃煮の材料に用いています。この佃煮の外観が、マグロやカツオの油漬けに類似しています。ここでは、新巻鮭からではなく、原魚からの油漬けを試みました。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • サケ(生鮮品、冷凍品のどちらでも良い。ブナの程度はB以上。)
      • サラダ油、塩、グルタミン酸ナトリウム、(粉末ガーリック)
    • (2)加工設備
      • 冷凍庫、真空包装機、レトルト装置等
  • 【作り方】
    • 前処理
      • 頭部、内臓などを取り除く。
    • 洗浄
      • 血や内容物を洗い落とす。
    • 3枚卸
    • 剥皮
    • 脱水
      • 水切り後、昭和電工製脱水シート(21M、-1度・24h)を用いて脱水する。
    • 調味漬
      • レトルト包装材に魚肉と調味液を入れる。調味液の配合例:魚肉100gに対して、サラダ油50ml、塩0.8g、グルタミン酸ナトリウム0.8g、(粉末ガーリック0.8g)
    • 包装
      • 真空包装する。
    • 処理
      • 120度で30分間(中骨がある場合は1時間)レトルト処理。
    • 放冷
    • 製品

【所見】
製品の味は、“ツナの油漬け”に類似している。粉末ガーリックを調味液に加えることで、ブナサケ特有の臭いが抑えられるようであるが、味に与える影響は小さい。今回はF値測定をしなかったが、適当な処理条件を吟味する必要がある。

サケ白子の甘露煮
参考:サケ白子の佃煮(普代村)

サケの雄の精巣(白子)の場合、一部はプロタミンなどを製造するための原料として利用されていますが、ほとんどは廃棄処分されています。しかし、白子も鍋物などの材料となっていることから、食品加工の原料に当然なり得ると考えられます。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • サケの白子(凍結保管しておいたものを使う。)
      • 醤油、ざらめ、コンソメ、麦芽糖、コショウ
    • (2)加工設備
      • ガス釜、真空包装機等
  • 【作り方】
    • 解凍・水晒し
      • 血抜きや身を引き締めるために3.5%塩水に一晩晒す。
    • 調味・煮熱
      • 白子が直接釜底に触れないように金網かごを用いる。調味液を釜に入れて沸騰させ、白子を入れて落とし蓋をする。その後再び沸騰したら、常に泡が覆い被さる程度の弱火にして2時間程度加熱する。調味液配合例:原料1kgに対して、水2L、ざらめ70g、醤油200ml、麦芽糖1g、コンソメ2g、コショウ2g
    • スライス
      • 厚さ2mm程度。
    • 製品

【所見】
製品の仕上がりは弾力性に富んだ食感になり、商品としては酒の肴などの用途目的とした珍味類に入るであろう。

ドンコ味噌・逆さ焼き
参考:ドンコの逆さ焼き(野田村)

三陸には、底魚として比較的大量に水揚げされる“ドンコ”(本来は、エゾイソアイナメという)と称される魚があります。この魚の肝臓は、味噌と混ぜ合わせることによって味わいのあるものに変わります。また、地元でドンコ料理を食べる場合、脂肪分の多い肝臓を加えることで肉の淡白な味を補っています。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • ドンコの肝(腹部を切らずに、口から肝と内臓を取りだし、鰓、鱗も取り除く。)
      • 味噌、(長ネギ)(七味唐辛子)
    • (2)加工設備
      • ガス焼き機、遠赤外線焼き機、電気オーブン、らいかい機、冷蔵庫等
  • 【作り方】
    • 洗浄
      • 肝の血水を取り除く。
    • 以下、(1)ドンコ味噌、(2)逆さ焼き。
  • (1)ドンコ味噌
    • 配合
      • 洗浄後、肝と味噌を2:1の割合で混ぜ合わせる。細かく刻んだ長ネギと七味唐辛子を加えても良い。
    • 瓶詰め
      • 瓶にドンコ味噌を詰め、蓋を緩く締める。
    • 焙焼
      • ドンコ味噌をオーブン(135度、30~40分間)で焼く。
    • 冷蔵
    • 製品
  • (2)逆さ焼き
    • 味噌詰
      • 洗浄後、口から肝を初めに入れ、味噌を塞ぐように詰める。
    • 焙焼
      • 遠赤外線で焼き、最後にガス焼き機で表面に焦げ目をつける。
    • 包装
    • 凍結
      • 丸ごと、又は輪切りにして真空包装する(漬け汁を少量加える)
    • 製品

【所見】
ドンコ味噌の食べ方としては、味噌に刻んだネギを混ぜて温めると良い。ネギを混ぜ合わせた製品とする場合、真空凍結乾燥(フリーズドライ)のものを使用すれば良いと考えられる。

ホヤフライ
参考:ホヤの唐揚げ(洋野町)

ホヤはその特有の臭いのため、人によって好き嫌いのある食べ物のようです。しかし、この臭いは、水揚げ直後の物ではほとんど感じられません。また、ホヤ料理と言えば酢の物を思い浮かべますが、ここでは誰でも食べられるようにフライに調理してみました。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • ホヤ(生ホヤを用いる。)
      • パン粉、バッターミックス(バッターミックス(g):水(L)=350:1)、醤油、砂糖、しょうが
    • (2)加工設備
      • 真空包装機、脱水シート等
  • 【作り方】
    • 洗浄
    • 成形
      • 洗浄したホヤを4等分に切る。
    • 脱水
      • 昭和電工製脱水シート(11M、-1度・24h)を用いて脱水する。
    • 調味漬
      • 調味液に30分間浸漬する。調味液配合例:醤油300ml、砂糖150g、しょうが10g(砂糖の量を減らした方が焦げないように思われる)
    • 衣つけ
      • ホヤの表面にバッターミックスを塗り、パン粉を付着させて衣(全体量の50%未満)を形成する。
    • 包装
      • シール包装する。
    • 凍結
    • 製品

【所見】
“脱水シート”を使用することで、調味液がホヤに浸透しやすく、、また、ホヤ特有の臭いが除去できる。従って、クセのある食べ物を敬遠しがちな人にも食べやすいものとなった。

マツモのふりかけ
参考:マツモのふりかけ(洋野町中野)

三陸の代表的な特産品の一つに挙げられるマツモは、そのほとんどが乾燥した“干しマツモ”です。その主な用途としては酢の物や汁物の具ですが、九戸地区では粉砕してふりかけとしても使われています。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • 干しマツモ、煮干、炒り胡麻、塩
    • (2)加工設備
      • ガスオーブン(又は遠赤外線焼き機)、真空包装機(シール包装)等
  • 【作り方】
    • 焙乾
      • 板状のマツモを火であぶる。
    • 冷却
    • 配合
      • マツモ:煮干:胡麻=5:5:2の割合で混ぜ合わせ、塩分が全体の1%になるようにする。
    • 粉砕
    • 包装
      • 瓶又は袋詰めにする(シール包装にする際は、乾燥剤を入れる。)
    • 冷蔵
      • -1度冷蔵保存する。

【所見】
製品を試食したところ、磯の風味があり、旨味もある。他の海藻類との混合は、マツモ特有の味を損なわないためにも避けた方が良いだろう。

サバの糠漬け
参考:サバの糠漬け(久慈市)

“サバの糠漬け”は、最近ではあまり作られていないが、久慈地方では伝統的な保存食品の一つです。伝統的な食品は、昔から人々に食べられてきただけに、根強い人気があるものと考えられます。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • サバ(鮮魚でも冷凍品でも構わないが、サイズは中型又は大型のサバが適している。)
      • 塩、糠
    • (2)加工設備
      • 設備 設備 設備 設備
  • 【作り方】
    • 頭、内臓除去
    • 洗浄
    • 3枚卸
    • 塩漬
      • ボーメ10度の塩水1Lに酸化防止剤を溶解させ、サバを20分間漬ける。
    • 乾燥
      • 皮側を上にして25度以下で1時間冷風乾燥後、肉側を上にして3時間乾燥する。
    • 糠漬
      • サバをこれと同重量の糠(糠:塩=1:1)に漬け込む。水切れの良い箱又は樽に、サバと糠を交互に積み重ねるようにする。
    • 低温保管
      • 5度以下で1週間放置。
    • 包装
    • 凍結
    • 製品

【所見】
原料に鮮魚を用い、また工程に塩漬、乾燥を入れることで製品の身崩れを防止できる。なお、同様の方法でイワシも加工し、これらの製品を久慈地方の伝統食品とした商品販売が考えられる。

ムラサキイガイの粕漬け
参考:シュウリ貝の粕漬け(普代村)

ムラサキイガイはホタテやワカメの養殖施設に付着し、県下全域の養殖施設を考えれば、その量は計り知れません。従って、この貝を加工原料としての利用法が検討されなければなりません。ここでは、粕漬けによる製造方法を紹介します。

  • 【材料】
    • (1)原材料
      • ムラサキイガイ(生鮮のものが良い。冷凍品は解凍時にドリップを生じ、味が損なわれる。)
      • 練り粕、みりん、砂糖、塩、グルタミン酸ソーダ、核酸系調味料
  • 【作り方】
    • ボイル
      • 3%程度の塩水(海水程度の濃度)でボイルする。
    • 脱殻、毛抜
    • 粕漬
      • むき身1kgに対して調味粕500gを用い、これらを交互に漬け込む。または、むき身をガーゼで包み、そのまわりを粕で被う。調味粕配合例:練り粕1kg、みりん100ml、砂糖25g、食塩5g、グルタミン酸ソーダ10g、核酸系調味料1g
    • 包装
      • サイズの大きいむき殻をよく洗浄したものに、粕漬けしたむき身をのせ、更にラップを巻き、脱気包装する。
    • 冷蔵・又は凍結
    • 製品

【所見】
むき身をボイルすれば、赤やオレンジに発色するが、この発色の程度がむき身によって異なる。しかし、粕漬けにすることによってむき身の色揃えは無視できると考えられる。